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    独自の新科目「国語表現」が生まれたわけ…共立女子

     共立女子中学高等学校(東京都千代田区)は、独自の新科目「国語表現」を2018年春にスタートさせた。大学入試改革を見据え、同校の国語科教員が力を合わせて作り上げた新しい科目だ。「書く力」「表現する力」に照準を合わせたこの新科目について、国語科の金井圭太郎教諭に内容を聞くとともに、授業の様子をリポートする。

    「書く力」「表現する力」の充実を求めて

    • 中学3年生のクラスで行われた「国語表現」の授業
      中学3年生のクラスで行われた「国語表現」の授業

     共立女子中学は50年以上にわたって毎月、読書感想文の作成と添削指導を行ってきた歴史がある。口語文法や古典の学習ではオリジナルテキストを使用する。近年では読んだ本の内容や魅力を口頭で発表し合う「ブックトーク」や「ビブリオバトル」などの活動も取り入れ、プレゼンテーション能力の強化にも取り組んでいる。国語指導にはもともと定評があったが、「書く力」「表現する力」を一層高めるために、国語科教員が力を結集し、教材はもちろん指導方法も独自に作り上げたのが「国語表現」という新科目だ。校長に提案して承認を受け、今春から週1回、中学の各学年で実施している。

     新科目の「国語表現」は、生徒の文章力、論理的思考力、自己発信力を養うことを目的として創設された。内容としては、読書感想文や論文について「型」を学んで作成する演習や、パソコンを使ったリポートの作成、グループワークによる発表、クラスメートを前に本を紹介する「ブックトーク」などから構成されている。また、図書館を深く知る授業も行っており、生徒が国語について多面的な体験ができる科目となっている。

    • 国語を指導して17年目となる金井圭太郎教諭
      国語を指導して17年目となる金井圭太郎教諭

     新科目「国語表現」導入の背景として金井教諭は二つの理由を挙げる。一つは大学入試への対応だ。既に推薦入試やAO入試では、小論文やプレゼンテーションのために、書く力や表現する力が問われる。さらに2020年の大学入試改革では、これらの力がますます重要になっていく。その対策として中学3年間で書く力、表現する力を着実に養っていこうという狙いだ。

     もう一つは、小学校時代に読書感想文をはじめとして、子供たちが文章を書く機会が少なくなってきていることだ。その結果、書くことを苦手に思っている生徒が年々増えているという国語科教師たちの実感がある。

     どうしたら、言葉や文章に親しみ、本を好きになってもらえるか。金井教諭をはじめ、同校国語科の教諭17人はこうした問題意識を持ち、教科会や、放課後に集まっての議論でアイデアを出し合い、「国語表現」を作り上げた。

     この新科目を教えるにあたっての特徴は、授業時間での実践を重視していることだ。「他の科目の宿題もあるので、読書感想文や作文を宿題にするのは夏休みなどの期間で、基本は授業中に書き上げます」と金井教諭は話す。授業では、原稿用紙も使うし、キーボードも使う。手書きのフリップも作れば、パソコンによるリポートやプレゼンテーションの資料作成も行う。「アナログもデジタルも両方必要。バランスよく取り入れています」と金井教諭は話す。

     もう一つの特色は、中学2、3年を対象にクラスを2分割し、少人数制の授業としたことだ。生徒と先生の意見の往復を増やし、きめ細かい指導を行うためだ。質問や添削などの回数を増やし、細かく見守るためには少人数指導が向いているという。来年度からは中学1年も2分割で授業を実施する。英語の授業でこのやり方を採用している学校は少なくないが、国語では珍しい。

     このほか、グループワークを行う際には、言葉をテーマにしたミニゲームを行うなどの工夫もしている。これによって発言しやすい雰囲気ができ、その後のディスカッションがスムーズになるという。生徒による作品の相互添削・評価を大切にしているのもポイントだ。

    「型」を学び、手順を踏んで書き方を考える

    • 生徒の優秀作品を収録した文集「ともだち」
      生徒の優秀作品を収録した文集「ともだち」

     「国語表現」の授業がスタートして3か月がたった6月29日に、実際の授業を見学した。

     中学3年生の授業では、夏休みの読書感想文の事前指導が行われていた。読書感想文の「型」を学ぶために、先生が見本として取り上げたのは、在校生の作品だった。同校は毎年、作文や読書感想文の優秀作品を集め、「ともだち」という題名の冊子にして生徒全員に配布している。取り上げたのは、この冊子に掲載された生徒の文章だ。

     「大人が書いた文章でなく、同級生や、ときには下級生が書いた文章から学ぶことで、生徒自身、自分にもできると感じるようになる」という。

    • 学校オリジナルの「読書ノート」。毎月読書感想文を提出し、添削を受ける
      学校オリジナルの「読書ノート」。毎月読書感想文を提出し、添削を受ける

     中学2年生の授業では、より具体的に夏休みの読書感想文の書き方を学んでいた。先生からの説明の後、近くの生徒同士がペアになり、1、2分で本の紹介をしては質問を受ける作業をしていた。筆者が一番言いたいことや、作品のテーマは何か、どう思ったかなどを互いに言葉にし、プリントに要点を書き込んでいく。生徒たちは頭も口も手もフル回転している。

     そのプリントには、大きなマス目が並んでおり、キーワードを書きながら発想を広げていくような作りになっている。別のプリントには、印象に残った場面とその理由、その理由を掘り下げていくうちに思い出したエピソードなどを書く欄があり、指示に従って書き込んでいくと感想文の構成ができるというものだ。

     いきなり原稿用紙に向かうのでなく、このように段階を踏んで考えを整理していけば、書きやすいだろうし、発想も広がるだろう。

     「国語表現」の授業について生徒たちは、「今までの国語の授業とは違う」「みんなと協力し合ってパソコンでスライドを作って発表するとか、力になっていると思う」「勉強というより、楽しむという方向に広がっている」「論文の書き方を教わって推敲(すいこう)して書きました。『型』が分かった上で書いているので内容が充実してきたと思う」などの感想を話していた。今までの国語のイメージを破る新鮮さを感じているようだ。

    本の街にある学校にふさわしく

     中学1年生では分割授業でなく、クラス全員で「手紙作文コンクール」のはがき作文部門への応募作品を作っていた。

     どの学年、どのクラスでも耳にしたのは、「行き当たりばったりで書くのでなく、準備して書くことが必要。それで仕上がりも違う」という趣旨の指導だ。手順を知ることで、書くことを苦手に感じていた生徒は自信を持てるだろうし、好きで得意な生徒は力を伸ばしていける。

     1年生の授業の最後に先生が「私たちの学校がある神田神保町は本の街で、本屋さんも古本屋さんもたくさんあります。紙の本の文化を知ってほしいと思っています」と話し、学校から神田神保町への徒歩ルートが描かれたプリントを配布した。

     配布が済むとすぐに「本屋に行く際は生徒手帳の連絡欄に記し、担任の先生に許可をもらうように」と注意があった。規律を大切にする一方で、「言葉に関心を持って、本という文化に触れてほしい」という生徒への願いを感じた。

    (文:水崎真智子 写真:中学受験サポート)

     共立女子中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年10月04日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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