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    冬のおでん ◎おばんざいと和食 風香(札幌市中央区)

    だしでじっくり関西風

    • おでんは1品から注文可能。透き通った昆布だしは風味豊かで優しく、一滴残らず飲み干したくなる
      おでんは1品から注文可能。透き通った昆布だしは風味豊かで優しく、一滴残らず飲み干したくなる

     氷点下が続くと、無性におでんが恋しくなる。濃い口醤油しょうゆの関東風も好みだが、この店のおでんに出合ってから、すっかり関西風に傾倒している。

     「おばんざいと和食 風香ふうか」は、オープン9年目。“料理人のひと手間”をかけたおばんざいと、有機・減農薬野菜や毎朝市場で仕入れる魚介などを使った一品料理が主軸だ。

     店主の竹澤哲也さん(45)は19歳の時、アルバイトで入った飲食店で板前仕事の美しさに魅了され、料理人の道へ。札幌の和食店や居酒屋などで本格的に腕を磨き、「かしこまらず、気軽に和食を味わってほしい」と店を開いた。

     竹澤さんが料理と向き合う上で最も大切にしているのは“香り”。「料理が運ばれてきた時や口に運ぶ瞬間、先にいい香りが漂うと、わくわくして想像が膨らみますよね」

     看板メニューのおばんざいは、おからやひじきの煮物などお馴染なじみの総菜が中心だが、だしをしっかり利かせた繊細な味わいは、家庭料理とは似て非なるもの。

     「お客さまから『これ、どうやって作るの?』とよく尋ねられるので、月1回、料理教室もやっているんですよ」と竹澤さん。

     季節の刺し身や一品料理もバラエティー豊かにそろうが、この時期のおすすめは、何といっても冬限定(10月~翌年3月)のおでんだ。香り豊かなだしは、函館・南茅部産の真昆布をベースに追いガツオで仕上げる関西風だ。

     たねは18種類ほどあり、中心部分だけを使用する「有機大根」や、水分を抜いた豆腐に大和イモやおからを加えて香ばしく揚げた「手造りがんも」、昆布だしでふんわり炊いた「手造り半辺はんぺん」など、どれも竹澤さんのこだわりが詰まっている。

     だしで煮た後、いったん冷ましてじっくり味を含めるという「有機大根」を頬張ると、ダイコンの甘味とだしの香りが口中にあふれ、まさに至福のハーモニー。上品な薄口だからこそ、素材の味と香りが引き立っている。わさびを添えて味わう軟らかな「牛すじ」や、スープ感覚で香りを楽しむ「青のり」など、どれも単なるおでんのたねではなく、一品のだし料理として舌を楽しませてくれるのだ。

     「今夜は、どのたねにしようか」。風香のおでんと熱燗あつかんに思いを巡らせれば、冬の寒さも悪くない。

    (文・葛西麻衣子 写真・藤倉孝幸)

    【住 所】 札幌市中央区大通西16丁目2の4、メゾンエクレーレ近代美術館2階(電)011・795・7978

    【営業時間】午後5時~午後11時(ラストオーダーは午後10時)。定休日は日曜と祝日

    【主なメニュー】おばんざい各500円、有機玉葱たまねぎ茶碗ちゃわん蒸し680円、自家製あぶりからすみ1300円、おでん/有機大根350円、手造りがんも320円、無添加玉子250円、手造り半辺はんぺん280円など

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2018年02月01日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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