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第1譜…大棋士と有望株
◇白 七段 大西竜平 × 黒 九段 山下敬吾
(コミ6目半)
1~69
持ち時間 各4時間(白2・06分 黒1・27分)

最上級のSリーグには椅子が六つしかない。そのためAリーグでもファン
山下は言わずと知れた棋聖5期をはじめとして獲得タイトル総数23を誇る大棋士。43歳の今もなお、第一線で活躍中である。前期はSリーグでまさかの最下位、今期はAリーグで出直しである。
かたや、近い将来の覇者候補として誰もが認める22歳の大西。本因坊戦リーグを経験するなど、この1、2年で急速に、各棋戦で上位進出を果たすようになってきた。前期はAリーグで4勝3敗の3位だった。
さて本局は、中盤から終盤にかけて山場が集中したので、序盤は駆け足で通過する。
本譜で一点だけ触れておくと、大西の白32がやや疑問だった。黒33と隅の要点を占められ、白34の切りには黒35のアテが好手。白36から40で突破はしたものの、黒37のポン抜きから41、43と伸びられた結果は「黒が一本取りました」と解説の関航太郎天元。

従って白32では参考図の白1と切って3のオサエを利かし、5、7から9と切る。「これなら好勝負でした」という。(佐野真)

第2譜…驚異の構想
◇白 七段 大西竜平 × 黒 九段 山下敬吾
(コミ6目半)
70~80
持ち時間 各4時間(白2・35分 黒1・51分)

各棋戦で頭角を現し始めた大西について、元棋聖の張栩九段が先日、「彼の碁の特長は、中央感覚に優れている点です。中央でフワッとした手を多く打ち、そういう碁はまとめるのが難しいのですが、そこからが実にうまい」と評していた。
さらに張九段は「彼は人が打たない、気づかない手を打ってくる」と語っていたが、白70などはまさにそうした一手と言えるだろう。
実際、観戦に訪れていた某一流棋士が、この白70を見て「この局面で候補手を100通り挙げろと言われても、僕はこの手を発想することができません」とコメントしており、他の棋士の反応も大同小異だった。黒の強大な厚みに対し、孤軍で戦いを挑んでいるようなイメージが、違和感を生むのであろう。
解説の関航太郎天元もそうした一人だ。「黒71と掛けられ、形勢を損じました」とのことで、白70では右辺をイと押し上げ、ロとハを見合いにするくらいだったという。
とはいえ大西には当然、彼なりの構想があるわけで、その手始めが白74、76の出切りであった。黒77のノビと換わることで、中央に利き筋や味を作ったのである。
そしてこの
この大作戦の成否やいかに?(佐野真)