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    【俺はググらない】なんで勉強しなくちゃいけないの? 梅原大吾の回答

     読売KODOMO新聞5月31日号で始まった新コーナー「俺はググらない」。読者の素朴な疑問に記者がグーグルに頼らず足で調査して答える企画です。紙面には載りきらなかったインタビューの詳報をお伝えします。

     日本初のプロゲーマーで「ビースト」と呼ばれる梅原大吾さんに今回のテーマ「なんで勉強しないといけないのか」という質問をぶつけてみると……。

    • 梅原大吾さん
      梅原大吾さん

     勉強を一生懸命やったという記憶はないんです。小学校の時は何となく授業を聞いていて、中学1年までは何とかついていけたんですが、2年生以降は授業で何をやっているのかほとんど分からない。日本の学校って、スポーツができるとか勉強ができるとかというだけで価値を測るところがありますよね。それに苦手意識がありました。勉強もスポーツも特別できるわけではなかったので。大勢でいても一人でいるような感覚でした。

     格闘ゲームにはまったのは中学2年の時。1年のうち363日、ゲームセンターに通っていました。12月31日と1月1日だけは両親に言われて家にいましたが、それ以外の日は全部行っていたんです。

     元々ファミコンが好きだったけれど、ゲーセンのゲームは絵がキレイでキャラクターも大きく映るし、サウンドもすごい。それにいろんな人と年齢関係なく平等に勝ち負けを争えるのも楽しかったですね。あとは、当時は今よりもゲームに対する忌避感が大きくて、「ゲームやるとバカになる」と言われていました。禁止されているところに通うスリルにも後押しされていたと思います。

     そうやってゲームをやりこんでいくうちに強くなったんですね。たいていの人は、目に見えない制限とか常識にしばられがちだと思うんです。でも、ゲームにはなんとしてでも勝ちたい。先生や親は勝ち方を教えてくれない。自分で何とかしなくちゃいけないから、常識にとらわれている場合じゃない。それで、常識破りな戦い方を身に付けた。

     たとえば、格ゲーではキャラ同士の勝負の相性があると言われているんです。このキャラはこっちのキャラには勝てない、というような。でもやっぱり自分の使っているキャラで勝ちたいと思うんですよね。それでいろいろ実験してみて壁を突破するんです。以前のバージョンでは確かにそういう相性だったとしても、今のバージョンでは変わっていることがあるんですよね。そういう常識を疑う目は養われたと思います。

     でも、元からプロのゲーマーになろうと思っていたわけではありません。大好きだったゲームも、好きでも何にもならないから、22、23歳で辞めて、社会に出て働こうとしました。迷った揚げ句、勝負の世界がやはり好きだったのでマージャンのプロを目指したんですけど結局その世界になじめず、一時は介護職に就きました。介護職は社会の役にも立つことで、やりがいはありました。

    • 格闘ゲームに熱中する梅原さん
      格闘ゲームに熱中する梅原さん

     でも、こうした職業は元々やりたかったというよりも少ない選択肢の中から「選ばせられた」という感覚がありました。勉強していなかったので、就ける職業の幅が狭かったのです。そのとき、「勉強しておけば良かったなあ」と思ったのを覚えています。スーツを着たサラリーマンを見ると「えらいなあ、若い時にやることをやっていたんだなあ」と感じました。

     その後、ふとしたきっかけでゲームを再開し、日本で初めてのプロゲーマーになりました。2010年のことです。プロになった当初は1日18時間くらいゲームをやりこみました。でもそのうち、自分の中でゲームに飽きてきちゃったんですよね。プロになって、「飽きること」との闘いが始まりました。飽きたからといってプロゲーマーを辞めたら後がないのは自覚していたので、どうすれば飽きずに済むか考えたんです。

     その結果、「ゲームをクリアするまでの最短距離を走るのではなく、一見有効ではなさそうなことをいっぱい試してみる」というやり方をとるようになりました。そうすると、最短距離を走っていては見つけられないような情報がいっぱい見つかるんですね。それでかなり強くなった。

     この仕事に就いていると、多いときで年間20か国くらい外国に行くことがあるんです。中学の時は地理の勉強なんて大嫌いだったんですけど、その国に行って、そこで過ごすのに役に立つと分かっていれば興味を持って勉強できるんだなあと気がつきました。それぞれの国の時代背景や気候条件から「これが名産品なんだ」というのが説明つくと、ただ暗記して終わりというよりも頭に入りますよね。

     将来こういうことに役立つ、ということが分かっていればもっと勉強に打ち込めたのになあ、と思います。

    2018年06月05日 14時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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