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    タブレット駆使、生徒の創造性を刺激…桜丘

    • iPad導入による成果を語る品田副校長
      iPad導入による成果を語る品田副校長

     桜丘中学・高等学校(東京都北区)では、教員と生徒にタブレット端末iPadを配布しICT(情報通信技術)教育に力を入れている。その活用例を紹介するICTオープンスクールがこのほど開催された。

    タブレット導入の狙い

     2013年に教員、2014年には生徒にiPadを導入した同校。教員や生徒はどのようにタブレット端末を使っているのか、その活用例を見ようと7月17日のICTオープンスクールには他校の教員や教育関係者そして保護者、200人以上が集まった。最初に行われた全体説明では、同校のICT教育を先導している品田健副校長がiPad導入の狙いを語った。

    • 当日は大勢の教員や教育関係者が集まった
      当日は大勢の教員や教育関係者が集まった

     「タブレット端末を導入しようという学校は増えていますが、他が使っているからうちも入れてみようという姿勢では、せっかくのツールが無用の長物になりかねません。偏差値を上げる、授業の効率化を目指すなど、目的は学校によって様々でしょうが、とにかく明確なビジョンを持つことが重要です。本校では校訓でもある創造性の育成のためのツールとして導入しました」

     創造性を刺激する。そのビジョンのために、あえて使い方を指定せず、教員と生徒に一任しているという。様々なことに使える自由度の高いツールを渡し、どう使うかを創意工夫することで考える力を養うというわけだ。教員や生徒が考え出した活用法は模擬授業や生徒発表という形で紹介された。

    各教員が考案した活用法

    • 物理波動を、動画を使って説明する大石教諭
      物理波動を、動画を使って説明する大石教諭
    • ロイロノート・スクールを活用して行われる英語授業
      ロイロノート・スクールを活用して行われる英語授業
    • 家庭科の時間ではiPadを使ってランチの献立を立てた
      家庭科の時間ではiPadを使ってランチの献立を立てた

     タブレットを使った授業で生徒から好評なのが動画を使った授業。理科の大石光太郎教諭は、様々な物理現象を視覚的に理解できるようタブレットと連動した電子黒板で動画を見せている。

     「例えば、振動が伝わっていく現象である物理波動を説明するときには、ふたつの波がぶつかったときの動画を見せます。これまでは口頭や教科書の図で説明するしかありませんでしたが、まさに百聞は一見にしかずで、実際に波が広がっていく様子を見せてから授業を進めると、驚くほど生徒の理解が深まるんです」

     他にも生徒から好評を博しているのが、ロイロノート・スクールという授業支援アプリを使った英語の授業。このアプリ、生徒がiPadに書き込んだ解答を電子黒板に映し出すというもの。生徒全員の解答も映し出せるため解答の共有もできる。

     「誰が解けていないかというチェックが簡単になったのもそうですが、何より、全員の解答を紹介してあげられるようになったことが大きな変化です。例えば、問題が出されて答えが分かったとしても恥ずかしくて手を挙げられないという生徒もいますよね。そうした子たちの答えを拾ってあげられるようになったことで生徒のモチベーションが上がりました」(品田副校長)

     確かに生徒たちはクイズをやっているかのように楽しみながら解答している。生徒が積極的に授業に参加することで実現している双方向授業は、文部科学省が推し進めているアクティブラーニングに他ならない。タブレットの導入は、声高に叫ばれている能動的学習にも一役買っているというわけだ。

    生徒の創造性を伸ばすために

     授業以外にもタブレットが使われている例のひとつが、ホームルーム活動。高校1年の担任、椿祐一教諭はその活用例をこう話す。

     「私は、学校は楽しい場所でなければならないと考えています。そのために連絡事項やスケジュール、写真などを共有できるCYBER CAMPUSというシステムを活用しています。入学式や体育祭、クラスで開いた誕生日会などの写真を共有することでクラスの一体感を高め、生徒のより良いスクールライフに役立てています」

    • オープンスクールの参加者に対してiPadの活用法を紹介する新聞部の生徒
      オープンスクールの参加者に対してiPadの活用法を紹介する新聞部の生徒
    • 桜丘中学・高等学校の校舎
      桜丘中学・高等学校の校舎

     部活動でもタブレットは活躍する。

     「バトン部には40人の部員がいますが、練習場はトラック1周分しかないうえに他の部活と分けあって練習をしているので、全員で合わせられる時間が限られているんです。そこでiPadでコーチの踊りを録画し、それを共有し各自自主練習することで、集まった時にはすぐに全体で合わせられるようにしています。こうした工夫をすることで練習環境が整っていないにもかかわらず、全国大会に出場できました」

     また、少林寺拳法部では自分の形を撮影し客観的に見なおすことで、気づきにくい指先や足先にも注意が向くといい、吹奏楽部では録音し自分の音を聴き返しているという。多くの部活動でタブレットを活用している中でも、とりわけタブレット導入を喜んでいるのが新聞部だ。

     「これまで私たちの活動に光が当たるのは、校内の掲示板のみで、それさえも足を止めて読む人はあまりいませんでした。それがCYBER CAMPUSでみんなと共有できるようになったことで活動を知ってもらえる機会が増え、活動のやりがいにもなっています」

     タブレットで新聞を配信したいと申し出たのは、新聞部の生徒だ。申し出を受けた品田副校長は快諾した。

     「往々にして学校は旧時代的で、変化を嫌う風潮があります。しかし、その体制では創造性の向上は望めません。ですから、生徒がこうしたいと言ってきたことを頭ごなしに否定するのではなく、変化を認める姿勢も大事だと教員には説いています。生徒の創造性を伸ばすための教員の心構えを徹底することもこれからの課題です」

     学校が変化を恐れれば、生徒の学びの機会を奪うことにもなりかねないと品田副校長は念を押す。生徒のためには変化もいとわない姿勢は、まさに生徒第一主義の教育といえよう。

     (文と写真 葛西由恵)

     桜丘中学・高等学校のホームページはこちら

    2015年08月14日 05時40分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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