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    高大接続で校外アクティブラーニング活動…多摩大目黒

     多摩大学目黒中学高等学校(東京都目黒区)は、昨年から「校外アクティブラーニング活動」に取り組んでいる。特に、実学教育を重視する多摩大学と連携した社会的活動を通し、生徒たちは主体性や協働性などを身に付けてきた。その取り組みは、2020年度の大学入試改革で求められる新しい学力を養成することにもつながるという。新教育研究部高大接続担当の越前泰子教諭にこの1年間の手応えを聞いた。

    キーワードは「主体性・多様性・協働性」

     2020年度の大学入試改革では、「学力の3要素」が問われると言われる。同校の「校外アクティブラーニング活動」は、その中でも「主体性・多様性・協働性」の要素にウエートを置いた取り組みと言えそうだ。

    • 新教育研究部高大接続担当の越前泰子教諭
      新教育研究部高大接続担当の越前泰子教諭

    ――昨年度、校外アクティブラーニング活動を導入した理由を聞かせてください。

     科学技術の進化、グローバル化という時代の流れに伴って、中学生、高校生に求められる力も変わってきています。基礎的な学力だけではなく、いろいろな人と協力し、さまざまな変化に対応できる力も求められています。

     そこで、昨年から、中3、高1、高2の生徒を対象に、「主体性・多様性・協働性」という三つのキーワードに基づく新しいタイプの課外活動を始めました。この活動では、実際に自分たちの足で現地に赴き、話を聞くなど、「本物の体験」を通して、キーワードに示される三つの力を伸ばしていきます。

     昨年スタートした「起業体験プロジェクト」「アジアダイナミズム研修」「いちょう団地プロジェクト」「目黒イベントプロジェクト」の四つの活動に加え、今年は「プログラミング体験」「きく、はなす、かんがえるワークショップ」の二つの活動も始まりました。

     世の中の変化に伴って、2020年にはセンター試験が廃止され、新たな大学入試制度が導入されます。その入試制度では、テストによる学力評価だけでなく、論述する力や、高校時代での活動も重視されるようになります。この課外活動で経験をして学んだことが、新しい入試の場面でも生かしていけると考えています。

    ――多摩大学のゼミと提携している活動がありますね。

     今やアクティブラーニング活動を取り入れる学校は数多くあります。本校が他校と差別化できるのは、系列校である多摩大学と提携しているところです。多摩大学は、世界に羽ばたくビジネスマンを輩出するような実学教育に重きを置いている大学です。大学を卒業したら即社会人として活躍できる、即戦力になる人材教育をしています。

     ゼミも、実際に社会人がやっているのと同じことを学ぶインターシップ的なゼミばかりです。その中から、中高生でも活動できるものに参加させていただいています。

    多摩大のゼミと連携し、東北復興を考える

    ――経営情報学部の村山貞幸教授のゼミが作った「日本大好きプロジェクト」もその一つですね。

    • 被災した東北の復興を願い、生徒が自ら漉いた和紙をかぶせたキャンドル
      被災した東北の復興を願い、生徒が自ら漉いた和紙をかぶせたキャンドル

     「日本大好きプロジェクト」は、日本の伝統文化をキーワードとして、和紙()きや(あい)()めなど、日本が伝統的に引き継いできた文化の実践を通じて、地域の復興を目指しています。勉強っぽくないからか、最も人気があります。

     7月6~7日の夜には、「増上寺七夕まつり和紙キャンドルナイト」と称して、東京都港区の増上寺境内に、自分たちの手で漉いた和紙をかぶせた何千ものキャンドルを境内に並べて点灯しました。天の川に見立てたキャンドルの光は、七夕のイベントとして来場者を魅了しました。このイベントは、2011年3月11日に起きた東日本大震災に見舞われた東北の復興を願う活動でもあります。この和紙を制作するために、生徒たちは多摩大学の学生とともに、毎週のように和紙を漉きました。

     東北の復興を願うキャンドルナイトの企画はもう一つありました。3月11日に、東京都港区六本木の東京ミッドタウンで行われた「和紙キャンドルガーデン-TOHOKU2018-」です。キャンドルを覆う和紙一枚一枚に、東日本大震災で被害を受けた方々からのメッセージが書かれています。このメッセージを書いてもらうために、生徒たちは村山ゼミの大学生と一緒に夏休みに東北を訪れました。実際に足を運び、震災の爪痕がまだ残っている厳しい現状を目の当たりにし、被災された方と実際に言葉を交わすことで、生徒たちは多くのことを感じ、考えさせられたようです。

     震災が起きた7年前、今の高2の生徒はまだ10歳です。ニュースでは見聞きしていたのですが、実際に、東北でどのようなことが起きているのか、あまり分かっていませんでした。しかし、宮城県の塩釜市や多賀城市に赴いて話を聞き、「今、私たちは頑張ってやっています」「どうかこのような大きな被害をもたらした震災を忘れないでください」「温かい支援をありがとうございます」といったメッセージを書いてもらう中で、「自分たちも何か復興にお手伝いできることがあるのではないか」という気持ちが強くなったようです。「自分たちの力で復興の手伝いをしてみたい」と口にするようになりました。

    ――昨年1年間取り組んでみて、生徒たちの成長の手応えはどうですか。

     正直言いますと、昨年は始まったばかりで、何がどのようになるか手探りの状態でした。ですが、それぞれの活動を通じて、生徒たちはいろんな面で成長しているのを、私たち教員も実感しています。

     「日本大好きプロジェクト」に参加した生徒たちは、その活動に参加するだけでなく、独自の活動を始めています。それが今年活動している「目黒イベントプロジェクト」です。昨年参加した高1の生徒のうち10人が高2になって再び参加して、リーダー的な立場で活動しています。本校のある目黒区の区役所や商店街の方々と一緒にイベントを企画・運営をしています。具体的には、伝統文化の和紙や藍染めを使ったブースを作ってイベントを盛り上げたり、商店街の「洗足プリンセスフェスタ」では、仮装をしてスタンプラリーを盛り上げ、来場した子供たちを喜ばせたりしました。ただイベントを開催して楽しむだけではなく、イベント後には反省点や改善点をまとめ、次回の活動につなげていくということも自主的にできているので、活動にも深みが出てきました。

    • 多国籍の人たちが共生している「いちょう団地」での現地視察
      多国籍の人たちが共生している「いちょう団地」での現地視察

     また、多国籍の人たちが共生している神奈川県の「いちょう団地」での多文化共生に向けた活動をする「いちょう団地プロジェクト」で、日本語教室や団地のイベントの手伝いもしています。参加した生徒は「たくさんの人とコミュニケーションを取ることができ、率先して行動できるようになった」と話しています。

     大学の先生方も、本校の高校生たちが頑張っているのを見て、「やる気があるのならばいくらでも協力してやっていきたい」と言ってくださっています。


    アクティブラーニング発表祭でさらなる成長

    ――大学生に交じってゼミの活動に参加するのは貴重な経験ですね。

     このアクティブラーニング活動は、ただ参加するだけではありません。事前学習を行い、実際の活動を生徒自身がどのように受け止めたか、それをどのように今後生かしていくかを発表する場も設けられています。それが多摩大学で毎年12月に開かれるアクティブラーニング発表祭です。

     「祭」という名前がついていますが、内容は各ゼミの大学生がゼミ活動の研究成果を発表するものです。その研究発表の場に本校の生徒たちも参加し、自分たちの活動報告をプレゼンテーションします。保護者や、一緒に活動してくれた大学生だけでなく、教授などの大学関係者、さらには他大学の教授も聞いています。

    • 6月に行われた「済州平和フォーラム」の研修
      6月に行われた「済州平和フォーラム」の研修

     昨年は、中3の生徒で高校生に交じってただ一人、韓国の済州島で開催される「済州平和フォーラム」に参加した子がいました。この生徒は、済州島で現地の大学生と交流した経験から、青少年同士の交流が深まれば深まるほど平和になると感じたことを、アクティブラーニング発表祭で発表していました。その場で、「あなたの将来の展望はなんですか」と質問され、「もっと人の役に立てるような仕事を、グローバルな視野でできる仕事をしてみたい」と立派に言えるようになっていましたし、今年高校に進んでからも、学級委員をするなどこれまでと違って、何事にも積極的に取り組んでいます。

     「本物の体験」は生徒を大きく成長させます。学校の外に出て、さまざまな背景を持つ方や年代の方と触れ合う中で、多くの刺激を得て生徒が成長する場面をたくさん見ることができました。今は中学3年生から高校2年生までの700人中、参加者は48人に過ぎませんが、もっと多くの生徒が参加できるように、いずれは全員が参加できるような環境が整備できたらいいと考えています。

     (文・写真:鶴見知也 一部写真提供:多摩大学目黒中学校・高等学校)

     多摩大学目黒中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年11月14日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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