落花生の風味生かして大ヒットした「ぴーなっつ最中」

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なごみの 米屋(よねや) (千葉県成田市)

古い建物が門前町としての歴史を物語る成田山表参道
古い建物が門前町としての歴史を物語る成田山表参道

 千葉県の北部に位置する成田は1000年余の歴史をもつ成田山新勝寺の門前町。特に駅前から800メートルほど続く成田山表参道には、戦災を免れた昔の面影の旅館や料理店、ウナギや鉄砲漬けなどの飲食や土産の店がびっしり連なる。

成田山の表参道で約120年 米店から全国有数の 羊羹(ようかん) 店へ

 その中ほどにあって、栗羊羹で有名なのが、なごみの米屋である。創業は1899年。店名が語るように元は米穀商で、名主の家柄。菓子業は初代の諸岡長蔵が新勝寺の精進料理の“栗羹(くりかん)”にヒントを得て地元特産の芝栗を()り込んだ羊羹を製造発売したことに始まる。

 お不動様にお供えする霊水と同じ水脈の水を使った羊羹は、成田山土産として瞬く間に評判になり、120年間、成田山とともに栄えてきた。「米屋といえば羊羹」と名を上げ、昭和初期には羊羹の売り上げ全国一を記録したこともあるという。

看板菓子「極上栗羊羹」から人気の「ぴーなっつ最中」へ

 栗羊羹から始まった米屋の看板菓子は、昔も今も伝統製法でじっくり煉り上げた極上羊羹である。自社製(あん)から一貫生産で作る小豆餡と砂糖、寒天を原料とする、手にずしっと重い煉り羊羹で、栗、本煉、大納言の3種がある。

大粒の栗としっとりした小豆餡の深みが味わえる看板菓子「極上栗羊羹」。賞味期間11か月。1本税込み1800円(写真/三川ゆき江)
大粒の栗としっとりした小豆餡の深みが味わえる看板菓子「極上栗羊羹」。賞味期間11か月。1本税込み1800円(写真/三川ゆき江)

 代表する「極上栗羊羹」は、大粒の栗が丸ごと入った、色(つや)がよく、舌触りが滑らかで、しっとりとした甘さの逸品である。

 米屋は1952年に2代目・謙一が日本で初めて密封流し込み羊羹を開発し、1962年に日本初の缶入り水羊羹を発売。賞味期間が長く売れ行きも飛躍的に伸びた。これが羊羹の製法を大きく変えた。

 羊羹を中心に発展した米屋だが、時代や嗜好(しこう)の変化を見据えて新製品の開発にも取り組んできた。

風味豊かなピーナッツのペーストを煉り込んだ餡が詰まった「ぴーなっつ最中」。賞味期間25日。8個詰め税込み1300円(写真/三川ゆき江)
風味豊かなピーナッツのペーストを煉り込んだ餡が詰まった「ぴーなっつ最中」。賞味期間25日。8個詰め税込み1300円(写真/三川ゆき江)

 中でもヒットしたのは、「千葉土産と位置付けされる千葉ならではの和菓子を作りたい」との熱意から生まれた「ぴーなっつ最中」である。

 「千葉県が誇る特産物の落花生に着目しました。落花生のペーストや甘煮とインゲン豆や小豆を餡にした最中です」と製造部長の江口富雄さん。「ピーナッツは個性が強い豆なので風味を消しつつ、いかにうまみを残すか、一見、矛盾した味わいの実現に何十回も試行錯誤を重ねました」と述懐する。

 ピーナッツの甘煮の歯応え、薄皮に近い餡の色、キャラクターを描いたフィルム袋、落花生をかたどった化粧箱など、各部門が一丸となって侃々諤々(かんかんがくがく)の議論の末に誕生したという。

 その「ぴーなっつ最中」の皮種は落花生の殻を模しているが、長さは8センチ、太さは3.5センチほどあり、本物のピーナッツよりずっと大きい。香ばしい皮種を二口、三口でサクッと()むと、ピーナッツペーストや甘煮を煉り込んだたっぷりの餡からしっとりした甘さがとろりと舌に広がる。味や形といい、パッケージといい、千葉を代表する土産銘菓になったのもうなずける。

 発売は1998年10月。翌年の年間生産個数は約59万個、13年目は約132万個だが、18年目は約447万個と急増した。20年たった一昨年は1000万個に達している。今や米屋の看板商品としてはもちろん、千葉の土産銘菓として定着している。

 「ピーナッツをかたどった外箱もかわいいと女性に人気で、土産や贈物にもよく使われます。〝ぴーちゃん〟というキャラクターも子どもや若い女性にウケてます」とほほ笑むのは、広報秘書課課長の竹山真由美さん。

 この20年間に全国菓子博覧会、全国推奨観光土産品審査会、日本ギフト大賞2018など数回、全国規模の賞も受けている。

なごみの米屋 總本店
 成田市上町500/電話0476・22・1661/8~18時/無休/成田線成田駅、京成本線京成成田駅から徒歩10分
【取り寄せ情報】
 電話フリーダイヤル0120・753・048
 FAXフリーダイヤル0120・753・236
 インターネットhttps://www.eshop-yoneya.com/shop/で注文
 ※總本店の営業時間は緊急事態宣言が解除されるまで9時~17時(予定)。

 文・中尾隆之

なかお たかゆき
 北海道生まれ。高校教師、出版社勤務を経て独立。土産銘菓に詳しく、全国お土産銘菓通選手権でテレビチャンピオンに。著書多数、近著に「日本百銘菓」(NHK出版)。

 (月刊「旅行読売」2020年6月号から)

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1214803 0 旅行読売セレクト 2020/05/14 05:20:00 2020/05/14 05:20:00 2020/05/14 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/05/20200508-OYT8I50058-T.jpg?type=thumbnail

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