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    探究型学習と英語を軸とする2コース新設…聖徳大女子

     聖徳大学附属女子中学校・高等学校(千葉県松戸市)は、2019年度から「S(Superior・スーペリアル)探究コース」「LA(Language Arts・ランゲージアーツ)コース」の二つの新たなコースを設ける。大学入試改革を見据え、それぞれ「考える力」と英会話力に焦点を合わせたカリキュラムを導入する。開校以来、重視してきた「礼法」や、ICT(情報通信技術)の積極活用と合わせて、同校の教育の原動力となりそうだ。オープンスクールを見学し、今後目指す教育について大野正文副校長に話を聞いた。

    ICT活用で質を高める「探究授業」

    • 今後目指す教育や取り組みについて語る大野正文副校長
      今後目指す教育や取り組みについて語る大野正文副校長

     聖徳大学附属女子中学校・高等学校のオープンスクールは7月16日、開催され、中学受験を考えている小学生の親子ら約250人が集まった。プログラムのメインは、在校生たちと一緒に授業や部活に参加できる体験プログラムだ。多彩なメニューの中から1コマ45分間の体験を二つ選べる。英語・国語・数学などの「探究授業」や、小笠原流礼法の授業が多くの人を集めていた。

     中学生の「探究授業」を見学した。国語の探究授業では、「枕草子」の「木の花は」の段を取り上げていた。生徒たちはグループに分かれ、さまざまな花の魅力をつづった文を読み、それぞれが何の花を指しているかを考え合った。

    • iPadを活用した国語「探究授業」体験
      iPadを活用した国語「探究授業」体験

     解答はiPad上で入力して送信し、受信した教員はすぐに答え合わせの作業に入る。用紙の配布・回収に手間と時間が省けるので、生徒たちが考えに費やせる時間はより長くなり、教員もより丁寧な解説ができる。生徒が正解となる花を知らなかったとしても、すぐに画面上のカラー画像で確認して文章への理解を深めることができる。ICTの活用により、効率的で質の高い授業が可能になっているのだ。

     社会の探究授業では、「織田信長が鉄砲をたくさん使えたのはなぜか」がテーマだった。教員が「高価な鉄砲をどうやって集めたのか」「鉄砲を撃つ人をどうやって集めたのか」などの疑問を投げかけ、テーマを深めていく。信長の人物像についても、敵対する戦国大名や寺社勢力を厳しく弾圧するなど「残酷」という印象を持つ生徒たちに、家臣の命を大切にする一面があったというエピソードを紹介し、歴史の事実はさまざまな見方ができることを示した。

     探究授業のテーマは、この日のオープンスクールに参加した小学生でも分かるように易しいものを選んだが、どの授業にも「なぜ」「どうやって」といった好奇心を刺激する問いかけが、ふんだんに盛り込まれていた。

     小笠原流礼法の授業では、両膝をついて靴をそろえてから家に上がる際の作法を指導していた。「靴をそろえていない方の手は、(背中越しの)相手には見えない。でも、見えていない方の手もきちんと膝に置くことで、全体の所作が美しく見える」。こうした解説に、大人たちも感心していた。

    大学入試改革をにらんだ二つの新コース

    • オープンスクールには、小学生の親子ら約250人が集まった
      オープンスクールには、小学生の親子ら約250人が集まった

     同校は2019年4月から二つの新たなコースを設ける。一つは、課題の発見と解決を繰り返すことで能動的に探究する力を育む「S(Superior)探究コース」。これまで探究授業で実践してきた「探究型学習」を発展・拡充し、能動的に学ぶ力を身に付けるだけでなく、学力向上に結び付けることを目指す。

     これまで探究授業を受けてきた高校3年生は、入学時に比べて成績が向上するなどの成果が挙がっている。大野副校長は「帰国子女ではないのに、英語を話せるようになった生徒がいます。そうした成長は、本人が進んで勉強していなければありえません。新コースで時間をかければ、もっと力を伸ばせるでしょう」と、新たな取り組みに自信を見せた。

     もう一つの新コースは、英会話の能力を高めることに重点を置いた「LA(Language Arts)コース」だ。従来の英語の探究授業をさらに発展させたもので、英語で話す能力をコミュニケーション力とプレゼンテーション力に分けて徹底的に磨き上げる。

    論文作成を新たに正式カリキュラムに

     二つの新しいコースを設ける背景には、2020年度に迫った大学入試改革がある。いっそう重視される思考力や表現力を養い、自らの意思で勉強に取り組む力を大学受験前に付けるため、カリキュラムについても大きく見直すことにした。

     新カリキュラムの一つの特長は、中学・高校でそれぞれ2~3年かけて本格的な論文を作成することだ。「S探究コース」は幅広い分野からテーマを探し、「LAコース」の生徒は英語文化に関する内容をテーマとする。

     大学のAO入試や推薦入試に向けた小論文対策は、高3から始める学校が多い。しかし、数か月で小論文を書き上げる力を身に付けるのは至難の業だ。同校では、中学1年生から話し合いや発表の機会を多く与えることで生徒の語彙(ごい)を少しずつ増やしながら、論理的な文章を構成する「書く力」をじっくりと育むという。

    • 小笠原流礼法の授業では、家に上がる際の作法を指導した
      小笠原流礼法の授業では、家に上がる際の作法を指導した

     これまでも中学3年次に卒業論文を書いてきたが、課外活動と位置づけていたため教員・生徒ともに大きな負担となっていた。そこで19年度からは正式なカリキュラムとし、質的な向上を図る。中学は「総合的な学習の時間」を活用し、高校は10人弱のグループで行う「探究ゼミ」を新設し、論文の作成に取り組む。

     論文の作成は、小論文対策と同時に面接対策にもなるという。「書く力」を付けるには、物事を多角的に分析し、問題点を抽出して回答を導き出すなどの「考える力」を付けることが欠かせないためだ。「考える力」が乏しければ、志望動機を問うような質問にも適切に答えられない。

     「子供たちはメッセージアプリなどの影響で、略語や仲間同士でしか通じない言い回しに慣れてしまっている」と、大野副校長は、生徒たちの語彙の乏しさを指摘する。「論文作成を通して語彙と考える力を養い、書く力を身に付けてもらいたい」と話す。

     礼法で学ぶ美しい立ち居振る舞いに加え、語彙や言葉遣いが身に付けば、生徒たちの輝きはいっそう増すに違いない。

    (文・写真:佐々木志野 一部写真:聖徳大学附属女子中学校・高等学校提供)

     聖徳大学附属女子中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年11月22日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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