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日本一高い山は、そう「富士山」ですよね。では、日本一低い山を知っていますか? とりあえずの正解は、仙台市にある「

仙台市の北東に位置する仙台港。その南側にある宮城野区蒲生地区に「日和山」はあります。新しく造成された防潮堤を越えると、砂地の一角に木の階段が付けられたマウンドが目に入りました。近づいて、登山口から6段の階段を上ると、もう頂上です。標高は3.0メートルしかありません。
わずか6段で「日本一」の頂上に

「日和山」は、江戸時代に造られた近くの運河の土砂を積み上げた山、大正時代に大規模な養魚場を開設した際に掘り出した土砂でできたなどの説があり、はっきりしません。ただ、人工の山で、「日和山」という名前の通り、いつ頃からか海の状況を見る見張り台の役目を果たしていました。
国土地理院の職員が「もしかしたら日本一低い山かも」と気付き、調査したところ、日本一の低さということが分かり、1991年に日本一低い山と初めて認定されます。当時の標高は6.05メートルありました。地元では、日本一を記念し、7月の富士山の山開きにあわせ、「日和山」の山開きを行うようになったそうです。
しかし、1997年には、大阪市にある同じ人工の山「

ところが、2011年3月に東日本大震災が起き、蒲生地区は地盤沈下、津波などで大きな被害を受け、地区の住民157人が亡くなりました。震災後の「日和山」を見ると、津波を受け、山容は大きく変わり、わずか3メートルのマウンドになっていました。その後、大震災後の同地区の復興などが進み、2014年には再び日本一低い山に認定されました。
復興後、「日和山」の周りは大きく変わりました。海沿いに防潮堤が築かれたほか、周囲は住宅地ではなくなり、住民の多くが移転を余儀なくされました。一番近い小学校「中野小」も閉校しています。だからこそ、かつての地元住民にとって残った「日和山」は、震災前からの思い出の地になっています。
再認定後、9回目の山開きを開催
7月3日(日)10時から、再認定後9回目となる「日和山の山開き」が行われます。中野小の跡地「なかの伝承の丘」に集合し、近くの高砂神社などを回って、「日和山」まで約1キロを歩きます。事前受け付けはなく、参加無料です。参加者には登頂証明書を発行してくれるとのことです。
「日和山」を活用した交流事業などに取り組む自主活動グループ「中野ふるさとYAMA学校」の佐藤政信代表は「山開きでは(旧中野小に伝承されていた)中野小太鼓の披露などもあります。新型コロナでの自粛が続いた分、にぎやかに祝いたいですね」と話していました。(デジタル編集部 松崎恵三)
次回は「天保山」の物語です。なぜ奪還できたのか、今の状況などについて報告します。
【日和山データ】
◆アクセス 最寄りはJR仙石線陸前高砂駅で、タクシーか徒歩(約5キロ)。駐車場あり。
◆登頂証明書 仙台市高砂市民センターで発行しています。また、「日和山」に関する資料も展示されています。