【俺はググらない】宇宙人の見た目は、人間とあまり変わらないかも…山岸明彦・東京薬科大名誉教授

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 記者は新聞社に入社する以前、大学院の修士課程で火星の地質学を研究していました。火星には水が流れたような跡が地形として残っています。液体の水があるところには生命がいる可能性があります。昔の火星の環境を知ることは、そのままアストロバイオロジーにもつながるのです。もちろん火星には直接行けるわけではありませんが、探査機が撮影した地形の写真を利用して調査を行っていました。

 こうした火星探査の計画にも関わり、アストロバイオロジーの分野の第一人者の一人である山岸明彦・東京薬科大名誉教授にお話を聞いてきました。

地球は「普通のどこにでもある星」

山岸明彦・東京薬科大名誉教授
山岸明彦・東京薬科大名誉教授

――宇宙人はいると思いますか。
山岸 宇宙の中で見ると、地球や太陽はなんら特別ではない「普通のどこにでもある星」です。銀河系にある1000億個の星のうち、10%くらいが太陽と同じタイプの星です。一つの「太陽」に、一つくらいは「地球」と似た星(生物がいる可能性のある「ハビタブルゾーン」の中にある星)があると言われています。地球ではだいたい1億年で生物が誕生しているので、生物が生まれること自体はそこまで難しいことではないでしょう。

 宇宙人というと、ただ生物というだけではなく知的生命でないといけません。地球では何兆種か生まれたうち、「知的生命」と呼べるものは人類の1種類のみです。これはかなり確率が低いと言わざるを得ませんが、逆に言えば生まれる生命の種類の母数が大きければ知的生命にたどりつく可能性はあるということです。

 宇宙人、ないしは地球外の生命は、「いるかいないかをはっきりさせること」が大事だと思います。特に生物学者としては、地球の生物だけ調べても「なぜ生物はこういう仕組みなのか」「なぜDNAが使われているのか」といった疑問に十分に答えることができません。天文学者は他の星と比較して太陽の特徴を導き出すことができますよね。同じように、生物一般について知るには、他の星の生物も(いると仮定すれば)調べないといけないわけです。

――宇宙人、もしくは地球以外に住んでいる生命って、どういうふうに探したらいいんでしょうか。
山岸 探し方としては三つ挙げることができます。

 (1)太陽系内で探す

 手当たり次第に探しても仕方がないので、いそうなところをまず考えます。真空だと生物の存在は難しいだろうから、大気があるところということになると、火星、金星、タイタンが考えられます。また、液体の水があると言われているところとしては、エンセラダス、エウロパなどが挙げられます。これらの星には探査機を飛ばすべく、いろいろな国が準備をしているところです。

 ただ、実は不思議に思うかもしれませんが、火星の中でも生き物がいそうだと考えられているところには、まだ探査機は行っていません。これは、生物がいそうなところに行くのだったら、地球にいる微生物を持ち込まないために必要な「滅菌」をしなくてはならないからです。部品ひとつひとつについて何千回もチェックして滅菌するのは結構大変なんです。

 (2)太陽系外で探す

 直接行けないような遠い場所に生命がいることをどうやって知るか。それについては、今から40年以上前に、ボイジャーという探査機が興味深い調査を行っています。ボイジャーは、宇宙から地球を探査したのです。

 たとえば、ボイジャーは地球の大気を分光で観測することによって、酸素があることを「発見」しました。酸素は植物の光合成由来の物質です。また、オゾン層があること、メタンがあること、植物が光を吸収してその波長の光が減っているという事実を観測したのです。これらはいずれも、地球に生命がいることを示唆する結果でした。生命がいる地球を宇宙から観測し、そこに生命がいることを推論できる証拠を得られたのです。この結果を遠くの惑星を観測する際に応用すれば、生命がいる星を探すことができます。

 (3)SETI(地球外知的生命探査) ※鳴沢真也先生の回答に詳細が載っています

 宇宙人が通信などに電波を使っていると仮定して、それを見つけるべく電波望遠鏡が運用されています。

地球から50光年の範囲内には宇宙人がいない?

――「宇宙の広さを考えれば宇宙人はいるはず。でも、宇宙人がいるならば、とっくの昔に地球に来ていてもいい。なのに、なぜ地球には宇宙人は来ていないのか」というフェルミのパラドックスと呼ばれている問題がありますが、これについてはどう考えていますか。
山岸 私が考えている回答は、「地球から50光年の範囲内には宇宙人がいない」というものです。地球人が電波を使い出して100年ほどしか()っていません。宇宙人がこの電波をキャッチし、地球に向けて何らかのシグナルを発するとしたら、最長でも50光年先には宇宙人がいないといけないことになります。つまり、この広い宇宙の中で、地球人の存在は50光年より先の宇宙人にはまだ知られていないという可能性があるのではないかと考えています。

 また、宇宙人が地球に来るということ自体、きわめて可能性が低いと考えています。物理的に距離が遠く、太陽系外の惑星から地球まで来るには数十万年かかると思われます。先ほども言った通り、地球は宇宙の中ではどこにでもある星です。そこまでして、ここまで来るメリットがあるとはとても思えません。SFでは空間をワープして大変な距離を一瞬で移動する、というシーンが描かれていますね。我々の科学力ではもちろんそんなことはできませんが、もし仮にできたとしても、そんな重力場がめちゃくちゃな空間を生命体が通って無傷でいられるとは、ちょっと考えにくいのではないでしょうか。

――宇宙人がいるとしたらどんな姿が考えられるでしょうか。
山岸 宇宙人がどんな姿をしているか、ちょっと考えてみましょう。ここでは、地球と同じような大きさの星で液体の水があるという地球に似た環境の星に住む宇宙人を考えてみます。

 宇宙人が道具を使う知的生命だとした場合、道具を使うのに「手」は2本いりますね。「指」は道具をつかむために2本以上必要です。手が4本や6本あっても構いませんが、あまり多いとそれを維持するためのエネルギーが大きく、経済的には効率がいいとは言えません。そう考えると、手は2本で十分でしょう。植物のように自分で栄養を作れる場合、動く必然性がありません。やはり知能を持った生命になるのは動物でしょうから、そうなると他の生き物を捕まえて栄養を摂取するための「口」が必要です。エサを探すための探査装置、いわゆる「目」も必要になってきます。

 目は一つだけだと遠近感をつかむことができません、立体視のために目は二つ必要です。目はエサを探すための装置なので、口のそばにあるでしょう。口が目の上にあると食べこぼしがこぼれてきて大変なので、口は目の下にあるのが穏当でしょう。また、空気を取り入れるために「鼻」も必要です。さらに、「脳」の体の中における位置を考えると、体の上の方にあると予想されます。脳は振動に弱いですから。目はエサを探すと同時に、天敵を発見するために重要です。天敵を発見したら、なるべく早く逃げなければいけません。このため、目は脳の近くに置いて、神経による情報伝達をスムーズにすることが大事です。

 また、「足」も当然必要ですが、これは人間のように2本である必要はありません。2足歩行は決してバランスがいいわけではありませんから。4本あっても構わないと思います。

 以上のように考えてみると、実は人間と見た目はあまり大きく違わないのではないでしょうか。人間と似た見た目の生き物か、あるいは足が4本でケンタウロスという想像上の怪物と似た格好になっているか、というのが考えやすいと思います。

 実は生き物というのは、別々に進化していっても、似たような環境に住んでいると同じような形になることがあります。「収斂(しゅうれん)進化」と呼ばれています。脊椎動物と昆虫はかなり早い段階で別々の生き物に分かれました。共通の祖先を探すと、クラゲまでさかのぼってしまいます。でも、人間も昆虫もアタマに口、目、脳が集まっているのは同じですよね。また、魚とイルカは魚類と哺乳類ですが、いずれも流線形で似た形をしています。そう考えると、人間と似た形の宇宙人がいてもそこまで不思議ではありません。

 また、エイリアンなどの映画には、外骨格をまとっているような宇宙人が登場します。外骨格というのは、昆虫と同じように大きくなるときに脱皮を繰り返す必要があります。脱皮直後というのは柔らかくて脆弱(ぜいじゃく)な体を(さら)さなくてはいけません。それを何回も繰り返すのは、やはりマイナス要素が大きいと言わざるを得ません。外骨格の宇宙人はあまりいないかもしれません。

【「宇宙人はいるの?」 ほかの人の回答は・・・】

 ◇「地球型」とは違う生物がいてもおかしくない…小林憲正・横浜国大教授

 ◇我が家においでいただき、スキンシップを…詩人・谷川俊太郎さん

 ◇宇宙人は確実に存在する…天文学者・鳴沢真也さん

 ◇縣秀彦さん(天文学者)の回答

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785537 0 お知らせ 2019/09/09 11:47:00 2019/09/11 15:31:52 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190906-OYT8I50041-T.jpg?type=thumbnail

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