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    「他者との関わりの中で自分を磨こう」…桜丘

     桜丘中学・高等学校(東京都北区)は今年4月、副校長だった高橋知仁先生を新校長に迎えた。同校は、いち早くICT(情報通信技術)の導入に乗り出し、2014年にはタブレットの導入を始めるなど、先進的な教育環境作りに取り組んできた。昨年度まで副校長として取り組んできた教育改革や、新しい時代への対応を高橋校長に聞いた。

    異なる人間と ( つな ) がり合うことの重要性

    • 今年4月に校長に就任した高橋知仁校長
      今年4月に校長に就任した高橋知仁校長

     「今の時代は、インターネットの発達で誰でも簡単に知識が手に入るようになりました。ですから、知識そのものより、それを応用して課題を解決できる能力が求められています。そして課題解決のためには、多様な能力を持った人間が集まり、互いの長所を生かし、短所を補い合いながら協働していく必要があります」。時代に求められている能力を高橋校長はこう分析する。

     「互いの多様性を認め、自分とは異なる人間とも繋がり合えることが重要になってきます。その考え方に基づいて、当校は『やり抜く力』『目標への情熱』『社交性』『協調性』などのキーワードを掲げ、主体性や多様性、協働性といった資質を育む教育を行ってきました。これらは教科書を読んだり、一人で何かをやったりして身に付くものではありません。他者との関わりの中でしか身に付かないことばかりです」

    「ハウス制」「MC制」で多様な役割を経験

    • 縦割りのグループ「ハウス」での体験学習
      縦割りのグループ「ハウス」での体験学習

     「ネットのコミュニケーションは、同じ価値観を持った人とすぐに繋がれるので、同質性が高まり、異質な人と関わる機会は減っていくのではないかと思っています。しかし、これからは異質な人とも繋がっていられることがとても強い力になります。本校では多様な体験をする中で多くの人と関わり、グループの中での役割も一通り経験できるような取り組みを行っています」

     そうした取り組みとして生まれたのが「ハウス制」と「MC(司会者)制」だ。「ハウス制」は中学の各学年から少人数の縦割りグループを作り、年間を通じて給食を一緒に食べたり、オリエンテーリングやバーベキュー、職業体験を共にしたりする仕組み。

     「クラスや部活動とは違い、役割が流動的な関係の中で生徒は違った側面を見せます。クラスでは受動的な生徒が、ハウスの中では上級生としてリーダーシップを発揮する場面も珍しくありません」

    • MCによる「ミニプレゼン」
      MCによる「ミニプレゼン」

     「MC制」は、日直に似た役割だが、クラスの担任から朝礼の仕切りを全面的に任される点で大きく異なる。学級委員などに任せると、クラスの中でリーダーとフォロワーの役割が固定されてしまうため、あえて日替わりの制度にしているという。「MC制」にすることで、全生徒が双方の役割を経験できる。朝礼の最後にはクラスの生徒から仕切りについての感想をフィードバックする。

     「クラスによってはMCの生徒は朝礼の後に自由なテーマで『ミニプレゼン』を行います。『ガリガリ君の歴史』など身近なテーマが多く、クラスメートが興味深く反応するため発表意欲をかき立てられるようです。大半の生徒は人前で話すことに抵抗がありますから、なるべくハードルを下げて経験値を積めるようにしています」

    • タブレットを駆使したICT教育を実施
      タブレットを駆使したICT教育を実施

     1年のときからタブレットを使いこなしているため、簡単なプレゼン資料の作成ならどの生徒も難なくできる。発表を見る側も勉強になるため、毎朝、ミニプレゼンを行う効果は大きいそうだ。

    学習意欲を高めるためアナログな手法も

     同校は早くからICTを導入し、生徒一人一人の進度に合わせて学習をフォローできる体制を作ってきた。教室での通常の講義では生徒の学習進度に差が出がちだが、ICTを活用すれば個々の生徒について学習の抜けや漏れを把握し、対応することが容易になる。学校内外での活動や学習歴の記録も行っており、大学入試改革後の入学選抜基準に使われる「e-Portfolio」への対応もできている。

     「ICTの導入を進めても、生徒一人一人に目を配り、学習意欲を高めるのは人間にしかできないことです。そういう部分に関してはアナログな手法にこだわっています。教員は、『SS(Self Study)ノート』と『家庭学習帳』という二つのノートで生徒の学習状況を把握し、コミュニケーションを取ります。また、卒業生にチューターとして来てもらい、教員よりも近い距離感で勉強面、精神面のフォローをしてもらっています」

     「SSノート」には、生徒が自分で立てた1週間の学習計画と、実際に家庭でどれくらい勉強したかが記録されている。1週間分を書き入れたら振り返りを行い、担任からアドバイスを返してもらう。「家庭学習帳」は普通の大学ノートだが、通常の宿題以外に2ページ以上を生徒が自主的な家庭学習で埋めてくる取り組みだ。勉強する内容も、克服したい苦手分野や伸ばしたい得意分野など生徒が自分で考える。担任は朝提出されたノートを夕方までにチェックし、コメントを入れて生徒に戻す。

     「毎日全員分ですから、担任にとってもハードです。しかし、見られていることが生徒のモチベーションになりますし、自分で課題を考えることが習慣になり、能動的に勉強する癖が付きます。今年の1年生は2クラスでも収容できる人数だったのですが、SSノートと家庭学習帳の質を落としたくないので、3クラスに分けて指導しているほど力をいれている取り組みです」

     こうした生徒一人一人へのきめ細かな学習指導を通して目指す教育について、高橋校長はこう語る。「校長就任後の第1回の職員会議で、生徒を絶対評価で見てほしいと教員にお願いをしました。人にはさまざまな得意、不得意があります。順位や偏差値といった相対評価では振るわなかったとしても、苦手だったことが少しでもできるようになったら、それは大きな成長です。そこを見逃さず、評価してあげられる体制を目指しています」

     「2020年の大学入試改革で重視される思考力や文章力を測定し、伸ばす取り組みなど、これからも新しいツールも積極的に導入し、時代の変化に適応できるようにしていきます」

     インタビューの最後に高橋校長が語った受験生へのメッセージがある。「被災地研修やフィリピン・セブ島の語学研修といった体験系のカリキュラムが多く、チャンスの多い学校だと思います。まだ気付けていない才能を、変わっていく社会の中でどう生かしていけるのか、一緒に考えていきましょう」

    (文・写真:深澤恭兵 一部写真:桜丘中学高等学校提供)

     桜丘中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年07月17日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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