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    イワシのサオール ◎TrattoriaSemina/トラットリア セミーナ(札幌市中央区)

    根室産 甘酢ですっきり

    • 脂がよくのった大ぶりの根室産イワシを使ったサオール。イワシの風味が楽しめる
      脂がよくのった大ぶりの根室産イワシを使ったサオール。イワシの風味が楽しめる

     札幌市中央区にある大通公園8丁目からすぐの場所に今春、小さなイタリア料理店がオープンした。「トラットリア セミーナ」は、一日の終わりに気軽に気持ちよく過ごせる、酒場のようなイタリア料理店だ。

     「うちの料理は写真映えしないんです」。そう恐縮しながら、田中寿史シェフがテーブルに置いたのは、今まさに豊漁の根室産を使った「イワシのサオール」。揚げたイワシを、った玉ネギ、松の実、レーズンと一緒に甘酢に漬け込んだ、イタリア版の南蛮漬けである。

     確かに、全体に茶色く武骨に見える料理だが、イワシの身はふわっとして優しい食感。これは揚げても身が縮まらないように、米こうじなどでマリネにしたひと手間が生きている。塩を利かせ、甘さと酸味を抑えた、すっきりしたおいしさで、繊細な一品に仕上がっている。これに白ワインの「ソアーヴェ」を合わせると、もう最高だ!

     田中シェフは歌志内市生まれ、滝川市育ち。「故郷の空知エリアを中心に、いつか北海道の食材でイタリア料理をつくりたい」と、北海道と気候や食材が似ている北イタリアを修業先に選んだ。厨房ちゅうぼうの仕事から文化まで、さまざまなことを吸収して帰国した。

     イワシのサオールは、イタリアの友人宅に初めて招かれた時に触れた、思い出深い“マンマ(おふくろ)”の味でもある。

     そんなふうにセミーナのメニューには、食材は北海道産、料理は北イタリアの現地の味や調理法を大切にしたものが多い。

     「向こうでも山わさびはよく使います。さすがに醤油しょうゆは合わせませんが、山わさびを加えた生クリームのソースは定番で、うちでも肉料理などに合わせます」と田中シェフ。

     また、「北イタリアの文化を紹介したい」という思いから、1杯1皿を立ち飲みで気軽に楽しむ「バーカロ」というベネチアの飲食スタイルを、店内の一部で取り入れている。バーカロ用の料理はすべて500円で提供。カウンター席は午後10時から、さらに土、日曜・祝日の日中をバーカロ用に開放している。

     旬の味をトラットリアのメニューで楽しむも良し。バーカロで立ち飲みするのもまた良し。短い北海道の夏を大いに満喫したい。

    (文・小西由稀 写真・山本顕史)

    【住 所】 札幌市中央区南1西8 ライオンズマンション大通公園 小六ビル1階 (電)011・219・4649

    【営業時間】 ランチは土、日曜と祝日のみ、正午からで、オーダーストップは午後1時。夜は午後5時30分からでオーダーストップは午前1時30分。お盆期間の11~15日は正午から通し営業でオーダーストップは午後10時30分。不定休

    【主なメニュー】 根室産イワシのサオール756円、自家製ボイルハムと村上農場産豆の煮込み972円、積丹産ウニの冷製カペッリーニ2160円、ソアーヴェのグラスが540円から

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2017年08月10日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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