[記者が震えた竜王戦名勝負]<1>勝負服の師匠・杉本八段に藤井二冠が「恩返し」

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第33期 ランキング戦3組決勝 藤井聡太二冠-杉本昌隆八段

感想戦で杉本昌隆八段(右)との対局を振り返る藤井聡太七段(6月20日、大阪市福島区の関西将棋会館で)
感想戦で杉本昌隆八段(右)との対局を振り返る藤井聡太七段(6月20日、大阪市福島区の関西将棋会館で)

 竜王戦のランキング戦3組決勝という大舞台で実現した師弟対決。トップ戦線で活躍する藤井二冠の勝ち上がりは順当だったが、師匠の杉本八段が奮闘し、弟子との戦いを実現した。師匠は「和服」という秘策で臨んだ対局。藤井二冠は落ち着いて指し回し、快勝。弟子が師匠に恩返しを果たした。感想戦で師匠は「勝負師としては残念な結果です」と悔しさをにじませつつも、弟子の躍進に期待を寄せた。温かく、ほほえましい師弟愛が、そこにはあった。

 対局の模様を6月30日から7回にわたって読売新聞に掲載された観戦記とともに振り返る。

第1譜

 (先)七段 藤井聡太 × 八段 杉本昌隆
 ▲2六歩  … △3四歩 5
 ▲7六歩  … △4四歩 …
 ▲4八銀  … △3二銀 …
 ▲5八金右 1 △9四歩 …
 ▲9六歩  … △4三銀 1
 ▲6八玉  4 △4二飛(図) …

 ▲7八玉  … △6二玉 …
 ▲5六歩  … △7二玉 …
 ▲5七銀  1 △6二金 …
 5時間(△0時間06分 ▲0時間06分)18手

師匠の和服姿

 第2次藤井ブームがやってきた。本局は6月20日、大阪・関西将棋会館の対局。6月1日から長距離移動を伴う対局が再開されて以来、藤井はずっと重要対局を指し続けている。もしかしたら、1か月ほど後には、タイトルホルダーとしての藤井を見るかもしれない。もちろん、この竜王戦だって可能性がある。今、藤井の前には無限ともいえる可能性が開けていることは間違いない。

 午前9時40分、御上段の間に藤井入室。静かに下座に着き、バッグの中から数々の小物を取り出す姿を数台のテレビカメラが追う。

 9時52分、杉本入室。なんと、和服だ。藤井もちらりと、それを見た。杉本が和服で対局するのはいつ以来だろう。いずれにしても、これは弟子に対する敬意と同時に、本局に対する意気込みを見せたものである。とにかく、「全力を尽くす」と言っている。

 3組決勝。勝ったほうは3組優勝と同時に決勝トーナメント進出が決まる一番。藤井には竜王戦ランキング戦4期連続優勝の新記録もかかる。その大一番で実現した師弟戦。これは運命的な巡り合わせと言える。この2か月、杉本は対藤井戦の作戦を考え続けていたそうだ。師匠ではなく、一棋士として。(鈴木宏彦)
 =6月30日読売新聞朝刊より、段位は当時

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1523762 0 竜王戦 2020/10/05 16:45:00 2020/10/16 21:03:19 2020/10/16 21:03:19 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201005-OYT8I50074-T.jpg?type=thumbnail

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