竹馬の友、終生のライバル…佐藤康九段×森内九段戦観戦記

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第1譜

2組準決勝
(先)九段 森内俊之 × 九段 佐藤康光
▲2六歩 … △3四歩 …
▲7六歩 … △3二飛 …
▲2五歩 5 △6二玉 9
▲2二角成13
持ち時間各5時間
△0時間09分 ▲0時間18分 7手

ライバル対決、むきだしの闘志…佐藤康光九段[竜王戦写真館]

時代は変わる

 羽生善治九段の順位戦A級陥落――。将棋界に衝撃が走ったあの日から、およそ1か月後の朝だった。東京・千駄ヶ谷の将棋会館にほど近い鳩森八幡神社境内では古風な白梅の花が終わりかけ、若々しい河津桜が咲き誇っていた。

 本局が行われた3月7日は竜王戦の集中日で、羽生九段、丸山忠久九段、佐藤、森内という同世代4人が一堂に会した。対局室の案内板に並ぶ表札を眺めていると、この30年間、一線を走り続けたことへの畏敬とともに、やはり時代は変わるのだと感傷がわいてくる。

 だが、午前9時半過ぎ、一番乗りで現れた羽生九段は、記者の感傷とは全く無関係に、穏やかで落ち着き払っていた。〈ただ一局一局を大切に、そこにだけ集中して指してきた〉。そんな羽生語録の一節を思い出す。

 森内に所感を尋ねると、「戦い続けていればいつかは降級します」、佐藤は「他棋戦では上位で活躍されているので、たまたまでは」とのこと。ニュースに敏感に反応するのはマスコミの習い性だが、当の棋士たちは周囲の 喧騒けんそう をよそに修練を続けている。ぐうの音も出なかった。

 本局に話を戻す。後手番の佐藤は、得意のダイレクト向かい飛車ではなく、角交換型の三間飛車を選択した。深い経験はないが、戦法の幅を広げたかったという。(星野誠)

佐藤康光九段
佐藤康光九段

第2譜

2組準決勝
(先)九段 森内俊之 × 九段 佐藤康光
       △2二同銀3
▲6五角 2 △7四角 4
▲4三角成… △4七角成…
▲4八飛 1 △同 馬 1
▲同 銀 12 
持ち時間各5時間
△0時間17分 ▲0時間33分 15手

勉強不足と謙遜

 「勉強不足も甚だしいですよね。してないから、しょうがないけど」

 熱心な将棋ファンなら、発言の主はおわかりだろう。

 日本将棋連盟会長でもある佐藤は、感想戦で苦笑いを浮かべながら何度も繰り返した。字句通り受けとめれば諦めているかのようだが、もちろん反語表現である。

 いまや将棋ソフトを使った事前対策は必須だが、会長としての公務が多忙な佐藤は、まとまった研究時間がとれない。それでいて、前期の王座戦では挑戦者決定戦にまで進出し、今期の順位戦A級でも4勝5敗で残留を果たしたのだから頭が下がる。

 本局で「勉強不足」を連呼したのは、▲4八飛△同馬の場面。同一局面は過去に5局あり、うち4局が次手▲同金で、2016年の順位戦B級2組・青野照市九段―田村康介七段戦のみ、▲同銀としていた。

 「銀で取った人いるんですか。5年ぐらい前の順位戦? 青野流ですか。勉強してないって怒られちゃうなぁ」

 会長とトップ棋士の両立に葛藤はないのか。ぶしつけは承知の上で尋ねると、「葛藤は常にありますが、現状は何かに追われる日々で、そういうことを考えるよりは充実している」との答えが返ってきた。「ただ、将棋が弱くはなりたくないですね」(星野誠)

森内俊之九段
森内俊之九段

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2942474 0 観戦記 2022/04/27 05:00:00 2022/05/19 16:28:40 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/04/20220420-OYT8I50082-T.jpg?type=thumbnail

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