「雨情の宿」の頂上決戦、力のこもった読み比べ…七番勝負いわき対局観戦記(前編)

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第1譜

(先)三冠 藤井聡太(2勝0敗) × 竜王 豊島将之(0勝2敗)
▲2六歩 … △8四歩 …
▲7六歩 1 △8五歩 1
▲7七角 … △3四歩 …
▲8八銀 … △3二金 …
▲2五歩 4 △7七角成1
▲同 銀 … △2二銀 …
持ち時間各8時間
△0時間02分 ▲0時間05分 12手

いわきの歓迎

 「頂上決戦」。この言葉こそ、竜王戦を語るに最もふさわしい。藤井が連勝で迎えた第3局は、10月30、31日に福島県いわき市の旅館「新つた」で行われた。福島入りした一行が最初に向かったのは、小名浜港の海鮮市場「いわき・ら・ら・ミュウ」。ここには、10年前の東日本大震災の展示資料館があり、土産品や新鮮な魚介類が並ぶ。

 両対局者は地元関係者に温かく迎え入れられ、魚市場へ。豪華な伊勢エビには特に目を留めた様子だった。その後、海を背景に取材を受けた。両者はそれぞれ報道陣に向かい、胸中を語った。地元の方々や大勢の将棋ファンに囲まれた2人を遠目に見ながら、「これがタイトル戦なんだ!」と改めて思い知った。暖かい潮風が頬をかすめた。

 対局開始の合図が告げられると、藤井は落ち着いてお茶を一口飲み、初手▲2六歩を着手。戦型は角換わりとなった。(藤井奈々)

観光魚市場で伊勢エビを前に笑顔を見せる豊島将之竜王(右)と藤井聡太三冠=若杉和希撮影
観光魚市場で伊勢エビを前に笑顔を見せる豊島将之竜王(右)と藤井聡太三冠=若杉和希撮影

第2譜

(先)三冠 藤井聡太(2勝0敗) × 竜王 豊島将之(0勝2敗)
▲1六歩 … △1四歩 …
▲3八銀 … △3三銀 1
▲3六歩 … △6二銀 1
▲7八金 3 △7四歩 1
▲3七銀 4 △7三銀 1
▲4六銀 … 
持ち時間各8時間
△0時間06分 ▲0時間12分 23手

復興の力に

 対局場である旅館「新つた」で、前夜祭を兼ねた歓迎会が開かれ、多くの来場者を迎えた。こうしたセレモニーも、今は貴重なひと時だ。

 いわき市の内田広之市長から、震災後10年の苦労、さらに2019年の台風19号、コロナ禍と今なお続く被害の大変さをうかがった。「この地での竜王戦開催が、復興を頑張ってきた市民の力になる」という言葉に、背筋がピンと伸びる。タイトル戦の意義を感じた。

 盤上。藤井の早い▲1六歩の打診に、豊島も△1四歩と応える。

 ▲4六銀で、作戦の早繰り銀が見えた。公式戦では、少し前までは攻守バランス型の腰掛け銀が主流だったが、最近は攻撃重視の早繰り銀が多く採用される。

 また、指了図。端歩の交換がない形を本年度別棋戦のタイトル戦で両者は戦っている。

 本局に備えて用意したであろう両者の作戦は、ここではまだ大切に手のうちにしまわれているようである。(藤井奈々)

前夜祭で記念撮影に応じる豊島将之竜王(右)と藤井聡太三冠
前夜祭で記念撮影に応じる豊島将之竜王(右)と藤井聡太三冠

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使い方
2565304 0 観戦記 2021/12/04 05:00:00 2021/12/05 13:17:41 観光魚市場で伊勢エビを前に笑顔を見せる豊島将之竜王(右)と藤井聡太三冠=若杉和希撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/12/20211202-OYT8I50051-T.jpg?type=thumbnail

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