[第34期竜王戦]豊島竜王の3連覇か、藤井三冠の最年少四冠か…七番勝負8日開幕

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 8日に開幕する将棋界の最高棋戦、第34期竜王戦七番勝負は豊島将之竜王と藤井聡太三冠が争う。豊島竜王は竜王3連覇が懸かる防衛戦で、藤井三冠は史上最年少四冠に挑む注目のシリーズだ。2人は今年、王位戦、叡王戦に続き、竜王戦で3連続の番勝負となり、今回は最高峰の舞台で雌雄を決する。両対局者に抱負を聞いた。(文化部・吉田祐也、写真はいずれも若杉和希撮影)

見送る記者は泣いた 華々しさの裏に過酷なプロ棋士の掟

タイトル戦連敗の事実受け止め、良い将棋を…豊島竜王

とよしま・まさゆき 1990年、愛知県一宮市出身の31歳。桐山清澄九段門下。2007年に四段へ昇段し、プロ入り。「序盤、中盤、終盤、隙のない将棋」と称され、鋭い攻めが持ち味だ。獲得タイトルは竜王、名人、叡王、王位、棋聖の計6期。あだ名は「とよぴー」で、趣味は米プロバスケットボールリーグ・NBAの試合観戦。今年度の成績は13勝11敗。(1日まで)
とよしま・まさゆき 1990年、愛知県一宮市出身の31歳。桐山清澄九段門下。2007年に四段へ昇段し、プロ入り。「序盤、中盤、終盤、隙のない将棋」と称され、鋭い攻めが持ち味だ。獲得タイトルは竜王、名人、叡王、王位、棋聖の計6期。あだ名は「とよぴー」で、趣味は米プロバスケットボールリーグ・NBAの試合観戦。今年度の成績は13勝11敗。(1日まで)

 ――豊島竜王の事前予想が的中して、藤井三冠が挑戦者となりました。
  豊島  ええ。(少し苦笑いして)順当な勝ち上がりだったと思います。

 ――藤井三冠の印象は。
  豊島  不出来な将棋がほとんどなく、安定感があります。中終盤の指し手の正確さを支えているのは盤の前で考え続ける力で、その集中力に驚かされます。

 ――藤井三冠とは今年、タイトル戦の大舞台で3度目の対戦となります。
  豊島  王位戦、叡王戦と続けて負けたので実力が足りないと感じました。ただ、序盤の作戦など短期間で修正できそうなことも見つかりました。竜王戦に向けて課題の克服に取り組んでいきたいです。

 ――戦型予想は。
  豊島  相居飛車が中心だと思います。藤井さんは正攻法なので、奇抜な作戦はとらない印象です。

 ――今回は竜王3連覇が懸かるシリーズです。
  豊島  そうでしたか。そのことは全く意識していなかったです。藤井さんにタイトル戦で連続して敗れた事実を受け止め、竜王戦でいかに良い内容の将棋を指すことができるか。そこを軸に考えています。

 ――注目されると力を発揮する印象ですが。
  豊島  藤井さんとの竜王戦は多くの人に見てもらえると思うので、競った内容の将棋を指せたら。

 ――七番勝負の楽しみは何ですか。
  豊島  (第6局の対局場である)指宿白水館の砂むし温泉です。対局前に入ると寝付きが良くて、いい将棋を指せると思います。

挑戦うれしい、実力を高める場に…藤井三冠

ふじい・そうた 2002年、愛知県瀬戸市出身の19歳。杉本昌隆八段門下。2016年に最年少14歳2か月でプロ入り。歴代1位の29連勝、最年少での棋戦優勝やタイトル獲得、防衛など将棋界の記録を更新し続けている。獲得タイトルは王位、叡王、棋聖の計5期。趣味は電車に乗ること(乗り鉄)、パソコンの自作、地図鑑賞など。今年度の成績は30勝6敗。(1日まで)
ふじい・そうた 2002年、愛知県瀬戸市出身の19歳。杉本昌隆八段門下。2016年に最年少14歳2か月でプロ入り。歴代1位の29連勝、最年少での棋戦優勝やタイトル獲得、防衛など将棋界の記録を更新し続けている。獲得タイトルは王位、叡王、棋聖の計5期。趣味は電車に乗ること(乗り鉄)、パソコンの自作、地図鑑賞など。今年度の成績は30勝6敗。(1日まで)

 ――参戦5期目にして初の竜王挑戦となりました。
  藤井  これまで本戦で良い結果を残せませんでしたが、加藤一二三九段との初対局など、竜王戦で貴重な経験をさせていただいたので、今回挑戦できることをうれしく思います。

 ――豊島竜王の印象は。
  藤井  判断力に優れた将棋で、特に中盤の難しい局面で鋭い手を選択します。読みに流されず、時に点で局面を判断するなど自分にはない能力があり、こちらの短所を気付かされます。

 ――豊島竜王とは今年、タイトル戦の大舞台で3度目の対戦となります。
  藤井  王位戦第1局は序盤で差をつけられ、完敗でした。そうした将棋は見ている方に申し訳ないので、竜王戦では早い段階で形勢を損ねることなく、熱戦にしたいです。

 ――戦型予想は。
  藤井  相居飛車かと。

 ――最近は、あまり矢倉を指していませんが。
  藤井  竜王戦は七番勝負なので、色々な戦法を指す可能性はあります。

 ――竜王戦は四冠が懸かるシリーズです。
  藤井  タイトルの数は意識していません。持ち時間8時間の2日制で、じっくり考えることができるので、実力を高める場にしたいです。

 ――七番勝負の楽しみは何ですか。
  藤井  東北地方を訪れるのは初めてなので、(第3局の)福島対局が楽しみです。また、(第6局の)指宿白水館の砂むし温泉は気になっています。以前、佐々木勇気七段が砂を大盛りにして25分入ったそうですが、自分は人並みに、10分程度入ることができたら、と思っています。

かつては「壁」…両者の対戦成績は豊島の9勝8敗

 豊島竜王は藤井三冠に対し、2017年の初対戦から6連勝と、「壁」として立ちはだかった。今年1月の朝日杯で、藤井三冠は対豊島戦初勝利を挙げた。

 そして、6月から9月にかけて、両者は王位戦七番勝負、叡王戦五番勝負とタイトル戦の舞台で争い、いずれも藤井三冠が制した。竜王戦七番勝負で3連続のタイトル戦となり、「十九番勝負」の締めくくりとなる。現在、両者の対戦は豊島竜王からみて9勝8敗と 拮抗きっこう しており、竜王戦は白熱の好勝負が期待される。

竜王の意地を見せるか
竜王の意地を見せるか
藤井時代を切り開くか
藤井時代を切り開くか

 ▲ 両者の対戦成績 (カッコの数字はタイトル戦の番勝負)
2017年 8.24 棋王戦  ○
2019年 5.23 銀河戦  ○
      7.23 竜王戦  ○
     10. 7 王将戦  ○
2020年 9.12 JT杯  ○
     10. 5 王将戦  ○
2021年 1.17 朝日杯  ●
      6.29 王位〈1〉○
      7.13 王位〈2〉●
      7.21 王位〈3〉●
      7.25 叡王〈1〉●
      8. 3 叡王〈2〉○
      8. 9 叡王〈3〉●
      8.18 王位〈4〉●
      8.22 叡王〈4〉○
      8.24 王位〈5〉●
      9.13 叡王〈5〉●

佐藤康光九段の本戦回顧と七番勝負展望

 竜王や名人の獲得経験があるトップ棋士で、日本将棋連盟の会長を務めている佐藤康光九段が今期の竜王戦本戦を振り返るとともに、七番勝負を展望した。

今年も梶浦七段の活躍光る

 本戦では昨年に続き、梶浦宏孝七段の活躍が目を引きました。同世代の羽生善治九段に頑張ってもらいたかったのですが、梶浦七段の勢いが勝りました。

 挑戦者決定三番勝負は、藤井聡太三冠と永瀬拓矢王座の顔合わせとなり、タイトル保持者が実力を発揮しました。藤井三冠は横綱相撲というか、安定感抜群の内容でした。充実した状態で竜王挑戦権を獲得した印象です。

タイトル戦で今年3度目の激突、高次元の戦い

七番勝負を展望する佐藤康光九段
七番勝負を展望する佐藤康光九段

 さて、七番勝負ですが、豊島将之竜王は藤井三冠と今年に入ってタイトル戦で3度目の激突となります。私もかつて、同じ年に羽生九段と何度もタイトル戦で対局して、かなり痛い目に遭っています。豊島竜王は王位戦、叡王戦で藤井三冠に敗れましたが、やられている身のつらさは、私には誰よりもわかります。

 ただ、そんな状況はネガティブ一色というわけではありません。その時の最強棋士と何度も盤を挟んでいるわけですから、自分が鍛えられている感覚もあります。豊島竜王は粘り強い棋風で、大舞台では何度も逆転勝ちをしています。竜王戦七番勝負に向けて気持ちを立て直してくるでしょう。

 2人の今年のタイトル戦は、私も現地で検討しましたが、最先端の将棋で、予想した手が当たらない場面が多かったです。膨大な事前研究や、中終盤の深い読み――豊島竜王と藤井三冠の将棋は高次元で、棋士でも理解が追いつかないほどです。

 七番勝負は、角換わり、相掛かり、矢倉など居飛車最新形の戦いが予想されます。両者の勝負は、長丁場になることを期待しています。豊島竜王と藤井三冠の将棋を一局でも多く、私も勉強したいからです。

オフタイムの過ごし方は?

イラスト バトルロイヤル風間
イラスト バトルロイヤル風間

 コロナ禍でもあり、家にいることが多いという両対局者。将棋の研究に没頭する合間に、どんな息抜きをしているのか。

車いすバスケに熱く 豊島竜王

 バスケットボール・NBAの試合観戦が趣味の豊島竜王は、NBAがオフシーズンの9月、東京パラリンピックの車いすバスケットボール男子日本代表の試合を熱心に観戦した。「車いすがぶつかる激しい守備は迫力があって引き込まれました。決勝戦はアメリカのエースが勝負強かった。日本は銀メダルでしたが胸が熱くなる試合でした」と振り返る。攻守で活躍した鳥海連志選手が目を引いたという。

 日本選手らのシュートのうまさが印象的だったともいい、「将棋で言えば攻めが鋭い感じで、敵陣の急所をついて得点を重ねるので、見ていて爽快感がありました」と語る。

チェスでも長考派? 藤井三冠

 藤井三冠は少し前からチェスをたしなんでいる。主に「チェス・プロブレム」という詰将棋に似たパズルを解いているという。「パズル的なことを考えるのは好きです。解けないと考えこんでしまいますが……」と話す。将棋研究の合間にも、脳をフル回転させるところは「長考派」で鳴らす藤井三冠らしい。

 コンピューター相手にチェスの対戦もしている。「コンピューターのレベルが上がると勝てません」と笑う。羽生善治九段や青嶋未来六段はチェスも日本トップレベルだが、藤井三冠は「その域は無理です。チェスの才能はありませんから」とにこやかに話した。

  <七番勝負日程と対局場>
 ▽ 第1局  10月8、9日
 セルリアンタワー能楽堂
 (東京都渋谷区)
 ▽ 第2局  10月22、23日
 仁和寺(京都市)
 ▽ 第3局  10月30、31日
 新つた(福島県いわき市)
 ▽ 第4局  11月12、13日
 ANAクラウンプラザ
 ホテル宇部(山口県宇部市)
 ▽ 第5局  11月26、27日
 円通寺(岡山県倉敷市)
 ▽ 第6局  12月4、5日
 指宿白水館
 (鹿児島県指宿市)
 ▽ 第7局  12月17、18日
 常磐ホテル(甲府市)

 主催=読売新聞社、日本将棋連盟
 特別協賛=野村ホールディングス
 協賛=東急グループ、UACJ、旭化成ホームズ、あんしん財団、日本中央競馬会

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