【俺はググらない】子どもと大人の境目はどこにあるの 反田克彦さんの回答「スポーツカーをミニバンに乗り換えなくても」

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 精神科医で、「 人見知りが治るノート 」、「 孤独を軽やかに生きるノート 」(いずれもすばる舎)の著作がある反田克彦さんは、昨年4月に「俺はググらない」で「 初対面の人と話すのが恥ずかしいのはなんで 」という問いに答えてくれた精神科医です。

【俺はググらない】子どもと大人の境目はどこにあるの

 社会の風潮と精神的な成熟について考察してくれました。

反田克彦さん
反田克彦さん

 今回取材を受けるに当たって、周りにいる何人かに「大人」のイメージを聞いてみました。その話を踏まえると、かつてのような「大人」になりたくない、と考える人が最近では増えていると感じます。

 僕が中学生の頃には、だいたいみんな「早く大人になりたい」というあこがれを持っていたと思います。大人になって一人前と認められないと、何をするにも自由がなかったからです。しかし今では、30代、40代でも「自分はまだ大人ではない」「大人にならなくても良い」と思う人が多くいます。

 この場合イメージされている「大人」は、たとえば会社で部下を指導したり、家庭を持ったりして社会の中で持つべき責任が増え、好きなことを自由にできない、というイメージのようです。「独身時代はスポーツカーを乗り回していたけれど、家族ができたからミニバンに乗り換える」……というような。ひとむかし前、年功序列型の社会では、年長者はこうした社会を支える大人として、無条件に尊敬されていました。

 しかし今では、こうした「大人」が尊敬されるような世の中ではありません。たとえば社会の中で仕事をこなすスキルなども当然年長者の方が上だったわけですが、めまぐるしく変化する社会の中では、最新の情報技術などはむしろ若い人の方が身につけていることが多いですよね。責任ある立場で年下の人たちを引っ張っていく「大人」にならなくても、たとえば起業してたくさんかせぎ、生きていく道もあります。部下を持ったり家庭を持ったりという束縛をあえて受け入れてその分社会での地位を得ていた「大人」像以外にもロールモデルが多様にある時代。だったら、精神的には「子ども」のままで自由を謳歌していた方が楽しいじゃないか……。そんな考えが広まっているように感じます。

 精神医学的には、自分がいったいどんな人間か、何のために生きているのか、という疑問を抱くモラトリアムの期間を経て、そうした問いに対する答えが確立されると「大人」と言えます。しかし現代は、自分がいったい何のために生きるべきか、という統一した基準が持ちにくい時代だと言えます。スーツにネクタイ姿の、経団連をひっぱる大企業の社長のような「大人」よりも、ジーンズにTシャツといったラフな格好のスタートアップの社長の方が、自由で目指すべきもののように映るという人もたくさんいます。逆に言うと、勉強していい学校に入り、いい会社に入ってばりばり働いて結婚しマイホームを構える……というひとむかし前の人生設計が、うまく機能しなくなっているということです。少し昔までは「子どもがいないと一人前ではない」なんていう言い方をされましたが、今そんな風潮は全くありません。

 今後もこうした流れはますます強まるでしょう。それに適応できないと乗り遅れるばかりです。ただ、社会を支える人がいなくなり、自分さえ良ければ良いという考えが蔓延すると、社会は壊れてしまいます。責任はきちんと背負いながらも自由を謳歌できる……そんなスタイルがこれから求められる「大人」像になるのではないでしょうか。スポーツカーをミニバンに乗り換えなくても、大人として果たすべき責任は果たせる、それがライフスタイルの多様化した社会ということだと思います。

 ほかの人の回答は…

歌い手・Adoさんの回答「『うっせぇわ』の頃よりも」
将棋棋士・藤井聡太さんの回答「勝っても負けても変わらない」
実業家・小幡和輝さんの回答「何かを強制されない自由を持つこと」
シンガーソングライター・さだまさしさんの回答「悪魔と契約したような緊張感」
俳人・神野紗希さんの回答「荷物を背負ったりおろしたり」
精神科医・斎藤環さんの回答「世界の中心であると同時に世界の一部に過ぎない自分」
民俗学者・室井康成さんの回答「一人前というのは属人的なもの」
動物学者・今泉忠明さんの回答「かわいらしさを失ったとき」
街角で100人に聞きました「何歳から大人と認められる?」

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2702557 0 お知らせ 2022/01/25 14:15:00 2022/01/25 14:15:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/01/20220124-OYT8I50066-T.jpg?type=thumbnail

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