秋の大冒険! 竜王戦放送の舞台裏[山口恵梨子の将棋がちょっと面白くなる話]

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 10月8日から9日にかけて竜王戦七番勝負第1局が行われました。豊島将之竜王と藤井聡太三冠の手に汗握る大熱戦、ドキドキハラハラ中継を見守ったという将棋ファンの方も多かったのではないでしょうか。

「整う」にはほど遠い、対局前日[山口恵梨子の将棋がちょっと面白くなる話]

 実は私も当日はABEMAのマルチアングル放送に出演するために2日間、現地入りしていました。今回はその舞台裏も紹介しつつ、女流棋士目線で対局を振り返ってみようと思います。

ABEMAの放送、豪華メンバーが勢ぞろい

竜王戦の看板の前で、藤井猛九段(右)とともに
竜王戦の看板の前で、藤井猛九段(右)とともに

 対局場所は東京・渋谷のセルリアンタワー能楽堂です。竜王戦七番勝負の開幕局が開催されるのは今年で5年連続。もう毎年恒例の場所になりつつありますね。セルリアンタワー東急ホテルは女流棋士発足40周年記念パーティーの会場であったり、総料理長さんが谷川浩司先生のファンだったり、将棋界にとってなじみのあるホテルでもあります。

 対局初日の朝8時、現地で合流したメンバーは藤井猛九段、佐藤天彦九段、戸辺誠七段、室谷由紀女流三段、脇田菜々子女流初段。ABEMA現地組だけでこの豪華さ。それとは別に現地で開かれていた特別観戦プログラム「竜王戦プレミアム」にもたくさんの棋士が参加していて、なんだか人名を書き並べるだけでこのコラム終わっちゃいそうなほど、棋士、女流棋士でいっぱいな空間でした。

 ABEMA現地組の仕事内容はというと、普段は絶対できない場所で行う大盤解説会、セルリアンタワー東急ホテルの紹介、対局者が選んだ将棋メシの実食紹介など。まずは、ホテルの紹介からスタートしました。

盤上で藤井三冠が動く、私たちはスイートルーム探検

こちらがABEMAのマルチアングル放送で紹介したスイートルーム。超豪華でした(写真提供:セルリアンタワー東急ホテル)
こちらがABEMAのマルチアングル放送で紹介したスイートルーム。超豪華でした(写真提供:セルリアンタワー東急ホテル)

 あれ、対局が始まったら対局者の妨げになってしまうから、対局場のリポートってできないですよね? どうするのかなぁと思いつつ台本を見ると……。

 ばーんと書いてある『スイートルーム』の文字! なんとホテルの最高級スイートルームを棋士、女流棋士6人がかりでリポートさせていただきました。

 キングサイズのベッド、コンロが三つあるキッチン、バーカウンターがあるパーティールーム……。藤井三冠が23手目▲7四飛と相掛かりの研究手を指して先手の利を歩得で求めようとしていた頃、私たちは大はしゃぎで超豪華なスイートルームを探検していたのでした。「なんでやねん」と心の中でツッコミを入れていた視聴者の方もいらっしゃるとは思いますが、少しでも楽しんでいただけたのであれば、幸いです……。

豊島竜王が飛車でプレッシャー、私たちは全力で食レポ

1日目の昼食に豊島竜王が注文した鉄火丼(左)と藤井三冠が注文した天重御前
1日目の昼食に豊島竜王が注文した鉄火丼(左)と藤井三冠が注文した天重御前

 初日の昼食休憩には、32手目、豊島竜王が△8六同飛としたところで入りました。次に△7六飛と歩損を解消する手を見せて藤井三冠にプレッシャーをかけた局面です。その時、我々ABEMA現地組は……はい。全力で食レポをしていました。どこまでも体を張る私たち。

 豊島竜王が注文した鉄火丼と藤井三冠が注文した天重御前を頂いたのですが、ここでは室谷女流が食レポの才能を開花させ、爽やかな笑顔で完食し切ってくれました。おいしそうだったなぁ……鉄火丼。しょうゆではなくゴマダレが利いていて、ラストにだし汁をかけてお茶漬けにもできるそうです。気になった方は、ぜひセルリアンタワー東急ホテルへ。

藤井三冠の長考中、スイートルームで「どこでも大盤解説会」

スイートルームで行われた「どこでも大盤解説会」では、ベッドが存在感を放っていました。普段はこんな感じです(写真提供:セルリアンタワー東急ホテル)
スイートルームで行われた「どこでも大盤解説会」では、ベッドが存在感を放っていました。普段はこんな感じです(写真提供:セルリアンタワー東急ホテル)

 戸辺七段に代わり、折田翔吾四段が現地組に加わった2日目で印象に残っているのは、前述のスイートルームで行われた「どこでも大盤解説会」の時間です。

 局面は、豊島竜王が70手目△4四桂と打って、藤井三冠の5六の金の進退を聞いた場面。ちょうど藤井三冠が長考に入ったので、藤井猛九段と佐藤天彦九段が2日目の昼食休憩の局面から、がっつり解説してくださいました。人気棋士2人による漫談のようなダブル解説はとても分かりやすくて面白かったですし、佐藤九段の真横にでーんと構えるキングサイズベッドの存在感に目を奪われたという方も多かったのではないでしょうか。次回以降、どんな場所で開催されるのか、ちょっと楽しみです。

 さて、対局の方は、この局面ではダブル解説でも豊島竜王がリードという形で終わったのですが、そこから9手後、藤井三冠による▲7一飛という反撃手が指されて局面が一転、藤井三冠が逆転勝ちを収めました。

 読売新聞オンラインのコラム「観る将が行く」(記事は こちら )でも取り上げられていましたが、両者突然、指し手のペースが上がる、あれよ、あれよの展開で、息をつく間がなかったです。感想戦では76手目の△7七飛成の攻め方に代えて違う攻め方が良かったのではと話されたそうですが、現地では一瞬の出来事でした。詳しくは観戦記を読んでじっくり学ぼうと思います。

現地で多彩なイベント、タイトル戦っていいな

各地で開催されるイベントはタイトル戦の魅力の一つ(セルリアンタワー東急ホテルで)
各地で開催されるイベントはタイトル戦の魅力の一つ(セルリアンタワー東急ホテルで)

 今回、ABEMA現地組として関わらせていただいて、改めて感じたのは、各地を転戦するタイトル戦って、やっぱりいいな、ということ。「竜王戦プレミアム」をはじめ、現地でのイベントは昨年に続き、参加人数を絞っての開催となったそうですが、ご 挨拶(あいさつ) をさせていただいたお客様はみなさん、「すごく楽しみにしてきた」と目を輝かせていました。まだまだコロナ禍は続きますが、大勢の人が気兼ねなく将棋を楽しめるかつてのような将棋イベントを取り戻すために、自分自身、できることをしっかりやっていこうと思います。

 セルリアンタワー東急ホテルの方々をはじめとして、現地ではいろいろな方々にお世話になりました。この場を借りて改めてお礼を申し上げます。

 福島で行われる竜王戦七番勝負第3局は、私も現地大盤解説会の聞き手をする予定です。皆様にお会いできるのを今から楽しみにしています。

プロフィル
山口 恵梨子( やまぐち・えりこ
 日本将棋連盟所属の女流棋士。堀口弘治七段門下。16歳で女流棋士となり、2010年に初段、16年二段に昇段。白百合女子大学卒。将棋が好きな人のためになる情報満載の「 女流棋士 山口恵梨子ちゃんねる 」をYouTubeに開設。ツイッターは @erikoko1012
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2452701 0 竜王戦 2021/10/19 06:00:00 2021/10/19 06:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/10/20211018-OYT8I50004-T.jpg?type=thumbnail

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