【土方歳三の子孫が語る】司馬先生の細やかな創作感性「知る・知らぬ」

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 新選組副長・土方歳三の生涯を描いた小説「燃えよ剣」は、司馬遼太郎先生の代表作の一つ。司馬先生がゆかりの地や関係者の子孫を取材し、史実にのっとりながらも独自の創作エピソード、架空の人物を織り交ぜて描いた作品です。土方家には2度訪問され、祖父が応対しています。私も何度も読み返していますが、「ここは祖父が伝えた話だな」「ここは聞き書きに司馬先生ならではの創作が加わっているな」などと想像できる箇所が多くあります。私もこの作品の一部に参加させてもらった身内のように、「燃えよ剣」を身近に感じています。

司馬先生から寄贈された「燃えよ剣」
司馬先生から寄贈された「燃えよ剣」
歳三本人が〇をつけた恋の句
歳三本人が〇をつけた恋の句

 例えば作品の中で、歳三の(のこ)した自作の句集「豊玉発句集」の唯一の恋の句「しれば迷ひ しなければ迷はぬ恋の道」が登場するのですが、司馬先生は「知れば迷ひ 知らねば迷はぬ恋の道」と書かれました。これは「(恋を)知る・する」と2種の動詞ではなく、「知る・知らぬ」とシンプルにすることで、より真っ直ぐで素直な歳三の一面を表したかったからでは、と想像しています。

 司馬先生のこのような細やかな創作感性が、「燃えよ剣」が生まれて半世紀たった今なお、多くの人を魅了し続ける理由の一つかもしれません。

東京都日野市
土方歳三資料館 館長・土方(ひじかた) (めぐみ)

 土方歳三の次兄・隼人喜六から数えて6代目の子孫。歳三の生家に生まれ育つ。館長として土方歳三資料館を運営するかたわら、講演会などで土方歳三の人となりを語り継ぐ。資料館では、歳三の遺品などを公開。最新の開館情報は同館ホームページに掲載。

(月刊「旅行読売」2020年6月号から)

◆月刊「旅行読売」
 1966年創刊。「読んで楽しく、行って役立つ旅の情報誌」がモットー。最新号や臨時増刊などの案内はこちら

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1226242 0 旅行読売セレクト 2020/05/21 05:20:00 2020/05/21 05:20:00 2020/05/21 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/05/20200515-OYT8I50038-T.jpg?type=thumbnail

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