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[竜王戦見聞録]気迫の初手、桐山引退回避

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 いつからか、棋士として孤独な部分に心地よさを感じるようになった。この感覚が70歳を過ぎても続いたら、どんなに幸せだろう。

 ただ、どれだけのものを超越したらその域に到達できるのか。そしてどんな景色が見えるのか。実際に行かなければわからない。

イラスト・バトルロイヤル風間
イラスト・バトルロイヤル風間

 5月14日の5組残留決定戦。現役最年長の73歳、桐山清澄九段の現役続行か引退、そして筆者の5組残留が懸かる一局になった。色々な思いがあった。どんな結末でも、本局が今期竜王戦の最後の一戦になる。内容が悪かった今期ゆえ、良い将棋で終わりたかった。

 対局が始まると、桐山九段は指を震わせながら▲7八飛とした。相居飛車を主に研究していた筆者は完全に意表をつかれた。桐山九段の初手▲7八飛は公式戦2局目だ。まさかこの大一番で指されるとは。この一局に懸ける思いと準備が伝わってきた。着手後の7八の飛車は曲がっていた。この時の迫力を筆者は忘れないだろう。

【第1図】▲7九金まで
【第1図】▲7九金まで

 第1図から△8三角と放ってポイントを稼ごうとしたが、良くなかった。なぜか局面を打開したいと焦る気持ちがあった。桐山九段に対応され、徐々に苦戦になる。

【第2図】▲3五歩まで
【第2図】▲3五歩まで

 その後、形勢逆転を意識して第2図を迎えた。ここで△3五同歩とすれば有利だったが、▲2三香成△同玉▲4六歩の攻めを受け切れるかどうか、とっさに判断できなかった。実戦は第2図から△5六桂としてしまう。▲3四歩△同銀▲4六歩で先手陣が堅くなり、流れが桐山九段に傾いた。ビシッと指された▲3五歩の勝負手。その気迫に押されずに△3五同歩と指せていれば、と悔やまれる。

【第3図】△3三同金まで
【第3図】△3三同金まで

 最終盤は第3図から▲4二金△同角▲3三歩成△同角▲2一銀以下、華麗な詰みに討ち取られ、投了を告げた。桐山九段が引退回避を決めた一方、筆者は最後まで良い将棋を指せなかった。

降級にぼう然

 桐山九段は通算996勝目を挙げた。そして筆者は5組に別れを告げた。宿泊先のホテルで降級の現実にぼう然としていた。ただ、筆者の現役棋士としての戦いは、これからも続く。また一歩ずつ前に進むしかないのだ。

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2112676 0 竜王戦 2021/06/09 15:00:00 2021/06/10 14:12:43 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210609-OYT8I50075-T.jpg?type=thumbnail

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