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[観る将が行く]データが示す「天王山の一局」

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 新聞社がニュースを報じるにあたって大切にしていることの一つに、「意義づけ」がある。報じようとしているニュースにどのような意味があり、報じる意義はどこにあるのかを考えることが「意義づけ」だ。これが確かであれば、読者のみなさんにニュースが明確に伝わる。竜王戦七番勝負についても「意義づけ」が重要である点は例外ではない。

 例えば、竜王戦ウェブ特設ページのキャッチフレーズ「最強の証明か、伝説の誕生か」。タイトル戦初防衛をめざす豊島将之竜王と、タイトル通算100期の大記録がかかる羽生善治九段が激突する戦いの構図を短い言葉で表現したものだ。

 各対局にも意義づけはある。第1局なら「シリーズに勢いをもたらす重要な初戦」ということになるだろうし、両者1勝1敗で迎えた今期の第3局は「シリーズの主導権を握るのは?」という書き方をしていた。では、豊島竜王の2勝1敗で迎える第4局は、どう意義づけるのが最適だろう。

 「豊島竜王が王手をかけるか。それとも羽生九段がタイに戻すか」だと普通だしなあ。う~ん、とうなりながら、過去の竜王戦七番勝負の記録をパラパラめくっていると、ある驚きの発見をした。

 実は第4局、「竜王戦の天王山」とも言える存在だったのだ。

 表を見てほしい。過去32回の竜王戦七番勝負の中で、今回のように、3局目(持将棋は1局にカウントせず)までにいずれかの対局者が2勝1敗となっていた年は計20期あった。そのうちの90%に当たる18期で、第4局を制した対局者が竜王防衛または奪取を果たしていたのだった。

 「それは2勝1敗から王手をかけた人が多いからでは?」と思う人もいるだろうが、そうでもない。確かに第4局で3勝1敗と王手をかけた対局者の竜王防衛・奪取率は100%。しかし、そうしたケースはあくまで半分の9期で、残り9期は対戦成績を2勝2敗のタイに戻した棋士が流れをつかみ、七番勝負を制していた。

 同じく7戦勝負のプロ野球・日本シリーズの過去30年分の記録を調べてみると、同様のケースで4戦目の勝者がシリーズを制したのは約61%(23回中14回)。この数字を比較しても、竜王戦七番勝負での第4局の重要性がいかに突出して高いものなのかが分かるだろう。

 なぜここまで第4局が重要になるのか。第4局の立会人を務める藤井猛九段は、竜王戦七番勝負を4度戦った経験のある歴戦の勇者。考えられる理由を聞いてみると、「確かに第4局目は1勝2敗で臨む方にとっては、ものすごく重圧が大きい。もう一つ負けると王手をかけられるから。そういう苦しくて重要な対局を取れると、やはり勢いが生まれるのかも」。その上で、「僕も過去の羽生さんとのタイトル戦で1勝2敗で第4局を迎えた経験が何度かあるけど、そこでなかなか勝つことができなかった。やっぱり第4局は重要です」と自身の経験をもとに話してくれた。

竜王戦第4局の対局場となる「指宿白水館」に到着し、記念撮影に応じる豊島竜王(右)と羽生九段。ともに負けられない一戦だ(25日)
竜王戦第4局の対局場となる「指宿白水館」に到着し、記念撮影に応じる豊島竜王(右)と羽生九段。ともに負けられない一戦だ(25日)

 さらに今期の第4局は、羽生九段の体調不良で吉川屋(福島市)で予定されていた対局が急きょ延期されるという異例の展開をたどっている。

 羽生九段の体調は2日間の戦いに耐えられるまでに回復したのか。

 アクシデントに見舞われた挑戦者を迎え撃つ豊島竜王の心境はいかに。

 将棋ファンのみなさんも手に汗握りながら、26日から鹿児島県指宿市の指宿白水館で行われている竜王戦七番勝負第4局を見守っているに違いない。

 七番勝負の天王山。全身全霊をかける、負けられない戦いが始まった。(藤)

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1654010 0 竜王戦 2020/11/26 09:36:00 2021/07/20 08:31:18 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201126-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

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