[記者が震えた竜王戦名勝負]<6・前編>勝負手3連発、豊島竜王誕生

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

第32期 七番勝負第5局 豊島将之名人-広瀬章人竜王(肩書は対局当時)

第32期竜王戦七番勝負第5局を制し、シリーズ4勝1敗で竜王を獲得した豊島名人(肩書は当時)。2019年12月7日、島根県津和野町で
第32期竜王戦七番勝負第5局を制し、シリーズ4勝1敗で竜王を獲得した豊島名人(肩書は当時)。2019年12月7日、島根県津和野町で

 [記者が震えた竜王戦名勝負]<5・後編>はこちら>>

 豊島名人が3勝1敗と、竜王位に王手をかけていた一戦。序盤では、互いの水面下での研究がぶつかりあった。中盤で形勢を損ねた豊島名人だが、有利になった広瀬竜王は決め手を発見できずにいた。終盤、豊島名人は相手の心の隙を狙い撃つような「勝負手3連発」で一気に流れを引き寄せる。攻めの棋風の豊島名人は、直感を信じて踏み込んだ。鮮やかな逆転勝ちでシリーズを制し、初の竜王位に。「とよぴー」は史上4人目の竜王・名人同時保持者となり、将棋界のトップに躍り出た瞬間でもあった。

 対局の模様を2019年12月20日から12回にわたって読売新聞に掲載された観戦記とともに振り返る。

第1譜

 (先)名人 豊島将之(3勝1敗) × 竜王 広瀬章人(1勝3敗)
 ▲2六歩 … △8四歩  1
 ▲7六歩 … △8五歩  2
 ▲7七角 … △3四歩  1
 ▲6八銀 1 △3二金  1
 ▲7八金 … △7七角成 1
 ▲同 銀 … △2二銀  …
 ▲3八銀 … △6二銀  1
 ▲4六歩 1 △4二玉  1
 ▲4七銀 … △6四歩  1
 ▲3六歩 … △7四歩  …
 ▲3七桂 1 △7三桂  1
 ▲6八玉 … △3三銀(図)1

 ▲2九飛 … △6三銀  1
 ▲4八金 … △8一飛  1
 ▲1六歩 … △1四歩  …
 ▲9六歩 1 △9四歩  …
 ▲6六歩 1 △6二金  1
 ▲5六銀 3 △5四銀  2
 ▲7九玉 1 △3一玉  2
 8時間(△0時間18分 ▲0時間09分)38手

津和野対局

 昭和の初め、島崎藤村は津和野を訪れた時のことを「山陰土産」に記している。ときの望月町長は藤村に「工業や商業はほかの町に譲るとしましても、教育事業だけは津和野が引き受けて見せます」と語ったという。

 近年、将棋が学校教育に取り入れられている。礼に始まり礼に終わる文化、先を読む力、多種多様な駒が協力しあって目標を達成するゲーム性から学べることは多い。

 第5局の舞台は作家の森鴎外、哲学者の西周らを輩出した島根県・津和野町「藩校・養老館」。偉人たちが学んだ場で最高峰の一局が行われた。

 12月6日。津和野では初雪が降っていた。午前8時49分、広瀬が入室。2分ほどすると、豊島もやって来た。両者が一礼をかわすと広瀬が駒箱を開け、駒が並べられた。

 定刻の午前9時。立会人、小林健二九段の合図で対局開始。豊島は第1、3局に続き、角換わり腰掛け銀を採用した。

 雪は次第に雨となり、対局室には雨音が聞こえてきた。(池田将之)
 =2019年12月20日読売新聞朝刊より、肩書は当時

残り:3544文字/全文:4636文字
読者会員限定記事です
新規登録ですぐ読む(読売新聞ご購読の方)
無断転載・複製を禁じます
1554385 0 竜王戦 2020/10/16 20:23:00 2020/10/16 20:59:28 2020/10/16 20:59:28 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201016-OYT8I50091-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

新着クーポン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ