松尾八段の無理攻めとがめ、永瀬王座が手堅く勝ち切る

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第1譜

1組2回戦
(先)八段 松尾歩 × 王座 永瀬拓矢
▲2六歩 1 △8四歩 …
▲2五歩 … △8五歩 …
▲7八金 … △3二金 …
▲3八銀 1 △7二銀 …
▲5八玉 … △1四歩 1
▲1六歩 … △9四歩 2
▲9六歩 2 △8六歩 3
▲同 歩 … △同 飛 …
▲8七歩 … △8四飛 …
▲3六歩 … △3四歩 5
持ち時間各5時間
△0時間11分 ▲0時間04分 20手

はるかなる頂点目指し、本戦開幕…佐々木大七段×伊藤匠五段観戦記

相掛かりを選択

 ランキング戦1組在籍が9期目の松尾と、5期目の永瀬が2回戦で激突した。挑戦者決定戦には永瀬が2回、松尾が1回進出しているが、七番勝負への登場はない。藤井聡太竜王が待ち構える大舞台へ「そろそろ」という気持ちは強いだろう。

 2月28日、東京・将棋会館。窓の外は美しい青空が広がっている。松尾は長い髪を後ろで縛り、ノーネクタイの装い。2月3日に13期在籍した順位戦B級1組から陥落した。その後、NHK杯決勝でも惜敗。「数日は力が抜けていたが、竜王戦まで時間があったので調整できた」と述懐する。

 永瀬はいつものスーツ姿で、きれいにアイロンがかかったハンカチを 脇息きょうそく に置いている。本局が過密スケジュールの始まりで、3日後には静岡で順位戦A級最終局、6日後には新潟で棋王戦第3局が待ち構えている。

 「A級と棋王戦は先後が決まっていたのが幸いした。全部決まっていないと先後合わせて6局分の作戦を用意する必要があるが、4局で済んだ」

 注目の振り駒は松尾が先手になり、相掛かりを選択した。「角換わりも指しているけど、研究勝負になりがち。未知の側面が多い相掛かりを指したかった」と松尾は振り返る。(大川慎太郎)

ランキング戦1組に9期在籍する松尾八段(2021年3月撮影)
ランキング戦1組に9期在籍する松尾八段(2021年3月撮影)

第2譜

1組2回戦
(先)八段 松尾歩 × 王座 永瀬拓矢
▲4六歩 8 △3三角 7
▲4七銀 7 △5二金 3
▲4八金 9 △7四歩 4
▲7六歩 1 △2二銀 …
▲3七桂 2 △7三銀 …
▲2九飛 56 △6四銀 27
▲5六歩 29 △4一玉 29
▲3三角成17 △同 銀 …
▲6八銀 … △8二飛 12
▲6六歩 5 
持ち時間各5時間
△1時間33分 ▲2時間18分 39手

先手の狙い

 図は相掛かりでよくありそうだが、前例は1局のみ。先手は想定が外れたようだが、▲4六歩が松尾の狙いの一手だ。本譜の進行を見ればわかるが、4七銀―4八金―3七桂―2九飛の好形を作る意図である。

 「通常は2筋の歩を交換してから2六に飛車を引いて、それから2九に動かすことが多い。途中下車せずによい形を作る狙いです」と松尾は語った。だが2筋の歩交換を保留するので、△3三角で歩交換を拒否されてしまった。もちろんそれも織り込み済みで、「角筋を通して角交換した後、3三の銀を右桂で狙う意図もある」と松尾。

 実は本局と似た形を松尾は今年に入って2局指していた。NHK杯だ。準決勝の深浦康市九段戦では△3三角型で、決勝の豊島将之九段戦は角を上がらずに戦いが起こっている。NHK杯の棋譜は放送後でないとデータベースに入らず、本局時には未放送だった。経験値の差で勝負する意図も松尾にはあったという。

 ただ本譜の△5二金が想定外だった。中住まいが多いからだ。「△9四歩を突いたので居玉にしやすい」と永瀬は語る。松尾だけが知っている形にしなかったのは、偶然であっても好判断と言えよう。(大川慎太郎)

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