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【俺はググらない】どうして人は夢を見るのか 斎藤環さん「夢は心の健康のバロメーター」

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 「どうして勉強しなくてはいけないのか?」「全力っていったい何?」。これまでの「俺はググらない」で何度もお世話になってきた斎藤環先生は精神科医です。人間の心のスペシャリストである斎藤先生が、人の心が作り出す「夢」の実像に迫ってくれました。

 「こんな夢を見たら心の健康に気をつけるべき」というのはどんな夢でしょうか…?

 夢については、「夢を見るのは人体にとって何らかの目的がある」と考える立場と、「人体のはたらきの結果として夢を見ているのだ」と考える立場があります。前者は精神分析、後者は脳科学の立場とだいたい一致します。

 どうして夢を見るのかは分かっていないに等しいです。だからこそ、100年以上前のフロイトの理論がいまだに引用されているのです。フロイトは「どんな夢も願望充足である」と考えました。現実に果たせないことを夢で見ているという考えです。フロイトは、患者が「どんな夢を見たのか」「そこからどんなことを連想するか」を聞き、夢の解釈を行いました。夢自体が大事なのではなく、夢は単なる素材で、治療というセッションを始めるための手がかりだったわけですね。だから、「親を殺す夢」を見たとしても、単純に「親を殺したいと思っている」という解釈になるわけではなくて、親に対する愛憎の入り交じった複雑な感情がそこに表れているとみる訳です。

 これに対して、フロイトの弟子のユングは「この夢はこんな意味がある」と夢の中身と意味を一対一対応させて解釈しました。意識の上にはのぼっていないことに対して、無意識が警告を発している、と考えたのです。今はあまりこの考え方をとる人はいません。

 夢を科学的にとらえるためのこれまでの歴史の中では、レム睡眠(※三島和夫先生の回答を参照)の発見はとても大きなものでした。それまで、夢は特別な人が特別な場合にだけ見るものだと考えられていました。睡眠の中に、レム睡眠という誰もが経験する状態があり、そのときには夢を見るものだとしたら、すべての人が夢を見ているということになります。

 脳科学の発展によって、「夢は、間脳から出てくる意味のないイメージを前頭葉が意味づけようと整理して物語風になったもの」という結果論的なとらえ方が一般的になっています。ただ、「昼間に経験した記憶を無意識の中で整理し落ち着かせている」という見方もあり、これは目的論寄りだけど実感に近いと思っています。

 実際に精神科医が診察する際、夢に注意を払う場合があります。特に注意すべきなのは、同じ悪夢を繰り返して見るという場合です。何か過去の経験がトラウマになり、PTSDを発症している危険性があるからです。悪夢を見ているうちは、過去のトラウマから抜け出せていないということですので、ハイリスクな状態にあると考えます。たとえばいじめの被害を受けた人は、繰り返しいじめられる夢を見る場合があります。いじめられるだけではなく、いじめてきた相手と仲良くしたくないのに仲直りするという夢を見る場合もあります。これも、いじめられている本人にとっては悪夢なわけです。

 場合によっては、ストレスがかかっているのに自分では気がつかない場合もあります。悪夢を繰り返し見ることが、自分の心に大きな負荷がかかっていることを知るきっかけになるのです。

 夢というのは現実では起きない様々なことが繰り広げられる場ですが、ひとつの夢だけを繰り返し見るということは、様々な夢を見る想像力が奪われ、夢の内容の幅が狭くなっていることだと言い換えることもできます。これとは別に、統合失調症にかかると夢を見なくなるという症状もあります。どんなふうに夢を見るのか、ということ自体が、心の健康を知るためのバロメーターとして活用することができるのです。

 「どうして人は夢を見るのか」ほかの人の回答は…
 ◇とにかく明るい安村さん(お笑い芸人)「夢で予行演習をしているのかも」
 ◇松田英子さん(心理学者)「夢は現実とリンクしている」
 ◇久留島元さん(中世文学研究者)「昔の人は夢を買ったり盗んだりした…?」
 ◇三島和夫さん(睡眠医学研究者)「夢を見ることで記憶が整理されている」

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1829718 0 お知らせ 2021/02/09 12:00:00 2021/02/09 12:11:11 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210205-OYT8I50021-T.jpg?type=thumbnail

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