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【俺はググらない】初対面の人と話すのが恥ずかしいのはなんで 精神科医・反田克彦さんの回答「相手との関係ができていないのだからギクシャクして当然」

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  「人見知りが治るノート」 (すばる舎)という著作がある反田克彦さんは、山梨県甲府市で開業している精神科医です。反田さんの開業している あさなぎクリニック には、対人関係や精神的な問題に悩む中学生以上の患者さんが多く訪れています。

 自分自身、元々は人見知りだったという反田さんに、初対面の人と話すときの心の動きや、仲良くなるコツを聞きました。

 日本人は世界の中でも特に人見知りな人が多いと言われています。人見知りが高じて人と関わることに不安を感じる「社交不安症」は、もともと日本人にしかない病気だと言われていたくらいです。

 そんな中で、昨年から続く新型コロナが特に学生の対人関係に及ぼした影響は大きいものがあったと考えています。うちのクリニックにも、昨年の5~6月、「友だちができない」「仲良くなるきっかけがつかめなかった」という進学したての高校1年生からの相談が、全県から寄せられました。高校1年生からの相談に限れば、毎年一人いるかいないかというところなのに昨年は5人くらい来たのですから、激増と言っていい状態でした。

 小学生の場合、特に入学したばかりの小学1年生は、親のお膳立てが全くない新しい場に適応し、自分の力で友だちを作るのは、相当なプレッシャーなのではないでしょうか。小学生は「家」と「学校」にしか居場所がないという人が多いと思います。家だと、家庭環境に問題がある場合を除いて、親は自分に注目してくれています。家では自分はいわば「主役」。しかし学校では、よほど成績が良いとか運動が出来るような一部の人を除いて、基本的には主役の座から降りて、学校の場における脇役にならなければいけないわけです。その中で自分からアプローチして友だちを作るハードルは、人によってはやはり高いのではないでしょうか。

 もっと一般的な話として、どうして初対面の人と話すのが恥ずかしいのか、についてお話しします。それは、一言で言えば相手と自分の関係性が定まっていないからです。人は親戚や上司・部下、店の客と店員などの関係に応じて自分の態度を決め、人と接しています。しかし初対面では、その人との関係はこれから構築していくわけですから、ぎくしゃくしてしまって当然なのです。

 大人が初対面の人と名刺を出し合って自分のことを説明するのも、こうした関係性を作るための手段の一つです。互いの所属している組織や肩書、やっている仕事の内容を名刺に書かれた情報から判断し、それを話の糸口にします。たとえば小学校でも、クラスで「名刺遊び」などしてみてはいかがでしょうか。互いに名刺をつくって自分の好きなものや家族のことなどを書き、相手に渡してみると、話がはずみやすいかもしれません。

 それから、初対面の人と話すときにはどうしても自分をよく見せようとしてしまいますが、あまりいい格好をしようと思わない方がいいでしょう。人の視線には「見る」と「見られる」の二つの方向があります。このうち「見る」方が「立場」が上、あるいは力関係で言えば「強い」ということになります。だから、「見られる」側から「見る」側になるように心がけるのが大事です。

 ライオンは獲物を捕らえるためによく「見る」ことで狩りをしますね。しかし動物園の檻の中にいるライオンは、同じライオンでも人間にとってはあまり怖くありません。人間はライオンを「見る」側にいる以上、強い立場だからです。同じことは教室の中でも起きます。先生が黒板に文字を書いたり教科書に目を落としたりして話しているうちは安心していられますが、教室を見渡して自分たちの方向を見たとたん、不安がむくむくわき上がってきます。これは先生が自分たちを「見る」視線が、先生と自分の間の力関係をはっきりさせるからです。

 自分をよく見せようというのは「見られる」側の発想です。そうではなくて、自分が「見る」側に立てば、「あの人はどんな人か」と興味を持って相手に質問をしたりよく観察したりします。それ自体が、自分が「見られる」側の弱い立場から「見る」側の強い立場に入れ替わることを示しています。「見る」側に立つことを意識するようにしましょう。

 そのためには、「自分から話しかける練習」をするのがいいのではないでしょうか。教室でいきなりまだ話したことのないクラスメートに話しかけるのはハードルが高いでしょうから、本屋さんや文具店さんなどに入って商品について店員さんに聞いてみるとかでもいいと思います。「この本はいつ入荷しますか」などと聞いてみましょう。トレーニングを積んで慣れれば、話しかけることも苦ではなくなるでしょう。

 私のクリニックに来る学生さんたちは、新年度が始まり、教室で友だちと仲良くなる最初のきっかけをつかめず、仲良しグループがいつの間にか固定化してしまって、その中に入れなかったという人が多くいます。そうした場合は、GW明けや夏休み明けのような次のきっかけを待つというのも選択肢の一つです。ただ、クリニックに来て相談する中でも、友人関係を気に病んで学校に行けなくなってしまったような人たちは、ムリに学校に行かせると悪化するので、そうした場合はムリはさせません。

 仲良くなった後でも、必ずしも良好な人間関係がそのまま続くとは限りません。たとえば仲良し3人組で遊んでいたはずが、自分が風邪で数日休んでいる間に、自分以外の2人が急に仲良くなってはぶられるというケースもあります。一緒にトイレに行かなかったり修学旅行のグループ分けで誰と一緒になるかでもめたりというささいなことがきっかけでギクシャクしてしまうということも実際によくあります。学校は同調圧力も強い場所で、友だちと仲良くすることに命を懸けているといった感じの子がいることもまた事実です。

 塾や地元の友だちなど、家と学校の2か所の居場所以外のコミュニティーを持っている場合は、そこまで神経質にならなくて済むことが多いです。中学生で言えば、小学校時代の友だちが安全弁になってくれるのです。もっとも、そうした友だちがいることが、「中学で積極的に友だちを作らなくていい」という言い訳になってしまうという意味で「足かせ」になる側面もないとは言えません。その辺りは、自分にとって挑戦と安心のバランスの良い環境を作れていることが、大事になってくるでしょう。

 「初対面の人と話すのが恥ずかしいのはなんで」他の人の回答は…
 ◇ コミュニケーション専門家・藤田尚弓さんの回答
 ◇ 夫婦漫才コンビ・チャイムの回答
 ◇ 発達心理学者・渡辺弥生さんの回答

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2155112 0 お知らせ 2021/06/25 11:09:00 2021/07/13 12:25:41 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210510-OYT8I50077-T.jpg?type=thumbnail

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