【俺はググらない】涙はいつも出ている…後藤英樹さん

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 涙は本当に枯れるのか。編集室では、この疑問に答えるためいろんな専門家に取材することにしました。まずはそもそも目から涙が出る仕組みによって、「枯れることがある」または「枯れることはない」ということが分かるのではないか……そう考えて連絡を取ったのが、眼科医の後藤英樹さん。日本涙道・涙液学会にも入っている、「涙」のエキスパートです。

 先生、涙は枯れるんですか?

  涙はどこからどうやって出て来るのですか。

  涙というのは、まぶたの外側にある「涙腺」という器官にためられて、分泌されます。血液のうち水分などがこし出されて作られ、ためられているのです。こうして作られた涙を目の表面に広げているのはなんだか分かりますか?そう、まばたきです。涙が分泌されるにはまばたきが重要なのです。だから、眠っていてまばたきをしない間は、基本的には涙が出ることはありません。こうして作られた涙は、涙小管から涙嚢を通り、最後は鼻に抜けていくのです。

  私たちは悔しくなくても毎日涙をのんでいるということなんですね。

  その通りです。基礎分泌の涙は1日約1cc分泌されます。目の表面にひろがり、目を潤し、このうち9割が鼻にぬけ、残り1割が目の表面から蒸発しています。涙が涙小管に入りきらず、目からあふれてしまった状態が、「泣いている」状態というわけです。

  泣くとき以外にも涙は出ているのでしょうか。

  涙というのは3種類に分かれます。ふつうに「涙」と言ったときに皆さんが思い浮かべるのは、悲しいときや感動したときに流す、感情で出る涙ですよね。そのほかに「基礎分泌」の涙があります。これは目の表面をぬらしておくために、常に分泌されているものです。あともうひとつは、「反射性分泌」と呼ばれるもの。タマネギを切るなど、何か目が刺激を受けたときに目を守るために出る涙です。

  なぜ涙は出るのでしょうか。

  私は「目の表面の涙は生き物が海にいた時代の海の名残だ」と考えています。どういうことかというと、海の中にいる間、生き物の体は粘膜におおわれて海水と接していました。生物が「目」を持つようになったのは、5億年前のカンブリア爆発の頃。進化して陸に上がると、体全体が粘膜に覆われている必要はなくなり、陸上生活にふさわしい皮膚に変わりましたが、目は湿っている必要があったので粘膜に覆われたままになったのです。海がなくなったところを涙で粘膜の湿り気を補っているのです。映画「少林サッカー」でもでていましたが涙ってしょっぱいでしょう?

  なぜ目は陸上でも粘膜のままだったのでしょうか。

  目の表面がいつもぬれていることで、目はモノがよく見えるようになるからです。黒目の表面は角膜という膜がありますが、その細胞の表面は細かく見るとでこぼこしています。涙がないと光が正しく屈折しないため、そのままではいいレンズとして機能しないのです。それが涙によってなめらかになり、ものが見えるようになるのです。涙が少なくなってしまう病気をドライアイと言いますが、最重症のドライアイでは、角膜は皮膚と同じように肌色になり、透明でなくなってしまうのです。うるおいを保つことは、目にとってとても大事なことなのです。

  眼科医のお立場からすると、人間、涙が枯れるということはあると思いますか。

  正直に言うと、正確なことは分かりません。泣きすぎて涙が枯れた人を見たことはありませんが、私の個人的な感想としては枯れることもありうると思います。

 先ほど言ったように、涙は涙腺でつくられ、ためられています。理屈で言えば、涙がためられている涙腺から涙が出払って全部なくなってしまえば、涙は枯れるでしょう。先ほど言ったように、基礎分泌の涙が出るスピードは1日1ccですが、どのくらいのスピードでためられているかはちょっと分かっていません。中国の歴史書「史記」では、七日七晩泣き続けて国を救った男の話が出てきます。それだけ泣けば涙が枯れることもあるのではないでしょうか。ただし、夜も眠らずに泣き続ければ、ということです。寝ている間はまばたきしないため涙はたまっていく一方ですから。

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1407686 0 お知らせ 2020/08/13 17:11:00 2020/08/13 17:11:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200807-OYT8I50018-T.jpg?type=thumbnail

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