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【俺はググらない】小さい頃は涙をコントロールしていた…春名風花さん

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 女優の春名風花さんは、かつてバラエティー番組で「早泣き」の特技を披露し、人気を集めました。最近ではツイッター上の中傷で名誉権を侵害され、損害賠償を求めた裁判で、相手が示談金を支払うことで和解したこともニュースになっていましたね。

 小さい頃は泣くも泣かぬも意のままにコントロールできたそうですが、今は泣くのをガマンすることはないと考えているそうです。それはなぜでしょう。

 そして春名さん自身は「涙が枯れる」という経験はあるのでしょうか?

「なんで泣き」、「世界せばめ泣き」、「体泣き」

 子どもの頃、テレビのバラエティー番組で「早泣き」を披露していたときは、「なんで?」という言葉をたくさん使っていました。たとえばこんなお題を示されたとき。「ずっと自分と闘ってきた覆面レスラーがお母さんだと分かった時の気持ちになって泣いて」。「お母さん、私なにか悪いことした?どうしてこんなひどいことするの?」そうやって自分の気持ちを泣く方向に持って行きます。他の例だと、「千円札が使えない自動販売機になった気持ちで」。「なんで私は千円札が使えないの?ダメな自販機でごめんなさい…」という気持ちで泣くんです。

 ほかにも「世界せばめ泣き」というのもあります。たとえば目の前にあるティッシュが自分にとって世界で一番大切なものだと思い込んで泣く、という手法です。よく早泣きをするときには「お母さんが死んじゃったと思って泣いてください」というようなことを言われたこともあるのですが、「勝手に親を殺さないで」と思っていました。その代わりに編み出したのが、実際には自分にとってどうでもいいものでもそれをかけがえのないものだと思い込み、失われた時のことを考えて泣くというやり方でした。

 最初に「泣く」演技をやり始めた4~5歳くらいのときやっていたのは、もっと原始的な方法です。「体泣き」と呼んでいたのですが、泣いているときの体の状態を覚えておいて、その状態に意図的に近づけるようにするというもの。泣いているときって、息が上がって、アタマがぼーっとして、目頭が熱くなりますよね。そういう感覚を想像によって再現するのです。ただ、その泣き方だと感情で泣いているわけではなく、バラエティー番組的に面白い言葉が出てこなかったので、やめてしまいましたが。

生きる意味を考える4歳

 「あの覆面レスラーって実はお母さんだったの?じゃあ私が今まで闘ってきた意味って何!?」とか、「千円札が使えないなんて、私の自販機としての存在意義はどこにあるの!?」そんなふうに思うと、涙が出てきました。自分に生きる意味がない、と考えるのがとても悲しいんですね。

 生きる意味についてはよく考えていたと思います。小さい頃から暗いアニメが好きで、4歳の頃に少女が決闘ゲームに巻き込まれていく傑作テレビアニメ「少女革命ウテナ」のDVDを見たがったんですね。そのくらいの年頃の子どもが見るアニメは全然興味を示さなかったのに。ある程度年齢がいかないと内容が理解できないアニメだったので、母親は見せるのをためらったそうなんですが、最終的には私を尊重して見せてくれました。そうした作品で描かれる、生きることや死ぬこと、わかり合えないこと、「生きる意味はどこにあるのか」というテーマに関心があり、そういう素地が早泣きの特技につながっていったと思います。

泣くのを抑える術

 「得意だから撮って」。プライベートのビデオでも、そんなふうに言って早泣きの特技を披露しているものが残っています。テレビ番組で、お題が出てから泣くまでの最短記録は6秒。そのときは「弟がダルマにかえられてしまった」という設定でした。逆に小学校では、すでに「早泣き子役」としてクラスメートにも知られていたものですから、からかわれることもありました。「仕事以外で泣くもんか」、そう心に誓って、オーディションに落ちるといったつらいことがあっても涙は見せませんでした。

 泣くのを抑えるときは、「体泣き」と逆のことをすればいいのです。泣くと息を吸いすぎてしまうので、呼吸を抑え、吸ったり吐いたりするスピードをゆっくりにします。泣くきっかけになったことを考え続けると泣けてきてしまうので、「道路で見かけるあの鳥はなんていう種類だろう?」みたいに全然関係のないことを思い浮かべるようにしていました。

 小学生の頃は、泣こうとしたときに泣くことも、泣くのをガマンしたいときにガマンすることもできていました。涙をしっかりコントロールできていたのです。

「早泣き」からの卒業

 でもだんだん、生番組で披露するときにはプレッシャーもあって失敗することも出てきました。「ますだおかだのおかださんのギャグが寒すぎて泣く」というお題が出たときは、さすがに感情移入できなくて失敗。バラエティー番組でそうした仕事をしているうちに、このままこうした仕事をしていていいのかな、とギモンも持つようになりました。本当はお芝居がやりたいのに、バラエティー番組で泣くイメージがついてしまうと、ドラマの撮影で涙を流しても視聴者には「早泣きの子が泣いている、面白い」と映ってしまう、そんな女優のところにそもそもお芝居の仕事は来ないのではないか……。

 そう考えて、バラエティー番組で早泣きを披露するお仕事はやらなくなりました。今もお芝居などで涙を流すのはできます。でも、仕事の方向性として「お題を出されて泣く」というのは良くないことだと脳にすり込んだので、今はお題を出されても泣くことはできないと思います。

 現在、短大に通いながらお芝居のお仕事をしています。唐突に人前で泣くことも増えました。小学生の時は、無意識のうちに「自分を守ろう」としていたこともあって、泣くのをガマンしていたのだと思います。仕事でご一緒する方も短大のお友達もみんな良い人なので、人間関係がよくなってほぐれたというところはあると思います。

 小学生のときはあんなに仕事以外で泣くもんかと気を張っていましたが、今となっては「泣くのをガマンしなくてもいいのではないか」と考えています。実は早泣きの仕事をする前、私はツメをかむクセがありました。でも早泣きの仕事をしている間は、ツメをかむことはなくなり、早泣きの仕事をしなくなったらまたツメをかむようになったのです。泣くことでストレスが発散されていたのでしょうね。感情を解放する機会はもっとあってもいいのではないかと思います。

悲しすぎると涙は出ない

 子どもの頃から涙をコントロールしてきた私の経験から言うと、涙が枯れることはないと思います。身体的に、枯れるよりも前に泣き疲れてしまいますから。私自身、これまで「涙が枯れた」と感じたことはありません。

 ただ、悲し過ぎて涙が出ない、という経験はあります。それは、ネット上で誹謗中傷を書かれて、警察に相談しに行ったときのこと。信じられない言葉を投げかけられました。対応した警察官から、「芸能活動をやめたらいいんじゃないですか」と言われたのです。なぜ被害者が変わらなければいけないのか……。悔しくて涙も出ませんでした。

 誹謗中傷との戦いは長いものでした。その早い段階から、マスコミの方に注目され、取材を受ける機会がたくさんありました。何度も取材を受けているうちに、言葉が整理され、すらすらと話せるようになっていったのです。自分の身に起きた悲しい事柄でも、それを説明できるようになった時点で、気持ちはだいぶ救われていたような気がします。

自分さらけ出して

 自分の悲しみを人に話すと、「嫌われるんじゃないか」と思うかもしれないけれど、実は自己開示がうまい人の方が好かれると思います。自分を頼って悲しみを打ち明けてくれる人は好感を持たれやすいのではないでしょうか。恐れずに相談していいと思います。もちろん、私が相談に行った警察官の人のように、あまりに自分と考え方が違いすぎる人と話すと傷つくことがあると思うので、信頼できる人に頼るようにした方が良いでしょう。

 子どものうちは泣いても「かわいいね」と言ってもらえます。でも年齢を重ねるほど、社会の目は「泣く」ことを許さない、という雰囲気が強くなりますね。でも私は、泣くというのは別に悪いことじゃないと思います。これからを担う子どもたちには、感情をおさえつけたり、意見をのみ込んだりせずに、外に向けて自分のことをさらけ出せるようなオトナになってほしいと思います。そうしたら、自分のことをさらけ出せる相手ばかりが自分の周りに集まって、生きていきやすくなるでしょう。

 私自身を振り返ると、小中学生のときはなかなか周囲を信じることができなくて、いつも自分の中の何かを押さえつけている感覚がありました。だから仕事以外では泣かなかったのです。今通っている短大はとても居心地が良くて。私は昔よりも今の自分の方が好きです。

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1407701 0 お知らせ 2020/08/13 17:11:00 2020/09/07 11:39:21 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200812-OYT8I50107-T.jpg?type=thumbnail

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