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    「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜」

    7月28日から9月24日まで札幌芸術の森美術館

     16世紀フランドル(現在のベルギーにほぼ相当)を代表する画家ピーテル・ブリューゲル1世を筆頭にするブリューゲル一族。各人が得意とした風景、風俗、静物画などを紹介する「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」が7月28日から、札幌芸術の森美術館(札幌市南区)で始まる。

    ★「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」は、北海道読売発刊60周年、STV札幌テレビ創立60周年を記念して開催。

    【会期】7月28日(土)~9月24日(月・振休)

    【会場】札幌芸術の森美術館(札幌市南区)

    【入場料】一般1500円(1300円)、高校・大学生800円(600円)、小・中学生600円(400円)、小学生未満無料 ※()は前売り料金

    【前売り券発売場所】コンビニ、道新プレイガイド、大丸プレイガイド、札幌芸術の森美術館、札幌市民ギャラリー(7月27日まで発売)

    主催=札幌芸術の森美術館、STV札幌テレビ放送、読売新聞社

    協賛=光村印刷、石屋製菓

    ★期間中の主なイベント★

     期間中に札幌芸術の森美術館で開かれる主なイベントは次の通り(いずれも予約不要、展覧会の入場料のみ)。

     ▼8月7日(火)午後6時~午後6時40分 札幌コンサートホール「Kitara」専属オルガニストのマルタン・グレゴリウス氏によるミュージアムコンサート

     ▼8月11日(土)~15日(水) 作品を鑑賞しながらクイズに答える「親子でブリューゲルクイズ」

     ▼8月24日(金)、9月4日(火)=いずれも午後2時~午後2時40分 学芸員が作品を紹介する「ギャラリートーク」

    ★出品されるのはプライベートコレクションなど約100点。同美術館の梅村尚幸学芸員(30)に、画業を確立した一族の系譜をたどりながら、見どころを解説してもらった。

     「バベルの塔」や「雪中の狩人」を描いたことで有名なピーテル・ブリューゲル1世は、最初、版画の下絵師として、同地域で活躍したヒエロニムス・ボス(1450年頃~1516年)のように、人間と動物を組み合わせた生き物が現れる幻想的な絵画を描き、「第二のボス」と呼ばれた。

     また、イタリア旅行で出会った山岳風景に魅せられ、写実的で雄大な自然描写を、当時のフランドルで流行していた「世界風景」(世界中のあらゆる要素を含んだ俯瞰ふかん的な風景画)のなかに落とし込んだ。このように伝統を踏襲する一方で、農民の姿を生き生きと描き、新しい境地を切り開いた【図1】。上流階級が絵画の需要を独占していた時代。農民は無知でおろかな存在として描かれることが多かった。しかし、彼の描く農民は、飾り気はないが、おろかさは感じられず、むしろ親しみを感じさせるほどのありのままの姿だ。この斬新な表現は、同時代の画家たちに影響を与え、農民画はフランドルの新たな伝統となった。

     ピーテル・ブリューゲル1世は40歳前後で没したため、それほど多くの作品を残すことはできなかったが、この偉業を後世に広めたのは、子孫たちの功績が大きい。長男ピーテル・ブリューゲル2世は「野外での婚礼の踊り」や「鳥罠とりわな」【図2】など、父が残した作品の複製や模倣作を量産し、新たな絵画の購買層拡大に重要な役割を果たした。現代は複製や模倣は否定的に捉えられがちだが、当時はむしろ複製が多くの人々に求められたのである。

     弟のヤン・ブリューゲル1世は、最も得意とした花の静物画【図3】で、緻密ちみつな構成とつややかな表現から「花のブリューゲル」「ビロードのブリューゲル」などの異名を獲得した。

     孫やひ孫の世代からも優秀な画家が輩出された。ヤン・ファン・ケッセル1世は各地の昆虫を実に正確に、標本的に描いてみせた【図4】。ブリューゲル一族は、こうした多彩な画風でフランドルで最も影響力のある絵画ブランドとなっていく。

     本展では、1550年代から、ひ孫のアブラハム・ブリューゲルが没した1697年にいたる約150年間の作品が一堂にそろい、ブリューゲル一族の多才さと、絵画史上の大きな貢献を体感することができる。(寄稿)

    • ブリューゲル一族の中の代表作ピーテル・ブリューゲル2世の「野外での婚礼の躍り」(1610年頃 Private Collection)
      ブリューゲル一族の中の代表作ピーテル・ブリューゲル2世の「野外での婚礼の躍り」(1610年頃 Private Collection)

    2018年07月21日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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