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    極厚・たん元炭火焼き ◎牛たん・旬菜 鈴の屋(札幌市中央区)

    真空熟成 軟らか食感

    • たん元、上たん、牛サガリが並ぶ「おまかせ焼き物盛り合せ」(写真は2人前)と、「特製タンシチュー」
      たん元、上たん、牛サガリが並ぶ「おまかせ焼き物盛り合せ」(写真は2人前)と、「特製タンシチュー」

     牛たんの味は、それなりに知っていたつもりでいたけれど、この店と出合って、イメージががらりと変わった。

     札幌市中央区のススキノ中心部のビル1階に暖簾のれんを掲げる「鈴の屋」は、2011年に開業した牛たん料理の専門店。牛たんと言えば、札幌では定食が主流だが、ここは“酒のアテ”として楽しめる、いわば「牛たん居酒屋」だ。

     店主の深谷仁博きみひろさん(44)は当麻町出身。18歳から札幌の和食店やホテルなどで和食一筋に腕を磨いてきた。「開業前に先輩から『独立するなら、何か店の看板になるようなメニューを打ち出すべきだ』と助言された。あれこれ考えた結果、辿たどり着いたのが、北海道で上質な素材が手に入る牛たんでした」

     主役の牛たんは、良質な脂とコラーゲン質を蓄えた北海道産の肥育牛。皮付きの塊で1本のまま仕入れ、真空状態で2、3週間ほど低温熟成させることで「ほどよい水分を保ったまま、肉本来のうま味と軟らかな食感を引き出せるんですよ」と深谷さん。

     なかでも、舌の付け根部分に当たる「たん元」は、1頭から1、2人前しか取れないという希少部位。これを3センチほどに分厚くカットし、遠火の中火で絶妙に焼き上げたのが、一番人気の「極厚・たん元炭火焼き」(数量限定)だ。

     淡いピンク色をした断面には、じんわりと脂がにじみ、ひと口頬張ると、驚くほど軟らかく、霜降りならではの上品なうま味がとろける。“サクッ”とした歯切れの良さも秀逸。山ワサビの醤油しょうゆ漬けや、柚子ゆずこしょうをちょこんと添えて味わえば、いくらでも箸が進む。

     やや硬めの「たん先」は、八丁味噌みそや赤ワイン、ワインビネガーなどでじっくり煮込み、「特製タンシチュー」に。ごろんと入った角切りの肉は、スプーンでほろりと崩れ、和洋折衷のコクのあるソースと見事にマッチする。そのほか「たん下の串焼き」や「牛たんメンチカツ」、「煮込みタンバーグ」など、気になるメニューがずらり。

     これからの寒い季節は、テールスープとカツオだしのうま味がたっぷり染み込んだ、期間限定の「テールスープおでん」(4月まで)も見逃せない。

     焼き肉やステーキだけではない道産牛の魅力を、多彩な牛たん料理が饒舌じょうぜつに語ってくれる。

    (文・葛西麻衣子 写真・藤倉孝幸)

    【住 所】 札幌市中央区南5西3の1 5・3ビル1階(電)011・563・2228

    【営業時間】 午後5時~午前0時(金、土曜は午前2時まで)ラストオーダーは各1時間前。定休日は日曜、祝日、12月31日~1月4日

    【主なメニュー】 極厚・たん元炭火焼き2500円、おまかせ焼き物盛り合せ1人前1500円から(注文は2人前から)、たん下の串焼き(2本)600円、特製タンシチュー(バゲット付き)1100円など(各税別)

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2017年11月23日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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