30年後はこんな世界!? Foorin・ヨシタケシンスケ・吉野彰の大予想2050

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 1月9日号の1~3ページの特集「30年後 私の予想図」では、3組の著名人に聞いた30年後の予想を掲載しました。このページでもインタビューの詳細を1問1答形式で掲載します。紙面と併せてお楽しみください。

 ちなみに、Foorin、ヨシタケシンスケさん、吉野彰さんの3組を選んだのは、読者と同じ若者世代、現役で働いている世代、すでに世の中に多大な貢献をするだけの成果を出している世代、と3世代それぞれの予想を聞いてみたかった上に、芸能人、絵本作家、科学者と全然違うジャンルの第1人者に聞くことで多角的な企画にできるというもくろみもありました。実際どんな内容になっているか、以下で確かめてみてください。

 なお、読売KODOMO新聞では今年1年間、30年後の世界を考える企画を通年で掲載していきます。環境問題、AIの進化、ファッション、食文化などなどさまざまな視点から今後の30年間を俯瞰し、これまでの30年間と比べてみたいと考えています。

Foorinに聞く30年後 「差別とかしないで」

左からたける、ちせ、もえの、りりこ、ひゅうがの5人。日本レコード大賞おめでとうございます!
左からたける、ちせ、もえの、りりこ、ひゅうがの5人。日本レコード大賞おめでとうございます!

 ――皆さんが2020年以降の30年間に持っている目標はなんですか
 りりこ 差別とかしないで、普通にみんな平等にかかわりあえるような、接することができる大人になっていたいなって思っています。

 ちせ 私がこうだったらいいなって思う社会は、「あなたは○○だからこうしなければダメ」とか「あなたは○○だからこうする」っていうのがなくなって、みんなにチャンスがある社会。今見ているドラマで「女の人だから給料が少ない」とか「女の人だから職業に就きにくい」っていうシーンがあって、すごくビックリした。「昔はこういうことが当たり前だったのよ」ってお母さんから聞いて、またびっくりして。そういう差別がなくて、みんなにチャンスがある社会になれたらいいなと思う。

 もえの 今よりももっと機械とか人工知能とかが増えて、人間がもっと暮らしやすい社会になっていると思う。あと、外国人も住みやすくなって、日本に住む外国人も増えて、日本に外国の文化もたくさん増えるんじゃないかと思っている。

 たける ぼくは買い物とかで外に行くのはあまり好きじゃない。ゴロゴロするのがすごく好き。あまり動きたくないじゃないですか。なので、自分が「アイスを食べたい」って思ったら一瞬で来る、みたいな。そういうものが30年後にあってくれたらいいなって思う。30年たったら今みたいに元気もないじゃないですか。すごいスポーツ選手みたいな体になっているとは想像できないし、体が動くとも思わない。自分の想像したものが寝転がっている自分のところに届くっていう機械ができないかなぁ、って。

 ちせ 今でも「へい、なんとか。ピザの注文頼んで」って携帯に話しかけたらその通りにやってくれる機能があるじゃない。

 たける 支払いより早いの。

Foorin ひゅうが、たける、りりこ、もえの、ちせの5人による小中学生の音楽ユニット。米津玄師作詞作曲の「パプリカ」で2019年の日本レコード大賞を受賞。

ヨシタケシンスケさんに聞く30年後 「幸福の予感を提案していきたい」

これからの世界を予測するヨシタケシンスケさん。高齢者向けの絵本作りにも意欲まんまん…?
これからの世界を予測するヨシタケシンスケさん。高齢者向けの絵本作りにも意欲まんまん…?

 ――ヨシタケさんはご自身の子育ても参考にしながら絵本を作っているということですが、もうしばらくすると子育ても一段落しますよね。その先はどんな絵本を作っていきたいと思っていますか。
 ヨシタケ 僕は子供が小さい頃はそれが新鮮なテーマになってくるし、子供が大きくなってくるとそれはそれで違う問題が出てくるし。子供が大きくなって出てくる新たな問題に対して、そういう問題にもトライしていくように、変わっていきたい。

 何より自分自身が年をとって老化が始まっておっさんになってくると世の中の見方も変わってくるわけですよね。そういうこともテーマとして外せなくなってくる。高齢者という立場から世の中がどう見えてくるのかとか、そういうことにも興味がありますし、そもそも子供が減っていって、絵本を読む人口が減っていっちゃう中で、今度は高齢者が読む、高齢者向けの絵本も当然今後出てくるだろうし、高齢者向けのエンターテイメントも必要になってくるだろうし。そういう変化に対して思うことをその都度拾っていきたい。

ヨシタケさんのインタビュー&イラスト集「ものは言いよう」は昨年12月発行
ヨシタケさんのインタビュー&イラスト集「ものは言いよう」は昨年12月発行

 ――30年後にはどういう世界で自分は絵本を書いていると思いますか
 ヨシタケ 30年後って我々今の40、50代くらいの世代が高齢者になって子供たちにすごく迷惑かけている時代ですよね。人類史上誰も見たことがないくらい老人だらけの世の中になっているっていう未来が一つある。あまり明るい未来じゃないかもしれないけれど、だからといって、子供たちにこの先いいこと何にもない、って言うわけにはいかないわけですよね。具体的に、こういうおもしろさもあるはずだし、こういう楽しみもあるはずだし、っていうのを、やっぱり提案しなきゃいけないんですよ。

 我々自身も老人になっていく中でどう満足度を上げていくか、考えないといけない。何を手本に、ケース・バイ・ケースな人生を選んでいったらいいのか、それは死活問題ですし、非常にシビアな問題として今後出てくる。ただ間違いなく、「こういうふうになったらいいよね」という理想の形、根拠がなくても無責任でもいい、「幸福の予感」みたいなものを具体的に提案していくことってやっぱり大事だと思います。何の根拠もないけど何かいいことがあるかもしれないと思える「何か」を作れる人がやっぱり必要で、そういう根拠のないところから根拠のある幸せって作られるはずです。高齢者でも、「体中痛いところばっかりでも何もいいことない」と言ってみんなが過ごしているかと言ったらそんなことないですよね。何十年生きてきただけの何か、シニカルさみたいなもので、日々を笑っていくこともできるはずだし、人間何が希望になるか分からないという具体例みたいなものを、何か自分自身で作れたらなと思います。それが30年後の自分のために役立っていてほしい、っていうのが、すごくありますね。

 あとは、世の中の流れを絶えず見ているわけではないので分からないですけど、将来的にがらがらいろいろなものが変わっていくのは間違いない。それへの対処を絵本などの形で見せることも大事です。「変わるんだよなあ」ということに対する心構えは今のうちから練習できるはずですから。世界が変わるにつれて、握ったものを手放していかなきゃいけない、そのときたとえば「こういうことを思えば手放すのが惜しくなくなるんじゃないか」とか、「手放せばその代わり別なものが手に入れられるんじゃないか」とかそういう言い方が僕自身欲しいし、今後必要になってくると思うんですよね。人間、自分のものを手放すのって怖いんだけど、そういう変化に対する不安や恐怖をどうにか和らげていきたいというのは、自分自身の切実な、そしてどんな人にも共通するテーマのはずです。

 未来には何があるか分からない。僕自身、自分にできることって何もないと思っていたし、未来が怖くて怖くて仕方がなかったけど、社会全体の不幸せと個人の不幸せって全然違うことです。高齢者だらけで大変なことになるっていうことと、あなた個人が大変になるかどうかは全く別の話ですよね。

 そもそもいま推測上高齢者がいっぱいになるって言われているけれど、それ自体本当にそうなるか分からなくて、たとえば来年あたり高齢者が死滅するウイルスがはやって子供たちだけになるかもしれませんよね。予測と未来はまた全然別の話だからね、っていうところ、至極当たり前のことだけど、案外言われていないし、言おうともしていない。それをもうちょっと言う人がいてもいいと思う。

ヨシタケシンスケ 絵本作家。「りんごかもしれない」「なつみはなんにでもなれる」などの絵本が人気。昨年12月にインタビュー&イラスト集「ものは言いよう」を刊行。

吉野彰さんに聞く30年後 「慈善事業では環境問題は解決しない」

 ――リチウムイオン電池の発明は、社会を変えたと評価されています。
 吉野 やっぱり一番の醍醐味というんでしょうね。研究というのは、延々と10年、20年とかかるわけでね、最終ゴールがやっぱり世界を変えること。単に物が売れるだけじゃなくて、新しいものが世の中に出ていって、そいつが広く使われて、世の中が変わったねという実感が一つのゴールなんでしょうね。あの、別に世界を変えようと思ったわけじゃないんだけどね。リチウムイオン電池があって、他の何かといろいろ連動しながら、結果としてこう世界が変わったわけで。

 ――ノーベル賞の受賞が、それをさらに実感させてくれた。
 吉野 それはもう、モロにそうですよね。あの受賞理由が、私の思った通りのことをよく言ってくれたなと。これからは、さらに、環境問題という、こいつはもう極めて難敵ですが、これをクリア克服していく一つの、有力な武器になる可能性をリチウムイオン電池は秘めています。うまくいったら、また世界が変えられますよね。

ノーベル賞受賞者の吉野彰さん。SDGsバッチを胸につけている
ノーベル賞受賞者の吉野彰さん。SDGsバッチを胸につけている

 ――今まさにおっしゃった環境問題の話は今後かなり大きいな問題かと思いますが、吉野さんはSDGsバッチをずっと付けていらっしゃいますね。やはりSDGsにはかなり関心を持っているんですか。
 吉野 バッチをつけ始めたのはつい最近でね。あのね、私もびっくりしたの。旭化成のこの本社ビルで、いわゆるファミリーデーっていうのがあるんですよ。社員の家族、特に子供さんが来てね、いろいろオフィスの中を見学したり、いろんな人と話をしたりするんだけど。

 そのときに子どもたちが社長のところへ行くツアーがあってね。始めはやっぱり緊張するじゃないですか。たまたまうちの社長がこのバッチをつけていたんですって。それを見つけた子供が、同じバッチを持っているということになって、それから場が和やかになったという話を聞いたんですよ。

 ――先生はその話を聞いて。
 吉野 そうそう。環境問題これからやるんだって言いながら、このバッチ持ってなかったら笑われるんでね。SDGsというもの自体は知っていましたけどね。こういうバッチがあるのは、まあうかつにも知らなかったし、そこからはちゃんと付けるようになりましたよね。

 ――SDGsにはどういうところで関心を持ったのか。
 吉野 それは国連という組織があって、しかも2030年という具体的なゴールを決めて、今までにない、17のゴールがありますよね。で、あれはよく見るとね、言い方悪いんだけど、商売のネタですよ。あの中できっとヒット商品が必ず出てくるんですよ。そういう目で見ることも大事だと思うんですよ。単に謳い文句ということでなく、まさに人類はこういうものを欲しがっているってことでしょ。それにミートするような新製品出したら間違いなく売れますよね。なんかそういう風に見た方が、能動的に環境問題の解決に向かえると思う。

 環境問題というものを慈善事業的に解決してやるんじゃなくてね、もう大きなビジネスのネタとして環境問題を根本的にクリアするような新製品を出す。これは別に悪いことじゃないでしょう。結果として利益に繋がり、その技術はさらに、利便性も損ないませんよ、場合によっては、もっと便利になりますよ。環境活動家のグレタさんも、別に金もうけがいかんとは言ってないでしょ。環境問題を考えずに金儲けするのはいかんよと言っているんですよ。

自身がノーベル賞に決まったことを報じる読売KODOMO新聞を笑顔で手にする吉野さん
自身がノーベル賞に決まったことを報じる読売KODOMO新聞を笑顔で手にする吉野さん

 ――そういう考えからして、今から30年後どんな世界になっていると思いますか。
 吉野 環境問題はもうパーフェクトな答えが出せるだろうね。パーフェクトな解決策を出す人が出てくると思います。それは、環境に優しくて、利益の出る事業になって、なおかつ使う人はもっと便利になるんですよという、三つの条件を満たす、うそみたいな話が絶対出てきますよ。

 ――先生は分野と分野の融合したところが大事だとおっしゃっていますけど、そういう環境問題への対処も、学際的なところから出てくると予想されていますか。
 吉野 そうそうそう。その切り札として、AI、IoTとか話題になっているでしょう。あれはね、環境問題にものすごく力を発揮する。要するに無駄をなくしましょうということでしょう。

 ――それとリチウムイオン電池も。
 吉野 一つはね。もちろん電池だけじゃないでしょ。そういうようなものが、いくつか出てくると思う。全然違う分野で、AI、IoTで環境に貢献して、なおかつ安くなったっていうのが。それを勝ち取ったやつがさっき言ったビジネス的に世界をリードする企業に育っていくんだと思うけどね。慈善事業だけで環境問題をやっていたら、絶対にダメだと思う。

吉野彰(よしの・あきら) リチウムイオン電池の開発への貢献が評価され、2019年のノーベル化学賞を受賞。旭化成で研究を続けてきた企業研究者。

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1023576 0 お知らせ 2020/01/28 15:01:00 2020/02/04 10:25:11 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200114-OYT8I50028-T.jpg?type=thumbnail

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