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【俺はググらない】どうして人は夢を見るのか 松田英子さん「夢は現実とリンクしている」

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 夢は人間の心の状態と深い関わりがあります。自分が人生に対してどういう態度で臨むか、その姿勢が夢と地続きであると心理学者の松田英子・東洋大学教授は考えています。心の持ちようが変わると夢の内容も変わる、そんな興味深い事例も教えてもらいました。

 人間は寝ている間、体と頭を同時に休めるのではなく、交互に休める仕組みになっています。睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠というふたつの状態があり、レム睡眠のときはストーリーのある夢を見やすく、頭は活発に動いていますが、体はぐったりしています。ノンレム睡眠は深い睡眠から浅い睡眠まで4段階あるのですが、浅い睡眠の時でもストーリー性のある夢はあまり見ず、頭はお休みモードですが、体は寝返りを打ったり寝言を言ったり稀に寝ぼけて歩いたりということが起こります。

 夢は、記憶の整理、定着のプロセスで見るものだと考えられています。一生懸命勉強したり、スポーツで新しいプレーを練習したりした後は、とにかく寝ることでその記憶が定着し、頭や体に覚え込ませることができます。特に子どもは、睡眠欲求があるかぎり寝る方が良いです。睡眠は天然のサプリ。正に「寝る子は育つ」のです。ただ、昼寝は本当に小さい乳児期や体の弱い小児を除き、ほとんどの場合必要ありません。目がらんらんとしている昼間に寝かせると、夜間の睡眠の質が落ちる原因にもなります。

 夢の内容はどうやって決まるのでしょうか。主観的な不安感やストレス負荷の変数が夢だと考えることもできます。たとえば学校のテストのように、明日いやなことがある、何か脅威を感じることがある、というときは、夢もネガティブになりやすいのです。また、そういうネガティブな内容の夢の方が、記憶にも残りやすくなっています。

 ただ、夢の引き金になるような不安感や恐怖感というのは、あくまで主観的なもの。勉強ができない人がテストの夢を見て、勉強ができる人は見ない、というわけではありません。テストの点は悪いけどほかに打ち込んでいるものがあるから気にしていない、という人は、テストの夢は見ないでしょう。

 これがテストのように個々人で重要性が変わるものではなく、どの人にも大きなストレスがかかる大きな災害などの場合、いやな夢を見る人が多くなります。たいていは時間とともにストレスが低減し、夢を見なくなっていきますが、被災経験がトラウマになり、何度も思い出して繰り返し悪夢を見る人もいます。新型コロナも、日常の楽しみが制限されたり、この先どうなるか分からないという不安を感じたりということから、悪夢を見る例が報告されています。

 ここまでで分かるように、夢というのは現実とリンクしています。現実の生活が充実している人は楽しい夢を見るし、不安感が強い人はいやな夢を見ます。現実が充実していなくて夢だけ楽しいという状態は、たとえそうなったとしても、長くは続かないでしょう。楽しい夢を見ようと思うのであれば、まずは自分がいやだと思うこと、不安を感じることに手をつけてネガティブな気持ちを解消しないといけません。

 脳が「この記憶はいらない」と取り除いたり、カテゴリー分けしたり、新しい記憶を上書きしたりという整理をしている中で、「この課題まだやってない」「どっちか決めないといけない」といったカベにぶちあたると、夢の中で「現実世界だったらどう対処するかな」とシミュレーションすることもあります。これからの人生におけるトラブルシューティングのようなものです。悪夢を見ると恐怖で目が覚めることがありますよね。そこで何かが心にひっかかっているという証拠です。夢の中身を見つめ直すことで、自分が対処すべき課題、のりこえないといけないカベも見えてきます。逆に自分の中で悩みが解消され決着がつくと、夢の内容が変わってくることもあります。シミュレーションが終了したということです。

 自分の意識が変わって前向きになったら、夢の中の行動も前向きになるという例として、こんな事例がありました。夫の浮気が発覚した女性の例です。夫の浮気は、専業主婦の彼女にとっては人生の脅威とも言えます。浮気が発覚したばかりの頃、彼女は「夫と浮気相手が自分を馬鹿にする夢」「2人が自分を置いてどこかへ行く夢」を見ていましたが、そのうち彼女の心が前向きに変化し、「自分には過失はない!」と強く思うようになると、見る夢も「2人がこそこそ出かけていく後をつけていく」「浮気相手と対決する」というように、夢の中の行動が変化してきたのです。夢には、その時々の心理状態がダイレクトに表れることがあるのです。

 「どうして人は夢を見るのか」ほかの人の回答は…
 ◇とにかく明るい安村さん(お笑い芸人)「夢で予行演習をしているのかも」
 ◇久留島元さん(中世文学研究者)「昔の人は夢を買ったり盗んだりした…?」
 ◇三島和夫さん(睡眠医学研究者)「夢を見ることで記憶が整理されている」
 ◇斎藤環さん(精神科医)「夢は心の健康のバロメーター」

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1829740 0 お知らせ 2021/02/09 12:03:00 2021/02/18 15:33:36 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210205-OYT8I50030-T.jpg?type=thumbnail

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