第33期竜王戦七番勝負 中間展望…戦いと研究 伯仲の頂上決戦

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戸辺誠七段 伊藤かりんさん(元乃木坂46) 向井葉月さん(乃木坂46)

戸辺誠七段(右)から竜王戦七番勝負第1局の解説を聞く伊藤かりんさん(左)と向井葉月さん(10月26日)=伊藤紘二撮影
戸辺誠七段(右)から竜王戦七番勝負第1局の解説を聞く伊藤かりんさん(左)と向井葉月さん(10月26日)=伊藤紘二撮影
とべ・まこと 1986年生まれ、神奈川県出身。加瀬純一七段門下で2006年にプロ入り。16年に七段へ昇段した。振り飛車党で「戸辺攻め」と称される強烈な寄せが持ち味。将棋普及にも尽力している
とべ・まこと 1986年生まれ、神奈川県出身。加瀬純一七段門下で2006年にプロ入り。16年に七段へ昇段した。振り飛車党で「戸辺攻め」と称される強烈な寄せが持ち味。将棋普及にも尽力している
いとう・かりん 1993年生まれ、神奈川県出身。乃木坂46の元メンバーで、棋力はアマ初段の本格派。日本将棋連盟の将棋親善大使を務めている。得意戦法は振り飛車で、金駒を使った「受け」主体の棋風だ
いとう・かりん 1993年生まれ、神奈川県出身。乃木坂46の元メンバーで、棋力はアマ初段の本格派。日本将棋連盟の将棋親善大使を務めている。得意戦法は振り飛車で、金駒を使った「受け」主体の棋風だ
むかい・はづき 1999年生まれ、東京都出身。乃木坂46の3期生で、Eテレの「将棋フォーカス」の司会を2019年4月から務めている。棋力はアマ級位者で、得意戦法は名字にちなんだ「向かい飛車」
むかい・はづき 1999年生まれ、東京都出身。乃木坂46の3期生で、Eテレの「将棋フォーカス」の司会を2019年4月から務めている。棋力はアマ級位者で、得意戦法は名字にちなんだ「向かい飛車」

 豊島将之竜王(30)が初防衛を果たすか。挑戦者の羽生善治九段(50)が通算タイトル100期を達成するか――。第33期竜王戦七番勝負は第2局を終えて1勝1敗。将棋界の最高棋戦らしく白熱した展開になった。これまでの2局はどんな内容だったのか。七番勝負は今後、どうなりそうなのか。元乃木坂46で将棋アマ初段の伊藤かりんさん(27)と乃木坂46で将棋番組の司会を務める向井葉月さん(21)が、戸辺誠七段(34)に聞いた。(文化部 吉田祐也)

豊島竜王 「攻め」貫いて先勝

羽生九段 「100期」へ積極姿勢

◆第1局

打診の歩使い

 戸辺 竜王戦は第1局、第2局を終え、豊島竜王の研究の深さ、羽生九段の積極的な指し手が印象に残っています。まずは、52手と短手数の熱戦となった第1局を振り返ります。

 向井 52手! 私の将棋みたいな短い手数ですね。

図1
図1

 戸辺 互いが「攻め」を貫いた結果です。見てください。まだ16手目ですが、△6五桂=図1=と、後手の豊島竜王がいきなり先手陣に襲いかかりました。

 伊藤 桂馬は跳ねたら後戻りができないから、すごく研究をしていそう。

 戸辺 確かに、豊島竜王の研究量は棋界随一です。ここで羽生九段は銀を逃げず、▲2四歩と反発して大激戦になりました。両者、全く玉を囲わず「居玉」のまま戦い続けます。

 伊藤、向井 えー!!

図2
図2

 戸辺 豊島竜王と羽生九段は将棋の常識に挑戦している感じです。中盤戦がないような将棋で、26手目の△2七歩=図2=は封じ手直前の局面です。悩ましいタイミングで飛車の動きを打診した豊島竜王の△2七歩が好手でした。

 伊藤 取るべきか、飛車を横に逃げるべきか。迷います。こんな歩の使い方ができるようになりたい。

 戸辺 この△2七歩で主導権を握った豊島竜王が、2日目はリードを広げて勝ちました。竜王戦七番勝負史上最短手数の52手、互いに居玉で終局というのはタイトル戦では見たことがない珍しいケースでした。

◆第2局

手渡しの妙手

図3
図3

 戸辺 第2局は豊島竜王得意の「角換わり」に。前局より穏やかな駒組みになって、△2二玉=図3=と羽生九段は入城しました。気になる手があります。

 向井 ▲4一銀と両取りに打たれたら……。

 戸辺 大当たり。実戦も▲4一銀と進行しました。羽生九段はあえて両取りを打たせて、銀を持ち駒に加える高等戦術に出ました。

 伊藤 奥が深いです。

 戸辺 その後は両者、攻め合いに出ます。

図4
図4

 向井 あっ、その局面。▲5四歩=図4=のところが気になります。歩が三つもぶつかっているのに、どうして取らないのですか。

 戸辺 鋭い視点です。普通は歩を取るように教えていますが、豊島竜王や羽生九段の域になると、相手の言いなりになることを嫌います。達人の間合いです。

 伊藤 歩を取るのは利かされになってしまうと。

 戸辺 はい。この次の羽生九段の△8六歩が封じ手で、▲同歩に△3六歩と手を渡したのが羽生九段らしい妙手でペースをつかみました。豊島竜王は攻めるタイミングに自信が持てなかったようで、最後は羽生九段の寄せが決まりました。

 向井 手の流れがとても難しくて、ほとんど理解ができないというか。

 伊藤 私もどうにか、追っている感じです。

 戸辺 最高峰の舞台での対局は、棋士の目から見ても高度な応酬です。雰囲気をつかんでいただけたら。

◆今後の展望

 戸辺 序盤で主導権を握ろうとする豊島竜王に、アグレッシブな指し回しが目立つ羽生九段。第2局で勝利した羽生九段は通算タイトル100期に向けて勢いが出たように感じます。

 向井 100期……。すごすぎて言葉が出ません。

 伊藤 もちろん、100期という羽生九段の偉業を見てみたいですが、タイトル防衛に懸ける豊島竜王の意地も感じています。

 戸辺 両対局者は調子が良さそう。第7局までもつれこむような、長丁場の戦いを期待したいです。

解説会が再開

 コロナ禍にあって、今年度は将棋のタイトル戦で、現地大盤解説は行われてこなかった。今回の竜王戦七番勝負から、感染症対策を徹底した上で、現地大盤解説会を開催している。第2局、万松寺での解説会=写真=では熱心なファンが棋士の話に耳を傾けていた。

 乃木坂46のライブや握手会イベントは、オンライン形式になったという。向井さんは「ファンとふれ合えるイベントはいいですね。私は将棋の解説会に行ったとしたら、勇気を出して棋士の先生に将棋の手のことを質問してみたい」と、はにかみながら話した。

「将棋めし」が話題…フルーツ好む豊島 羽生は銘菓を注文

「ステーキ重」
「ステーキ重」

 ――近年はニュースでも話題になる対局者の「将棋めし」をどうみましたか。

 伊藤 豊島竜王が注文する食事は、私の好物が多くて気になります。第1局の「ステーキ重」=写真=はとてもおいしそうです。

 向井 わーあ。これ、食べたいです。このステーキに大根おろしをトッピングすることはできますか。

 戸辺 無理のない範囲で対局者の要望は聞いてもらえますよ。向井さんのように、対局者と同じ「将棋めし」を食べたいというファンは多くて、藤井聡太二冠(18)がタイトル戦で注文した食事が、ホテルで人気を集めていました。

 伊藤 豊島竜王は、第1局と第2局、計8回のおやつ全て「フルーツ盛り合わせ」でしたね。

 向井 全部フルーツですか。羽生九段のおやつは、どんな感じでしたか。

「栗きんとん・栗蒸し羊羹」
「栗きんとん・栗蒸し羊羹」

 戸辺 羽生九段は和菓子を食べていました。第2局の「栗きんとん・栗蒸し羊羹ようかん」=写真=は地元の銘菓。対局者はご当地の名産品を頼むことも多いです。

 向井 とってもおいしそう。対局中は甘いものを食べた方が、エネルギーを補給できそうです。

 伊藤 豊島竜王の「フルーツ攻め」は、独特なこだわりがありそうです。色々と推測ができて、将棋中継の楽しみの一つですね。

【これまでの結果と今後の日程・対局場】(▲が先手番)

▽第1局 10月9、10日

 セルリアンタワー能楽堂(東京都渋谷区)

 ▲羽生九段 ●-○ △豊島竜王

▽第2局 10月22、23日 万松寺(名古屋市)

竜王戦七番勝負第2局。感想戦で対局を振り返る羽生善治九段(左)と豊島将之竜王=林陽一撮影
竜王戦七番勝負第2局。感想戦で対局を振り返る羽生善治九段(左)と豊島将之竜王=林陽一撮影

 ▲豊島竜王 ●-○ △羽生九段

▽第3局 11月7、8日 仁和寺(京都市)

▽第4局 11月12、13日 吉川屋(福島市)

▽第5局 11月26、27日 指宿白水館(鹿児島県指宿市)

▽第6局 12月5、6日 ホテル花月園(神奈川県箱根町)

▽第7局 12月16、17日 ほほえみの宿 滝の湯(山形県天童市)

          ◇

主催=読売新聞社、日本将棋連盟

特別協賛=野村ホールディングス

協賛=東急グループ、UACJ、旭化成ホームズ

無断転載・複製を禁じます
1599900 0 竜王戦 2020/11/04 05:00:00 2020/11/04 11:03:22 2020/11/04 11:03:22 戸辺誠七段(右)から竜王戦の対局の解説を聞く将棋アマ初段で元乃木坂46の伊藤かりんさん(左)と将棋番組の司会を務める乃木坂46の向井葉月さん(26日午後7時48分、東京都千代田区で)=伊藤紘二撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201103-OYT8I50040-T.jpg?type=thumbnail

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