井山裕太棋聖×一力遼九段 棋聖戦第3局観戦記(前編)

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第1譜…令和流布石

◇白 挑戦者 一力遼(1勝1敗)×黒 棋聖 井山裕太(1勝1敗)
(コミ6目半)
1~37
持ち時間 各8時間(白0・16分 黒0・47分)

 1勝1敗で迎えた七番勝負第3局は2月4、5日に長崎県西海市の「オリーブベイホテル」で行われた。

 対局前日、筆者は井山棋聖に同行し大阪の伊丹空港から長崎空港へ飛んだ。空港からバスに乗れば、1時間半ほどでホテルへ着く。本来であれば談笑して、それとなく観戦記のネタを探るところだ。しかしコロナ禍の今は、大事な対局者を危険に さら すわけにはいかないと、泣く泣く無言でやり過ごした。

 立会人の坂口隆三九段の合図によって対局が始まった。両者ともに二連星の立ち上がりである。続けて三連星から星を打ち合う展開となれば、昭和から平成初期に流行した布石だが、近年では絶滅危惧種となった。令和流は白6の三々入りで、左下、左上でも三々定石が進行していく。

 作戦の分岐点は黒37だった。参考図の黒1なら平凡だが、白2と受けられた時に、黒1より実戦の黒37にある方が働いているというわけだ。井山らしい工夫が光った。(大橋成哉)

初手を打つ井山棋聖(左は一力九段、長崎県西海市で)=守谷遼平撮影
初手を打つ井山棋聖(左は一力九段、長崎県西海市で)=守谷遼平撮影

第2譜…虚々実々

◇白 挑戦者 一力遼(1勝1敗)×黒 棋聖 井山裕太(1勝1敗)
(コミ6目半)
38~56(37を再掲)
持ち時間 各8時間(白1・28分 黒1・19分)

 対局会場のオリーブベイホテルは、隈研吾氏の設計だ。昨年の東京五輪のメイン会場である国立競技場を手掛けた世界的な建築家である。

 会場はまさに、都会の 喧騒けんそう から離れた、 たくみ による極上の空間であった。対局室からも、森に囲まれた入り江が望めた。静寂な景色は、対局中に興奮した心を落ち着けるのに最適だ。「リラックスして対局に臨める素晴らしい環境だった」と対局者は口をそろえた。

 白46で、参考図の白1なら黒の断点を強調しているが、黒2に対して白3とつぐのはつらい。白1で単に白3もあるが、手抜きで右辺に回られると遅れそうだ。一力は32分の考慮で白46を決断した。

 黒53で黒55と打てば自然ではあるが、右辺白イの大場へ先行するのが一力の構想だ。もちろん井山もそれを察知している。「下辺は譲りますよ」とばかりに黒53と右辺へ回る。一方の一力は取れる石を取らず、白54と右辺へ回る。まさに虚々実々の攻防だ。(大橋成哉)

2手目を打つ一力九段
2手目を打つ一力九段

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2797184 0 観戦記 2022/03/03 05:00:00 2022/03/03 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/02/20220228-OYT8I50064-T.jpg?type=thumbnail

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