[第33期竜王戦七番勝負]豊島竜王、悲願の初防衛か 羽生九段、50歳で100期達成か

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 9日に開幕する将棋界の最高棋戦、第33期竜王戦七番勝負は豊島将之竜王と羽生善治九段の戦いとなった。羽生九段が通算100期を懸けてタイトル戦を戦うのは4度目で、豊島竜王は一昨年の棋聖戦でその記録達成を阻止。両者の対戦成績はほぼ互角だ。これまで防衛には縁がなかった豊島竜王が念願の初防衛を果たすのか、羽生九段が前人未到の大記録を達成するのか――。両対局者に抱負を聞いた。(文化部 吉田祐也)

調子上向き白熱の将棋に…豊島将之竜王

とよしま・まさゆき 1990年、愛知県一宮市出身の30歳。桐山清澄九段門下。2007年に四段へ昇段し、プロ入り。若手時代に「序盤、中盤、終盤、隙のない将棋」と評価され、キャッチコピーとして定着している。獲得タイトルは竜王、名人、叡王、王位、棋聖の計5期。あだ名は「とよぴー」で、趣味は米プロバスケットボールリーグのNBA観戦。今年度の成績は15勝10敗。(6日まで)
とよしま・まさゆき 1990年、愛知県一宮市出身の30歳。桐山清澄九段門下。2007年に四段へ昇段し、プロ入り。若手時代に「序盤、中盤、終盤、隙のない将棋」と評価され、キャッチコピーとして定着している。獲得タイトルは竜王、名人、叡王、王位、棋聖の計5期。あだ名は「とよぴー」で、趣味は米プロバスケットボールリーグのNBA観戦。今年度の成績は15勝10敗。(6日まで)

 ――今年は竜王保持者として、待つ立場でした。
 豊島 藤井聡太二冠が本戦の初戦で敗れたことに驚きましたが、丸山忠久九段の指し回しは完璧でした。そして、羽生九段の挑戦権獲得は、実績からしても順当だと思いました。

 ――羽生九段の印象は。
 豊島 経験に基づいた大局観の良さが武器だと思います。力が落ちている印象は全くありません。

 ――戦型予想は。
 豊島 角換わり、矢倉、相掛かり、横歩取りなど相居飛車でしょうが、羽生九段はオールラウンダーなので予想しづらい。振り飛車の可能性も考えています。

 ――通算タイトル100期が懸かる相手です。一度は、棋聖戦で羽生九段の100期を阻止しましたね。
 豊島 100期というのは、すごすぎてピンと来ないのですが、注目が集まるシリーズになります。そんな舞台にふさわしい、白熱した将棋を指したいです。

 ――調子についてうかがいます。8月に名人を失いましたが、9月に叡王を奪取して竜王戦に入ります。
 豊島 夏場は全然勝てなくて、しかも内容が悪かった。原因はよくわかりませんでしたが、秋に入って調子が上向いてきました。

 ――タイトル通算5期ですが、防衛したことはありません。その点は。
 豊島 防衛する側ということを意識しているわけではありませんが……。今期は竜王を防衛するという結果を出したいです。

 ――七番勝負で行ってみたい場所は。
 豊島 福島市の吉川屋です。初めて訪れるので。

4度目の挑戦気負いなし…羽生善治九段

はぶ・よしはる 1970年、埼玉県所沢市出身の50歳。二上達也九段門下。15歳で四段へ昇段し、中学生棋士に。89年、19歳で初タイトルの竜王を獲得。96年には将棋界初の「七冠制覇」を達成。通算タイトル獲得数は竜王7、名人9、王位18、王座24、棋王13、王将12、棋聖16の計99期。「永世七冠」の資格保持者で、2018年2月に国民栄誉賞が授与された。今年度の成績は10勝8敗。(6日まで)
はぶ・よしはる 1970年、埼玉県所沢市出身の50歳。二上達也九段門下。15歳で四段へ昇段し、中学生棋士に。89年、19歳で初タイトルの竜王を獲得。96年には将棋界初の「七冠制覇」を達成。通算タイトル獲得数は竜王7、名人9、王位18、王座24、棋王13、王将12、棋聖16の計99期。「永世七冠」の資格保持者で、2018年2月に国民栄誉賞が授与された。今年度の成績は10勝8敗。(6日まで)

 ――2年ぶりのタイトル挑戦になりました。
 羽生 久しぶりに大舞台で戦うことに、喜びを感じています。タイトル戦に出ていない期間が長かったので、新鮮な気持ちです。

 ――通算タイトル100期には4度目の挑戦です。
 羽生 そうした記録を目標にできることは名誉なことです。大きなチャンスですが、気負いはないので自然体で臨みます。

 ――2年前の竜王戦では防衛できず、惜しくも100期を逃しました。
 羽生 その時はとても残念でしたが、すべて実力です。将棋は過去の実績がいきない世界ですから。

 ――50歳で迎える七番勝負になります。
 羽生 若い頃と違って、好機がたくさんあるわけではない。一手一手、丁寧に指したいと思います。

 ――60歳を過ぎてもタイトル戦の挑戦者になるなど活躍した大山康晴十五世名人という偉大な先人がいます。ご自身との比較は。
 羽生 ははは。とても大山先生の域には達していません。将棋は年齢を重ねても若い人と対等に戦うことができるので、そこは魅力だと考えています。

 ――豊島竜王の印象は。
 羽生 序盤の研究が隅々まで行き届いていて、中終盤も安定感があります。

 ――戦型予想は。
 羽生 相居飛車が中心でしょうが、幅広い戦型を研究して臨みます。

 ――七番勝負で行ってみたい場所は。
 羽生 今年は旅行ができず、飛行機に乗っていません。指宿に行くことができたら、それは楽しみです。

 【羽生九段の通算100期が懸かったタイトル戦】(肩書は対局当時)
 ・2018年4~6月 第76期名人戦七番勝負
  佐藤天彦名人4―2羽生善治竜王(挑戦失敗)
 ・ 6~7月 第89期棋聖戦五番勝負
  羽生善治竜王2―3豊島将之八段(防衛失敗)
 ・ 10~12月 第31期竜王戦七番勝負
  羽生善治竜王3-4広瀬章人八段(防衛失敗)
 ・2020年10~12月 第33期竜王戦七番勝負
  豊島将之竜王?-?羽生善治九段(挑戦者)

両者の対戦成績

 通算33対局。豊島竜王からみて16勝17敗。
 丸数字はタイトル戦の番勝負
 2010年 11・17 王将戦  ○
 2011年 11・4  王将戦  ○
 2012年 10・30 王将戦  ●
 2013年 12・2  王将戦  ●
 2014年 2・8   朝日杯  ●
       9・4  王座〈1〉 ●
       9・18 王座〈2〉 ●
       9・30 王座〈3〉 ○
       10・7 王座〈4〉 ○
       10・16 王将戦  ●
       10・23 王座〈5〉●
 2015年 6・2   棋聖〈1〉●
       6・16  棋聖〈2〉○
       7・4   棋聖〈3〉●
       7・15  棋聖〈4〉●
       9・12  JT杯  ○
 2016年 5・20  竜王戦  ○
       11・25 王将戦  ○
 2017年 7・21  順位戦  ○
       8・2   銀河戦  ●
 2018年 3・18  順位戦  ●
       6・4   王位戦  ○
       6・6  棋聖〈1〉 ○
       6・16 棋聖〈2〉 ●
       6・30 棋聖〈3〉 ○
       7・10 棋聖〈4〉 ●
       7・12  銀河戦  ○
       7・17 棋聖〈5〉 ○
       9・15  JT杯  ●
 2019年 1・21  NHK  ●
       1・31  順位戦  ○
       7・12  王座戦  ○
       10・16 王将戦  ●

藤井二冠、時間使い過ぎた…千葉七段が本戦回顧・七番勝負展望

 竜王戦3組で優勝経験のある中堅棋士・千葉幸生七段に本戦を振り返るとともに、七番勝負を展望してもらった。

 今期の本戦で最も注目を集めたのは、藤井聡太二冠と丸山忠久九段の戦いでしょう。

 豊島竜王は挑戦権争いの本命として藤井二冠を挙げていました。千日手指し直しという予想外の展開でしたが、藤井二冠は時間を使いすぎてしまった。丸山九段は指し手によどみがなく、藤井二冠の勝負手にも動じなかった。

 本戦初戦で藤井二冠は敗れましたが、挑戦者決定三番勝負に進出すると思っていたので、少し意外な結果でした。その後の丸山九段の勝ち上がりは安定感がありました。

 もう一方の山では、梶浦宏孝六段の躍進が目を引きました。「1組の壁」である木村一基九段、佐藤康光九段を破り、周囲の評価を高めたのでは。そんな勢いのある若手との激闘を制するあたり、羽生九段の貫禄だと思いました。

 挑戦者決定三番勝負はベテランの域に入った羽生九段と丸山九段の同世代対決でした。勝負が決する第3局では、底力を見せた羽生九段が圧倒しました。

後手番が重要、戦い長丁場に

七番勝負を展望する千葉七段
七番勝負を展望する千葉七段

 七番勝負ですが、両者の過去の対戦成績がほぼ互角(豊島竜王から見て16勝17敗)というのが興味深い。ギリギリの好勝負を演じている印象があります。

 豊島竜王は先手番で角換わりという、エース格の戦法があることが大きい。研究が深く、中終盤でも鋭さを発揮します。羽生九段は先手番では経験値をいかすことのできる矢倉を軸にするのではないでしょうか。

 そうなると互いに後手番でどう戦うかが重要です。相掛かりや横歩取りといった激しい将棋で、積極的に動くことも想定されます。

 叡王を獲得し、充実期を迎えている豊島竜王に対して、羽生九段は優れた大局観をいかす戦いに持ち込むことができるか。実力伯仲のシリーズは第6局、第7局にもつれこむ長丁場になると予想しています。

ステイホームどう過ごした…「体形維持」ゲームと散歩と

イラスト バトルロイヤル風間 
イラスト バトルロイヤル風間 

 コロナ禍で緊急事態宣言が発令され、遠征対局が中止になった4~5月、両者はどのように「ステイホーム期間」を過ごしたのか。

 ここ5年、対人の練習対局をほとんどしていなかった豊島竜王。「将棋の研究において、コロナの影響はあまりなかった。実戦感覚が鈍らないよう、久しぶりにネットで対人の練習対局をしました」と話す。

 自宅時間が長く、運動不足が気になるところだが、豊島竜王は、フィットネスができるゲームソフト「リングフィット アドベンチャー」で運動をしていた。「面白いゲームで、はまりました。楽しみながら全身運動ができて体調は良かった」と語り、現在もスリムな体形を維持している。

 羽生九段は、「家ではなかなか運動できないので、マスクをつけて、朝夕とかこまめに散歩をしていました」と明かす。ダイエットに成功したというが、「油断するとすぐに太ってしまう。この年齢になると体重維持は大変です」と笑う。

 春は家にいる時間で、本を執筆したり、依頼を受けていたビデオメッセージを数本、作成するなどしたという。「自撮りの仕事だったので、スマホの撮影機能や、パソコンのウェブ会議システムの使い方を覚えました」と話した。

日程・対局場

 ・第1局 10月9、10日
  セルリアンタワー能楽堂(東京都渋谷区)
 ・第2局 10月22、23日
  万松寺(名古屋市)
 ・第3局 11月7、8日
  仁和寺(京都市)
 ・第4局 11月12、13日
  吉川屋(福島市)
 ・第5局 11月26、27日
  指宿白水館(鹿児島県指宿市)
 ・第6局 12月5、6日
  ホテル花月園(神奈川県箱根町)
 ・第7局 12月16、17日
  ほほえみの宿 滝の湯(山形県天童市)

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1527628 0 竜王戦 2020/10/07 08:41:00 2020/10/08 11:52:44 2020/10/08 11:52:44 豊島将之竜王(9月11日、東京都渋谷区の将棋会館で)=繁田統央撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201007-OYT8I50000-T.jpg?type=thumbnail

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