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[記者が震えた竜王戦名勝負]<3>同世代対決、羽生九段に軍配

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第33期 ランキング戦1組2回戦 羽生善治九段-佐藤康光九段

 [記者が震えた竜王戦名勝負]<2>はこちら>>

 プロ入り前の少年時代から、棋士養成機関の奨励会で切磋琢磨してきた両者の一戦。「羽生世代」のトップどうしが顔を合わせた。50代になっても、竜王戦1組に在籍し、健在ぶりを示している二人。読みと読みがぶつかる力将棋となり、終盤で読み勝った羽生九段がライバル対決を制した。若い力が台頭する将棋界だが、第33期竜王戦は「羽生世代」の活躍が目立った。羽生九段は「佐藤さん、丸山さんの頑張りが刺激になった」と話す。長きにわたる戦いの中で育まれた友情に、思わず胸が熱くなった。

 対局の模様を4月11日から7回にわたって読売新聞に掲載された観戦記とともに振り返る。

第1譜

 (先)九段 羽生善治 × 九段 佐藤康光
 ▲2六歩 … △8四歩 …
 ▲2五歩 1 △8五歩 …
 ▲7六歩(図) … △3二金 …

 ▲7七角 … △3四歩 …
 ▲6八銀 … △3三角 …
 ▲同角成 1 △同 桂 1
 5時間(△0時間01分 ▲0時間02分)12手

絵になる

 「すみません、お願いします」。一礼し駒箱を開ける際、羽生は一言付け加えた。この作法で言葉を発するのは初めて目にする光景かと思う。両者だけに通じるものがあるのだろう、そんなことを思いながら対局室を眺める。

 やはり「絵になる」。

 手元の辞書で引いてみると、「姿などがその場の雰囲気にぴったりと合っている」とある。将棋界の顔として各所で活躍しても、一番の輝きは言うまでもなく対局室だ。

 「絵になる」を引いた際、その後に書かれた「絵事(かいじ)は素(そ)を後(のち)にす」という一文に出会う。「論語」の一節で「絵は最後に白色を加えて完成させるように、人間も修養を積んだうえで礼を学ぶことにより人格が完成する」という意味だという。羽生の「すみません、お願いします」という言葉が辞書の上を歩いた。

 先手となった羽生は▲2六歩、▲2五歩と歩を突いてから▲7六歩。飛車先を決めてから角道を開けるのが現代角換わりの出だしで「戦法が決まった」と思い席を外した。

 しかし、対局者は佐藤なのだ。普通の序盤に進むわけがない。△7七角成と角交換をせずに△3三角の変化球を投げ、▲同角成△同桂と応じる。12手目で前例はわずか。互いの力と力がぶつかる一日となりそうである。(高野秀行)
 =4月11日読売新聞朝刊より

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1551483 0 観戦記 2020/10/15 20:07:00 2021/07/08 18:28:19 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201015-OYT8I50073-T.jpg?type=thumbnail

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