挑戦者・羽生九段大きな1勝…竜王戦七番勝負第2局詳報(随時更新)

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 豊島将之竜王(30)に羽生善治九段(50)が挑戦する第33期竜王戦第2局が10月22、23の両日、名古屋市中区の万松寺で行われ、96手までで羽生九段が勝った。羽生九段が1勝を返して1勝1敗としたことで、シリーズはますます面白くなってきた。

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 両対局者の指し手は「動く棋譜」で

対局中継(録画)

タイムライン

10月23日

午後6時44分 感想戦が終わる。対局終了から約1時間半、長めの感想戦だった。

 新聞解説を担当する山崎八段に本局を振り返ってもらった。

 「角換わりの将棋は多いが、その中では一番、戦形としては数少ない組み合わせだった。羽生九段の趣向に反応したという面はあるが、豊島竜王は引き出しの多さを見せた。ただ、羽生九段は同世代の丸山忠久九段らと似たような形でしのぎを削った。対応に苦慮するような場面でもうまくバランスをとって主導権を渡さず、経験値で豊島竜王の策を上回った。

 最後の寄せは、羽生九段が銀を打っているから(86手目の△7六銀)寄せがあることがわかり、そこからやっと見つけた。答えがない場面からこれを見つけるあたりは視野の広さだ。人間の盲点となる部分の読みも入っているところが、勝敗に結びついた」

 投了の局面、豊島竜王は6八の金で7八の角を取っても△同銀不成で受けなし。角を持っても羽生玉に詰みはない。7五の飛車で7六の銀を取ろうとしても、△8八角成▲同玉△8七歩で、玉が9七に逃げても7七に逃げても△8八銀まで。「その瞬間だけ味方が(逃げ道をふさぐ)敵になっている」(山崎八段)という、まさに芸術的な寄せだ。

対局後のフラッシュインタビュー

羽生九段

――この一局を振り返って。

 角換わりでお互い手待ちが難しい将棋で、こちらも仕掛けていくあたりはだいぶ迷ったのですが、思い切って行きました。

――序盤で△6四歩(14手目)と突いたあたりは事前の準備か。

 似たような将棋を指しているので、それを踏まえてということです。

――封じ手のあたりは?

 よくわからなかったですね。封じ手の前後は手が広いところだったので。どういう展開になるのか、ちょっと予測できなかった。

――2日目に入ってから激しい展開になった。自分の方が指せると思ったのはどのあたりか。

 いや、ずっとはっきりしないというか、きわどい展開なのではないかなと思って指していたので、難しい局面が続いていると思っていた。

――飛車の頭を歩でたたいた(78手目)あたりでもまだ?

 全然そこは、何かよくわからなかったです。

――勝ちを意識したのは最後の最後と。

 そうですね。何とか寄っているのではないかと思って、その手順が見えて勝ちになったのかなと思いました。

――第3局への抱負を。

 引き続き、いい将棋が指せるように頑張っていきたいと思います。

豊島竜王

――本局を振り返って。

 途中から苦しかった。どこが悪かったのかはっきりわからないですけど。

――▲3三銀(69手目)と打ち込んだあたり、強い手だなという声もあったが

 でも▲7六飛(75手目)の時に相手に駒を渡しすぎているので、寄せられるかなという感じがしていた。▲3四桂(65手目)のところで、▲3六飛とかすれば長いのでしょうけど……。

――その前のあたりから多少苦しくなったと。

 いや、わからなかったです。ちょっと苦しいような気もしたのですが。自信はなかったのですが、はっきりまずいのかどうか、そこまではわからなかったです。

――第3局への抱負を。

 気持ちを切り替えて頑張りたいと思います。

午後5時10分 豊島竜王が投了。96手までで羽生九段の勝ちとなった。

午後5時頃 豊島竜王が王手で飛車を打って席をはずした。自陣は羽生九段の駒に囲まれている。席に戻ると、マスクを取り出し、着用した。

午後4時25分頃 豊島竜王は▲5一角と王手、羽生九段はあまり時間を使わず銀を合い駒。担当記者は「早いですね」。4二の地点で角と銀の交換になった。控室の動きがあわただしくなってきた。

午後4時過ぎ 豊島竜王が顔を真っ赤にして盤面を見つめている。「あれは見落としがあった時の顔」と担当記者。

午後3時50分過ぎ 羽生九段が△7六銀と打った。読み切ったか。

午後3時30分過ぎ 豊島竜王の玉の周辺で攻防が続いている。85手目、豊島竜王が▲8七歩と打った手に対し、寄せがあるのかないのか、控室の検討も熱を帯びてきた。

午後3時 午後のおやつは豊島竜王、羽生九段ともに「フルーツショップ檸檬屋」のフルーツ盛り合わせ。飲み物は豊島竜王が100%りんごジュース、羽生九段がホットコーヒー。

午後のおやつは、豊島竜王、羽生九段ともに「フルーツショップ檸檬屋」のフルーツ盛り合わせ
午後のおやつは、豊島竜王、羽生九段ともに「フルーツショップ檸檬屋」のフルーツ盛り合わせ

午後2時50分頃 銀の王手に対し、豊島竜王は玉を横に寄ってかわす。羽生九段は△7五歩で飛車をつり上げてから、8六に飛車を走った。

 万松寺2階の「白龍ホール」では大盤解説会が開かれている。抽選に当たった約100人の観客が山崎八段や内藤国雄九段門下の俊英・三枚堂達也七段の解説に耳を傾けている。

万松寺2階の「白龍ホール」で開かれている大盤解説会
万松寺2階の「白龍ホール」で開かれている大盤解説会

午後2時10分 豊島竜王が3三に打った銀を羽生九段は同桂と取った。羽生九段の玉は3三の地点に引っ張り出された。豊島竜王は▲3六飛で王手、羽生九段に△3四歩と打たせてから、7六の歩を取る。羽生九段は△8九銀と打ち込む。本格的な終盤戦に突入した。

【山崎八段の解説】

 現在の局面は完全な終盤戦。羽生九段が豊島さんの玉をとらえられるかが焦点。つかまえることができなければ、豊島竜王にチャンスが回ってくる。

午後1時30分 昼食休憩が終わり、対局再開。

午後0時30分 昼食休憩に入った。

午後0時20分過ぎ 豊島竜王が王手で▲3三銀と打ち込んだ手に対し、羽生九段が考えている。時折、扇子を取り出し顔をあおぐ。豊島竜王は盤面を凝視している。

 昼食の情報が入ってきた。豊島竜王は「和食とみだ」の鰻まぶし丼と緑茶。羽生九段は「元祖とりカツなごみどり」の味噌とりカツ定食と100%りんごジュース。

豊島将之竜王の昼食(右)と、羽生善治九段の昼食(23日午後、名古屋市中区の万松寺で)=若杉和希撮影
豊島将之竜王の昼食(右)と、羽生善治九段の昼食(23日午後、名古屋市中区の万松寺で)=若杉和希撮影

午前11時50分 羽生九段は3四の桂馬を△同銀直ではずした。豊島竜王はすぐに▲同歩。5筋の歩が切れているので、△5七歩のたたきが見えるが、これは難解。羽生九段は△7六歩と取り込む。これも有力と見られていた手だ。

午前11時20分ごろ 実戦の進行は▲5三歩成△同金に▲3六飛ではなく、王手の▲3四桂だった。終盤の入り口にきている。どちらが読み勝っているのか。

午前10時20分過ぎ 豊島竜王は1時間21分の考慮で▲5三歩成。△同金、▲3六飛が新聞解説の山崎八段が予想する進行。

午前10時 羽生九段の△3六歩にどう対応するか。豊島竜王が考えている。

午前のおやつは豊島竜王が「フルーツショップ檸檬屋」のフルーツ盛り合わせと緑茶。羽生九段が納屋橋饅頭と抹茶。

豊島将之竜王の午前のおやつ「フルーツショップ檸檬屋」の「フルーツ盛り合わせ」と緑茶(冷)(23日午前、名古屋市中区の万松寺で)=若杉和希撮影
豊島将之竜王の午前のおやつ「フルーツショップ檸檬屋」の「フルーツ盛り合わせ」と緑茶(冷)(23日午前、名古屋市中区の万松寺で)=若杉和希撮影
羽生善治九段の午前のおやつ「納屋橋饅頭」と抹茶(23日午前、名古屋市中区の万松寺で)=若杉和希撮影
羽生善治九段の午前のおやつ「納屋橋饅頭」と抹茶(23日午前、名古屋市中区の万松寺で)=若杉和希撮影

午前9時 対局再開。豊島竜王はすぐ▲8六同歩と応じた。

午前8時47分 羽生九段が入室。やや遅れて豊島竜王も対局室へ。豊島竜王が駒箱を開け、両者駒を並べ1日目の手順を再現。立会人の青野九段が封じ手を開封、注目の封じ手は△8六歩であることを告げる。

開封された「封じ手」を確認する豊島将之竜王(右)と羽生善治九段(中央、左は立会人の青野照市九段) (23日午前8時59分、名古屋市中区の万松寺で)=若杉和希撮影
開封された「封じ手」を確認する豊島将之竜王(右)と羽生善治九段(中央、左は立会人の青野照市九段) (23日午前8時59分、名古屋市中区の万松寺で)=若杉和希撮影

10月22日

 勝負どころの60手目で指し掛けとなった竜王戦第2局。新聞解説を担当する山崎隆之八段に封じ手の予想を聞いた。

 封じ手の1手前、豊島竜王は筋よく5四歩と突いた。羽生九段はどう対応しても陣形が崩れてしまうので、ここは攻め合いに持ち込むしかない。豊島陣をどう攻略するか、まさに勝負どころだ。

 候補手は(1)△3六歩(2)8六銀(3)4九銀の三つ。

 (1)は飛車の横利きをさえぎって相手の反応を見るというもの。豊島竜王がこの歩を取れば、2七に角を打って4五に成る狙い。歩を取らなければ、7六歩の取り込みが厳しくなる。

 (2)は豊島竜王が歩切れであることに乗じて、敵陣に迫ろうという手。ただし、ここに銀を打ってしまうと、詰む詰まないの局面まで読まないといけないので、決断を要する。

 (3)8六歩も考えたが、4九銀という手もやってみたくなった。5九に金を引かれると、銀は取られるが、銀一枚を犠牲にして3六歩との組み合わせで包囲網を築き、一気の攻略を目指す手だ。

午後6時 立会人の青野九段が封じ手の時刻になったことを告げる。羽生九段はしばらく考えた後、6時2分に60手目を封じ、1日目の戦いが終了した。

「封じ手」の入った封筒を立会人の青野照市九段(右)に手渡す羽生善治九段(中央は、豊島将之竜王)(22日午後6時8分、名古屋市中区の万松寺で)=若杉和希撮影
「封じ手」の入った封筒を立会人の青野照市九段(右)に手渡す羽生善治九段(中央は、豊島将之竜王)(22日午後6時8分、名古屋市中区の万松寺で)=若杉和希撮影

午後5時10分過ぎ 羽生九段の7五歩に対し、豊島竜王は1時間4分の長考で5四歩と突いた。「筋のいい人はこうさしますよ」と山崎八段が話していた手だ。難しい局面が続いている。封じ手の時刻が近づいてきた。

午後3時 午後のおやつ。豊島竜王は「フルーツショップ檸檬屋」のフルーツ盛り合わせ。100%ももジュース。羽生九段がケーキショップ「ガトー・デュラ・メール・スリアン」のショコラクラシック。ホットコーヒー。

午後3時過ぎ 羽生九段の6五桂に対して、豊島竜王は36分考えて4五歩。強気には強気の応酬だ。控室で検討に加わっている脇謙二八段(日本将棋連盟専務理事)は「受けを放棄した手だね」。

【青野九段の解説】
 味を持たせて複雑に攻める7五歩、相手に手を渡す3二玉といった手も考えられる中で、羽生九段が選んだのは単に攻める6五桂でした。
 豊島竜王の方は銀が逃げるとは限りません。桂馬が手に入れば、3四や2四など打ち込む手があります。7三から角を打って6四に引くような展開になれば、不満はないでしょう。

午後2時29分 羽生九段が1時間を超える長考の末、6五に桂馬を跳ねた。

午後1時30分 対局再開。手番の羽生が考慮を続けている。豊島竜王はやや前かがみの姿勢で盤面を凝視。

12時30分 羽生九段が次の手を考慮中、昼食休憩に入る。

12時20分 両対局者の昼食情報が入ってきた。豊島竜王が鮨処「寿し半」のにぎり盛り合わせ。緑茶(冷、氷なし)。羽生九段は「万松」釜揚げしらす丼と唐揚膳。ウーロン茶(冷、氷なし)。

豊島竜王(右)と羽生九段の昼食
豊島竜王(右)と羽生九段の昼食

12時過ぎ 4一に銀を「打ってこい」という手に対し、豊島竜王は35分の考慮で4一銀。羽生九段は4二金左と受ける。控え室でも予想されていた応酬だ。

午前11時30分過ぎ 指し手のペースがスローダウン。両者に少考が目立ち始めた。豊島竜王の5五歩に対し、羽生九段は4三に銀を打って自陣を補強。豊島竜王は飛車を浮いて手を渡す。「両者ともに動かす駒が難しい。いかにスキを作らないようするか」(山崎八段)と話していたところで、羽生九段が2二へ玉を上がった。4一に銀を打たれる手が見えているだけに大胆な一手だ。

午前10時過ぎ 将棋は角換わりとなり、先手の豊島竜王が攻めの銀を4六に進出させる「早繰り銀」を採用。3筋で早くも銀交換となった。控え室では、立会人の青野九段、副立会人の山崎隆之八段が将棋盤で駒を動かしながら検討している。

午前10時 午前のおやつ、豊島竜王は「フルーツ盛り合わせ」。羽生九段は栗きんとん「やまみやげ」、「栗蒸しようかん」、緑茶(冷)。

午前9時 立会人の青野照市九段の合図で対局開始。先手の豊島竜王は初手、飛車先の歩を突く。

第33期竜王戦七番勝負第2局 初手を指す豊島将之竜王(右)と羽生善治九段(22日午前9時、名古屋市中区の万松寺で)=若杉和希撮影
第33期竜王戦七番勝負第2局 初手を指す豊島将之竜王(右)と羽生善治九段(22日午前9時、名古屋市中区の万松寺で)=若杉和希撮影

午前8時49分 豊島竜王入室。駒箱を開け、盤上に駒を並べる。豊島竜王はじっと盤面を凝視。羽生九段は時折、天井を見上げながら対局開始を待つ。

午前8時47分 挑戦者の羽生九段入室。

10月21日

午後6時 前夜祭が始まる。愛知県の大村知事、名古屋市の河村市長らのあいさつの後、花束贈呈。両対局者がそれぞれ対局に向けた決意を表明した。 羽生九段「自分が今持っているものを出し切って将棋ファンに面白いと思ってもらえるような将棋を指せるよう、一生懸命やっていきたい」 豊島竜王「竜王戦は1局戦って、世間からの注目の高さを感じている。自分も力を出し切って、明日からの対局がよい対局になるよう頑張っていきたい」

花束を手に壇上に並んだ豊島竜王(左)と羽生九段
花束を手に壇上に並んだ豊島竜王(左)と羽生九段

午後5時 両対局者が対局室に入り、対局で使われる盤、駒、照明などを入念にチェック。駒は今回の対局のために新調されたもの。豊島竜王は座布団が気になった様子で、厚めのものに取り替えてもらっていた。

対局に使う盤や駒を検分する豊島竜王。手前は挑戦者の羽生九段(21日午後5時、名古屋市中区の万松寺で)
対局に使う盤や駒を検分する豊島竜王。手前は挑戦者の羽生九段(21日午後5時、名古屋市中区の万松寺で)

午後4時40分過ぎ 対局場検分と前夜祭のため、豊島竜王、続いて羽生九段が万松寺に到着。記念撮影の後、祈祷を受ける。

万松寺にある白竜の像の前で記念撮影に応じる豊島竜王(右)と羽生九段
万松寺にある白竜の像の前で記念撮影に応じる豊島竜王(右)と羽生九段
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1563709 0 竜王戦 2020/10/20 21:20:00 2020/11/06 16:06:59 2020/11/06 16:06:59 第33期竜王戦七番勝負第2局 初手を指す豊島将之竜王(右)と羽生善治九段(22日午前9時、名古屋市中区の万松寺で)=若杉和希撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201022-OYT8I50023-T.jpg?type=thumbnail

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