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    サマーポルチーニのタヤリン ◎オステリア フンギ堂(札幌市中央区)

    キノコ愛 香るパスタ

    • サマーポルチーニのタヤリン。タヤリンはパスタの名前で、細麺だが香りのしっかりしたソースとの相性がいい
      サマーポルチーニのタヤリン。タヤリンはパスタの名前で、細麺だが香りのしっかりしたソースとの相性がいい

     天然キノコは秋の食材だとばかり思い込んでいた。

     「北海道では落葉やボリボリが有名ですが、春や夏にもおいしいキノコはあります」。そう説明するのは、4月下旬、札幌・狸小路にオープンした「オステリア フンギ堂」のオーナーシェフ、田畑肇さん(43)だ。

     冬以外は毎日のようにキノコを探しに歩く。人呼んで“キノコ王子”。キノコとの出合いは12年前になる。札幌や近郊で天然キノコが採れる楽しさにはまり、少しずつ知識と経験を増やしていったという。

     13年間腕を振るった前店「ツバキホール」では、時期のキノコをイタリア料理に仕立て、その魅力を伝えてきた。出店していたビルの建て替えを機に、場所と店名を一新。イタリア語でキノコを意味するフンギを店名に掲げ、イタリア料理とワインでくつろげる居心地のいい空間をつくった。

     初夏に楽しみなキノコはポルチーニだ。豊かな香りと食感で、イタリアでは“キノコの王様”と呼ばれるが、実は北海道でも採れるという。和名はヤマドリタケ、近縁種にはヤマドリタケモドキなどがある。「イタリア産と比べると香りは上品ですが、採れたては甘味を感じます」と田畑シェフ。

     取材をした日は、残念ながら札幌のポルチーニはまだ出ていないため、イタリア産を使用した「サマーポルチーニのタヤリン」をいただいた。細切りでコシのある手打ちパスタに、ポルチーニの風味がしっかりと絡む。鼻に抜ける香りにうっとりとする、印象深いひと皿だ。

     田畑シェフが調理の隠し味に使うのは、下処理で除去した石づきなどをじっくり煮出し、香りとうま味を凝縮させたブロード(だし)。「大地の恵みを余すところなく使っています」

     そのほかのメニューは、前菜を中心に季節感のある料理が並ぶ。軽くつまむ派もしっかり食べる派も満足できるラインアップで、いずれも素材の味わいを真ん中に置いた、素直なおいしさが魅力だ。

     雨の日は憂鬱ゆううつなものだが、田畑シェフは喜々として空を見上げる。「この雨が後々効いてきますから」と、キノコ愛はどこまでも深い。札幌のポルチーニが香る日が待ち遠しい。

    (文・小西由稀 写真・岩浪睦)

    【住 所】 札幌市中央区南3西6 狸小路6丁目内南側 おみやげのにれ2階

    (電)011・271・9614

    【営業時間】 午後6~10時、ランチは金土日曜の正午~午後2時(いずれもオーダーストップ)。月曜休み。

    【主なメニュー】 ◇サマーポルチーニのタヤリン2400円(道産は2300円)◇ランチのパスタセット1600円◇夜のコース3800円~◇グラスワイン600円~

    サマーポルチーニのタヤリン。タヤリンはパスタの名前で、細麺だが香りのしっかりしたソースとの相性がいい

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2018年06月28日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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