ピンチをチャンスに変え、進化するアンテナショップ
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昨年から続くコロナ禍で、アンテナショップの存在感が高まっている。帰省できない人が故郷の味を求めて訪れ、“家飲み”や“おうちごはん”を充実させようと、酒や食材を探して足を運ぶ。
「ここに来れば故郷の本物の味がある」「各地の良質なものがそろう」。アンテナショップはそんな信頼を勝ち得ているのだろう。
ここ数年増えているのが、市町村が出店するアンテナショップだ。道府県のアンテナショップに比べてエリアが限定的になる分、より地域性を感じる。青森県の
イベントでのオンライン活用も
ウィズコロナやアフターコロナに向けて、アンテナショップでは新たな取り組みもなされている。レストランメニューや弁当などのテイクアウト、オンラインショップの強化、宅配便を使ったコレクトサービス……。さらにはイベントのオンライン(リモート)活用も進んでいるようだ。

「銀座NAGANO」では、オンラインによる酒蔵見学やワイナリーツアーを開始した。
「日本橋とやま館」では、首都圏のメーカー主催の料理教室とコラボして、富山の食材を使った料理講座をインスタグラムのライブで配信。また、毎月富山にゆかりのあるゲストを招いて開催しているトークイベントも、密を避けるために定員を減らすとともにSNSでのライブ配信も始めた。

「日本橋とやま館」のマネージャー・出口ひとみさんは、「リモートを活用すれば、現地を離れにくい生産者の方々にもイベントなどの講師を務めてもらえる。依頼できる講師の幅も広がり、多彩なイベントが開催できそう」と前向きに話す。
アンテナショップは、人と人との交流や地方の文化を体験できる場であることも、設立の大きな目的だ。人の移動が制限される中、リモートを活用して人の交流や体験を増やす可能性が模索されている。ピンチをチャンスに変え、アンテナショップはさらに魅力的な存在に変化していくだろう。
文・中元千恵子
旅行ライター。都内アンテナショップのポータルサイト「風土47(よんなな)」の元メインライター。10年間、毎月自治体アンテナショップを取材し、紹介した商品は2000点以上。
(月刊「旅行読売」2021年5月号から)

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