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    キモスペシャル ◎路地裏炉端 さわけん(札幌市中央区)

    カリッふわっ 焼き絶妙

    • 半生のとろりとした舌触りがたまらない「キモスペシャル(レバ刺し風)」(手前)と、日替わりのお通し(奥)
      半生のとろりとした舌触りがたまらない「キモスペシャル(レバ刺し風)」(手前)と、日替わりのお通し(奥)

     「いい居酒屋を教えて」。周囲からよく聞かれるものの、嗜好しこうは千差万別なので、いつも思いあぐねてしまう。だが、相手が酒飲みならば、迷わずこの店を薦めたい。

     ススキノ中心部の、細い中小路に構える「路地裏炉端 さわけん」だ。店主の澤田健吾さん(35)は札幌の居酒屋や和食店などで12年ほど腕を磨き、「自分が一番行きたい店」を目指して、店を開いた。

     初めて訪れた時に、まず驚かされたのが、日替わりの酒肴しゅこうや総菜3、4品が並ぶ「お通し」だ。「最初に味わっていただく〈僕のおまかせ料理〉なので、気合が入ります」と澤田さん。

     この日は、サケの白子の煮こごりに、吉野くずで固めたコーン豆腐、オクラの浅漬けの3品。きちんと手をかけた繊細な味わいに、澤田さんの実直さがあふれ、380円という良心的な価格に心意気が感じられる。

     さて、メニューの主軸は、毎朝、市場の仲買業者から仕入れる旬の魚介類と、炭火でじっくり焼き上げる伊達地鶏の串物など。魚介類は必ず自分の目で確かめ、「これぞ!」と納得できるものだけを仕入れ、その食材にれ込んだ時は、道外でも産地へ出向き、独自のルートを切り開く。

     「どのように水揚げされ、産地でどう味わうのか。実際に訪れると、目からウロコの情報が満載で、食材への愛情も深まります」。この秋は、奄美大島のマグロ養殖地へ出向く予定とか。

     串物の一押しは、鮮度抜群の鶏レバーをミディアムレアに焼き上げた「キモスペシャル(レバ刺し風)」。外はカリッ、中はしっとりふわふわの食感で、「ギリギリに攻める」焼き加減が実に見事だ。これをたっぷりの長ネギと香ばしい揚げニンニク、自家製の「食べるラー油」で味わえば、ビールがぐんぐん進んでしまう。

     地酒は季節物も含め「本日のおすすめ」として10種類前後がそろい、自家製のエビのしおからや、いま時期ならサンマのなめろうなどをアテに、辛口で一杯やるのもいい。

     「クチコミで宣伝してくれる常連さんから『すごく喜ばれたよ』と感謝されると、背筋が伸びる思い。毎日が真剣勝負です」

     ホントは秘密にしておきたいけれど、誰かに教えずにはいられない。酒飲みの心をくすぐる罪な店だ。

    (文・葛西麻衣子 写真・藤倉孝幸)

    【住 所】 札幌市中央区南6西3 TAKARA6.3ビル1階 (電)011・252・7304

    【営業時間】 午後6時~午前0時(ラストオーダーは午後11時)定休日は日曜。祝日については要問い合わせ

    【主なメニュー】 串物(各1本)とり180円、豚肩ロース200円、キモスペシャル(レバ刺し風)220円。自家製さつまあげ420円、生ラムのたたき980円、自家製えびのしおから580円、サンマのなめろう680円など

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2017年08月31日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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