52手の短手数、豊島竜王が羽生九段に勝利…竜王戦七番勝負第1局詳報(随時更新)

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 豊島将之竜王に羽生善治九段が挑戦する第33期竜王戦七番勝負第1局が10月9、10の両日、東京・渋谷のセルリアンタワー能楽堂で行われ、52手までで豊島竜王の勝ちとなった。竜虎が激突する大勝負、シリーズの行方からますます目が離せなくなった。

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 両対局者の指し手はこちらでお楽しみください(対局開始後に動き出します)。

 

対局中継(録画)

タイムライン

10月10日

 5時半過ぎ 感想戦を終える。

 竜王戦七番勝負史上、最短手数で決着した第1局の新聞解説を担当する野月浩貴八段に本局を振り返ってもらった。

 今回の対局は序盤から、超急戦に突入し、早々に実戦例が少ない未知の世界に突入しました。その中で、羽生九段の方に、今後の展開を決める「選択」を迫られる場面が多かったと思います。どの選択でも選択肢は複雑怪奇で、先に無数の枝分かれがある状態。どこが悪かったかとは一言では言えず、選択の繰り返しの中で気づけば形勢が悪くなっていたという印象です。

 逆に豊島竜王は、その羽生さんの選択を見て、自分が応手を考える局面が多く、その分、羽生さんより指しやすかったのではないかと思います。そうした場面で、ミス少なく、確実にまとめきった、と言えるでしょう。

 定跡に従って指される長手数の将棋よりも、今回のような超急戦は無限に枝分かれが存在し、読みの量は膨大です。経験したことのない判断を繰り返すわけですから。控室で検討するプロ棋士たちの判断も分かれました。短い手数ではありましたが、すごく濃密で、将棋の新しい可能性を示した一局だと思います。

対局後のフラッシュインタビュー

豊島将之竜王

――まずはこの対局の感想を。

 激しい戦いになって難しい将棋だったと思います。

――矢倉模様から早い時期に桂馬を跳ねていくのは、事前の構想だったと思いますが、対局前から考えていた?

 そうですね。一応、矢倉の出だしになったらこの指し方でと考えていました。

――控室では、歩で飛車を叩いたあたりから、評判が良かったですが。

 その後、先手には指し方がいろいろあるので、よく分かっていなかったのですが、あそこで叩いておかないと、横に逃げられたりするのも気になったので、叩くところなのかな、と。その後、どういうふうに進んでいくか分からなかったです。

――「封じ手」のあたりはまだ難しいと考えていた?

 難しい順がありそうな気もしていたんですけど、どうやればいいのか分からなかったので、形勢は分からなかったです。

――形勢がよくなったと感じたのは

 (2日目の)昼の休憩のあたりは、手の調子はいいような気もしたんですけど、具体的にどう指すかは難しいので、よく分からないまま指しました。

――勝ちが見えたには、もっと後?

 そうですね。

――竜王戦七番勝負史上、最短手数での勝利になります

20手ぐらいで終盤に入っているので、結構難しい将棋。いろいろ考えないといけない将棋でした。

――次戦への抱負を

 2局目から先後が決まってくるので、しっかり準備をして頑張りたい。

羽生善治九段

――対局を振り返って。

 駒がぶつかった後の選択が、ちょっと問題があったのかもしれないですね。本譜の順は、どうもさえなかったような気がします。

――封じ手の場面はどう考えましたか?

 封じ手は、歩を取るか、桂を取るか結構、悩んだのですが、ちょっとよく分からなかったですね。あの局面はどっちに行くか悩みました。

 2日目に入って、▲6三歩に△5二金と寄られて、思わしい手がなかったので、そこではもう、ちょっと悪かったのかもしれないですね。そこで思わしい手がなかったです。

――竜王戦七番勝負史上、最短手数になります

 最初から決戦になってしまったんで、そういうことになったのだと思います。

――次戦に向けて

 また気持ちを新たに次から頑張りたいと思います。

 午後4時12分 豊島竜王の△5七香で、羽生九段が投了。両者居玉のまま攻め合う激戦となった第1局は52手で豊島竜王の勝利となった。過去の竜王戦の最短決着は1999年10月の藤井猛竜王対鈴木大介六段(肩書はいずれも当時)の66手。数字の上でも歴史に残る一戦となった。

 午後3時35分頃 羽生九段の▲6四馬は「寄せてみろ」という一手。豊島竜王は19分、考えた末に△6八銀不成と指した。▲同金、△8八飛成と進む。羽生九段には攻め駒がなく、後手陣に迫る術が見えない。

 午後3時00分 「詰む」「詰まない」の終盤に突入する中、おやつの時間に。羽生九段はモンブラン、豊島竜王は4回連続でフルーツの盛り合わせ。最後はパイナップルが登場した。先手玉に厳しく迫る豊島竜王の△5七銀に羽生九段は苦悶の表情を浮かべる。控室では「正しく受けるのがかなり難しい局面」との声も。

 午後2時00分 現地で大盤解説会が始まった。梶浦宏孝六段と矢内理絵子女流五段が登壇。

 午後1時30分 昼食休憩が終わり、対局を再開。豊島竜王は盤面に向かって、ぐいと前のめりになった。報道陣が退室した直後に△8六飛。飛車を使って攻める手を選んだ。対する羽生九段は▲5五馬。4五の桂を狙う手。

 午後0時30分 豊島竜王の手番のまま昼食休憩に。2日目の昼食は豊島竜王が「鶏照り焼き重」、羽生九段が「ずわい蟹と茸のピラフ 卵白仕上げ」。飲み物は両者ともレモンティーだ。現在の戦況はどうか。新聞解説を担当する野月浩貴八段は「羽生九段は持ち駒2枚を使って受ける選択をした。逆に豊島竜王はこれからどう攻めの形を作るか考えている。豊島竜王ペースだが、まだこれから、ひとやま、ふたやまも待っている」。後手番ながら主導権を握りつつある豊島竜王。選択肢が多い場面で、休憩明けの次の一手が注目される。

 午前11時30分頃 羽生九段は1時間27分の長考の末に▲6八香。△7六馬、▲6九桂の進行に検討室では「おおっ」と声が上がる。持ち駒2枚を手放してでも、自陣に2手連続で手を入れた。「辛抱の展開」という声も。

 午前11時00分 豊島竜王が△5二金とかわした手に対し、羽生九段の長考が続いている。「居玉でここまで攻めかかられる展開は珍しい」とは、竜王戦プレミアムの解説会で解説を務める梶浦宏孝六段。形勢について、「まだ難しい。ここで苦しそうな受けになると、豊島竜王がいいのかも。次の一手に注目です」

 梶浦六段は今季の竜王戦決勝トーナメントで破竹の4連勝。ベスト4で羽生九段に惜しくも敗れた。初対戦となった対局を振り返り、「羽生九段が、普通の棋士なら直感的に省きたくなるような、きわどい手まで読んでいることが感想戦でわかり、衝撃を受けた」。長考を続ける羽生九段。どこまで読みを深めているのだろう。

 午前10時00分 2日目最初のおやつの時間。両者ともに「フルーツの盛り合わせ」を注文した。豊島竜王はこれで初日の10時のおやつから3連続の”フルーツ攻め”。それを想定してか、毎回、少しずつ変わるフルーツの中身と盛りつけを見るのもまた、楽しい。午後3時はどんなフルーツが出てくるのか……。

 午前9時00分 今日10月10日に50歳の誕生日を迎えた立会人の森内俊之九段が封じ手を開封。▲2七同飛。飛車先の利きを優先した手だが、自陣の飛車の横利きがなくなり、防御力は下がる。豊島竜王はすでに手を決めていたのか、ノータイムで△4五桂。激戦が再開した。

 

午前8時47分 羽生九段が対局場へ。ほどなくして豊島竜王も。記録係の手順読み上げとともに、初日の手順を再現する。

初日に進んだのは、わずか26手。両者かみしめるように指し進める。

10月9日

 序盤から一気に終盤戦に突入するような超急戦となった第33期竜王戦七番勝負の第1局。1日目の午後は、豊島竜王、羽生九段とも難解な局面で互いに長考を繰り返し、わずか26手の進行で羽生九段による「封じ手」となった。新聞解説を担当する野月浩貴八段に封じ手の予想を聞いた。

 水面下で落とし穴が山ほどあるような局面が続いています。それらをすべて検討した上で、両棋士は慎重に指し進めている状況です。

 候補手は、(1)▲2七同飛(2)▲5八飛(3)▲3三角成の三つと考えられます。

 ▲2七同飛は飛車先の利きを優先した手ですが、自陣の飛車の横利きがなくなります。後手の△4五桂に対し、どう迎え撃つのかが難しい所です。

 ▲5八飛は受け(守り)に回る一手。△4五桂に対しても飛車で5筋がちゃんと守れています。攻撃は5五の角が担うことになります。

 最後の▲3三角成は、一直線で殴り合う一手と言っていいでしょう。

 現在は、攻め合いの様相ですが、お互い玉の守りが薄いので、このまま攻め続けるとやはり危険です。お互い、どこかの場面で効率良く自陣に一手、守りを補強する手を入れて、ぎりぎりで勝ちきろうと思っていると思います。羽生九段にとって、それがこの封じ手の場面なのか、どうか。

 検討室の将棋盤で棋士が駒を動かしても正解が見えない難しい局面。明日の朝、明らかになる封じ手が注目されます。

 午後6時8分 羽生九段が立会人の森内俊之九段に封じ手を渡す。わずか26手の進行となった1日目。しびれるような超攻撃的な戦いは明日、どんな一手で再開されるのか。

 午後5時50分頃 羽生九段が「(自分が)封じます」という意思を記録係に伝えた。

 午後5時13分 豊島竜王が再び1時間を超える長考で△2七歩。飛車の利きを押さえる手を選んだ。すでに「詰む」「詰まない」の手順も読まなければならない局面に突入している。羽生九段も前傾姿勢で熟考の姿勢。▲同飛と取ると、自陣の飛車の横利きがなくなる。自玉の安全はそれでも担保されるのか。羽生九段は見極める必要がある。このまま「封じ手に入るのでは?」の声も

 午後3時55分 羽生九段が1時間42分の長考の末、▲3三角成と角交換に踏み切る。△同桂に▲5五角。天王山に角を放つ。激しさは収まるどころか、増すばかりだ。

 午後3時 序盤から激しい展開となった竜王戦七番勝負第1局。22手目ではやくも3時のおやつの時間となった。豊島竜王は「フルーツ盛り合わせ」と「アップルジュース」、羽生九段は「無花果のタルト」に「ホットコーヒー」。季節感たっぷりの芸術的な盛りつけに検討室でも「きれい」と歓声があがるが、盤上では一瞬も気の抜けない張り詰めた戦いが続く。

 

 午後2時7分 豊島竜王が△7七桂成。銀桂交換で駒得をする一手。昼食休憩を挟んで1時間39分の大長考だった。検討室では「順当な一手」との声も上がるが、羽生九段の▲同桂に対する△6二金に「ほぉ」という声が。羽生九段がいったん、足を崩して、席を立つ。今度は羽生九段が熟慮の構えだ。

 午後1時30分 昼食休憩明け。羽生九段が先に対局場に入り、ほどなくして豊島竜王も着座。豊島竜王は前傾姿勢で盤面を見つめる。重大な局面。昼食休憩明けもすぐには指さない。

 午後0時30分 羽生九段の▲2四同角から、豊島竜王が長考に入り、そのまま昼食休憩に。昼食のメニューは、豊島竜王が国産牛の網焼き”ステーキ重”温野菜添え、羽生九段が特製かるめら 黒印度カレー。19手目にして、一手間違えれば、一気に展開が形勢が傾く重大局面を迎えている。両対局者はどのような気持ちで、昼食を取るのだろう。

 

 午前11時00分 会場となったセルリアンタワー能楽堂では、竜王戦を間近で観戦できる特別プログラム「竜王戦プレミアム」も開かれている(事前申し込み制)。午前11時からは別室で戸辺誠七段と中村桃子女流初段による竜王戦トークがスタート。戸辺七段も超急戦模様の展開に「ノーガードの打ち合いのよう」と驚いた様子。

展開の大きな分岐点となるとみられていた15手目。羽生九段が選んだのは▲7九角。「来れるものなら、来い」という強気の一手。豊島竜王はすかさず△6五桂。検討室では「のっぴきならない戦いが始まる」の声が。竜王戦第1局は、超急戦に突入した。

 午前10時20分 後手が△6四歩とついた局面、羽生九段は手をとめて考えている。新聞解説を担当する野月浩貴八段は「豊島竜王は後手番ながら、主導権を握るぞという指し方。△6五桂からいつでも行くぞ、と。先手は受け方に気を使う局面です。後手が△6五桂と跳ねる展開になると、後戻りできない、のっぴきならない戦いになります」

午前中の進行で、検討室にどよめきが上がったのが、豊島九段の6手目△7四歩。得意の矢倉模様に構える羽生九段に対し、急戦含みの駒組みで対抗した。10手目には早々に△7三桂と跳ねた。

 午前10時00分 おやつの時間。豊島竜王はフルーツ盛り合わせ。羽生九段はプリンアラモード。タイトル戦初日の午前は必ずフルーツ盛り合わせを頼むという”豊島定跡”は今シリーズでも。

 

 午前9時00分 立会人の森内俊之九段の「定刻になりました」の声を合図に、対局が始まる。再び目を閉じ、黙想した羽生九段は静かに▲7六歩と指した。動画はこちら

 午前8時55分 先手番、後手番を決める振り駒が行われる。「と金」4枚で羽生九段の先手番に。手をあごにあて、思案する羽生九段。シリーズ全体の展開を左右する振り駒の結果をどう受け止めたのか。

 午前8時48分 羽生九段が対局場へ。着座すると、目をつぶり黙想する。1分ほど遅れて豊島竜王も。一礼して着座。

 10月8日 前夜祭
 両対局者がそれぞれ七番勝負への意気込みを語った。
 豊島竜王「竜王戦にふさわしい将棋を指したい」
 羽生九段「悔いの残らないシリーズにしたい」
 森内俊之九段、野月浩貴八段、矢内理絵子女流五段の三人が見どころを解説。
 戸辺誠七段、梶浦宏孝六段、中村桃子女流初段は戦型を予想した。
 前夜祭の動画はこちら

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1531430 0 竜王戦 2020/10/08 17:57:00 2020/10/23 19:01:50 2020/10/23 19:01:50 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201010-OYT8I50024-T.jpg?type=thumbnail

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