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    ランプレドット ◎TRATTORIA da OKUMURA/トラットリア・ダ・オクムラ(札幌市中央区)

    道産食材で本場の旨み

    • ぷるぷるで軟らかなフィレンツェ風のモツ煮「ランプレドット」。うま味の濃い緑色のソースが味の決め手
      ぷるぷるで軟らかなフィレンツェ風のモツ煮「ランプレドット」。うま味の濃い緑色のソースが味の決め手

     BGMに合わせ、鼻歌まじりに、楽しげに調理する料理人。その様子を見ているこちらも、楽しい気分になってくる。そんなふうにつくられた料理たちは幸せだ。おいしいに決まっている。初めて「トラットリア・ダ・オクムラ」を訪れた夜、カウンター席で過ごした時間が忘れられない。

     札幌市中央区の南2条通り沿い、古いビルの地階に今夏オープンしたオクムラは、イタリアの街角にあるような、小さなトラットリア(食堂)だ。

     立派なヒゲをたくわえたシェフの奥村雄史さんは、函館市出身。大阪で長く働き、イタリア中部のトスカーナ地方を中心にさまざまな地域で仕事をし、旅をしてきた。会話に函館や関西のイントネーションや、時折イタリア語が入り交じる。暮らしてきた土地の空気を上手うまく取り入れ、表現できる料理人なのだろう。ここオクムラでも、イタリアの日常の味が基本。北海道の食材や旬の食材を使い、現地で愛されてきた伝統的な料理を楽しめる。

     「ランプレドット」は、トスカーナの州都フィレンツェの下町料理だという。「ギアラ」(牛の第4胃)を使った、フィレンツェ版のモツ煮といったところだろうか。昼はパンに挟み、夜はワインのつまみにと、「とにかくよく食べます」と奥村シェフ。

     内臓は鮮度が重要。決まった曜日に新鮮な道産ギアラが入荷するので、1週間分をまとめて仕込む。きれいに洗い、何度もゆでこぼして、臭みと脂肪を取り除く。その後に香味野菜と一緒にゆでれば、下準備は完了。オーダーごとに温め、サルサベルデソースをかけて提供する。

     見た目は迫力があるが、食べると大ぶりのギアラは軟らかいだけではなく、歯切れが良く、意外にも上品な味わい。パセリやニンニク、アンチョビのソースが後を引くうまさで食べる手が止まらない。

     メニューはその日の仕入れで異なるが、食材が真ん中にあるシンプルな料理が多い。パスタ1皿とワイン1杯、そんな使い方も歓迎だという。

     うなる味より和む味、真っすぐな味。一日の終わり、ちょっと食べたい時、飲みたい時に思い出したい一軒だ。

    (文・小西由稀 写真・山本顕史)

    【住  所】 札幌市中央区南2西4 乙井ビル地下1階 (電)011・215・0655

    【営業時間】 午後4時~11時。不定休

    【主なメニュー】 ランプレドット1200円、前菜盛り合わせ1500円、ボンゴレ、カルボナーラ各1200円、グラスワイン500円から

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2017年10月19日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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