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    まちの魅力発信へ新しいメディアづくり…西武文理

     西武学園文理中学・高等学校(埼玉県狭山市)は、中学生が地元・狭山のまちおこしの企画を考え、実現を図る総合学習を行っている。「中学生発! さやま未来構想」というプロジェクトだ。2回目となる今年度は中学3年の生徒たちが、狭山の魅力を発信する新しいメディアづくりに挑んだ。まとめとして「最終プレゼン大会」が開かれた様子や生徒の成長ぶりを取材した。

    ホームページや動画、広報誌でアイデア競う

    • プロジェクトの集大成「最終プレゼン大会」の様子
      プロジェクトの集大成「最終プレゼン大会」の様子

     「さやま未来構想」プロジェクトが、初めて授業に組み込まれたのは2016年度。狭山市役所やコミュニティカレッジ「さやま市民大学」の協力を得て、当時中学2年だった生徒たちが、地元の特産品や自然、歴史などのレクチャーを受け、狭山を盛り上げるイベント、もの作りなどの企画に取り組んだ。

     2年ぶりとなった今回は、中学3年の生徒全員が参加した。4月の終わりから週1回ほどのペースで、1学期の約2か月間、特別授業が行われた。

     今回のテーマは、狭山市の魅力を発信する新しいメディアの企画。生徒104人が5、6人ずつ計18チームに分かれ、「広報誌」「ホームページ」「PR動画」のうち一つを選び、内容やデザインのアイデアを練って試作に挑んだ。

    • プロジェクトを担当する東川正憲教諭(右)と学年主任の佐藤亮彦教諭
      プロジェクトを担当する東川正憲教諭(右)と学年主任の佐藤亮彦教諭

     チームのメンバーは他の多くの行事などと同様、クラスの枠を超えて分けられた。「本校は通学エリアが広く、入学前からの知り合いはほとんどいません。ですから、生徒たちが授業などをきっかけにコミュニケーションをとり、仲間になれるように留意しています」と、指導する東川正憲教諭は話す。

     生徒たちはチームごとに、狭山についての調べ学習を手始めに、「さやま市民大学」講師へのインタビュー、地元商店の訪問取材などを行いながら、テーマを絞り、作業を進めた。その集大成として、審査を通過した9チームによる「最終プレゼン大会」が7月18日に行われた。

     会場の同校ホールには、中学3年の保護者のほか、狭山市関係者や「さやま市民大学」講師らも招かれ、開会式では、小谷野剛市長が「皆さんのチャレンジに敬意を表します。若い視点で狭山市の魅力を教えてほしい」とあいさつ。その後、生徒による司会進行で、各チームが持ち時間6~7分ほどで発表を行った。

    「プレゼン大会」は特産品、スポット、地元キャラも登場

    • 狭山茶スイーツの案内や狭山市内を紹介する企画をテーマにした「広報誌」
      狭山茶スイーツの案内や狭山市内を紹介する企画をテーマにした「広報誌」

     三つのメディアのうち、「広報誌」を選んだ2チームが最初に発表した。狭山茶スイーツの案内パンフレットを作ったチームは、地元商店への取材の様子を寸劇風に再現し、「店の努力が分かりました」と感想を話した。もう一つのチームは狭山市内を紹介するイラストマップを試作し、そこにスタンプラリーやフォトコンテストなど市民らが参加できる企画も盛り込んだ。

     続いて「ホームページ」によるPRに取り組んだ4チームが登場。「狭山を食べる」と題したチームは、狭山茶や里芋を取り上げたほか、イチゴやシイタケ狩りなどの特産品スポットも紹介。別のチームは「特産品」「イベント」などの選択肢をたどると、知りたい情報にたどり着けるチャートを取り入れた。

     このほか、狭山茶をイメージしたキャラクターをホームページに登場させたチーム、グリーンを基調としたデザインで情報を分かりやすく見せたチームなど、それぞれアイデアが満載の作品が発表された。

     最後に「PR動画」の3チームが発表した。中学生の視点で楽しいスポットを紹介した作品は、制作時の生徒たちの盛り上がりが感じられる元気あふれるものに。また、友だち同士の「狭山一日旅行」になぞらえた作品は、早回しなどの撮影技法をテンポよく取り入れ、飽きさせないストーリーだった。このほか「狭山茶プリン」「里芋クッキー」の作り方を取り上げた作品では、人気のレシピ動画などを研究して制作した様子がうかがえた。

     駆け足で各チームの発表が終わった後、「さやま市民大学」の小山周三学長が入賞作品を発表し、「自分が知りたいことをベースに作った点が素晴らしく、伝え方もうまかった」と講評を述べた。

     「最終プレゼン大会」の終了後、チーム代表の生徒らに話を聞いた。ホームページを試作して最優秀賞に輝いたチームの水本有莉亜さんは、「情報のレイアウトが難しくて、ミリ単位で位置を考えるのが大変でした」と、初体験の作業での苦心を明かした。

     PR動画作りにチャレンジし、審査員賞に選ばれたチームの長澤茉央さんは「撮影が定期試験直前になり、時間のない中でアイデアを出し合いました」と振り返った。また、別々のクラスの生徒が交じり合うチーム編成について、同じチームの渥美翔君は「先生に決められたメンバーでしたが、互いの長所が発見できて楽しかった」とニッコリ。

     一方、広報誌を試作したチームの伊藤翠さんは、「お店の取材では事前に質問を考えておらず、迷惑をかけてしまいました。でも、店長さんが優しくアドバイスしてくれて感動しました。その後の取材に、そのアドバイスを生かしました」と、プロジェクト学習を通した成長をうかがわせた。

    キャリア教育の一環 地域への愛着心育てる

     今回の「さやま未来構想」プロジェクトは、同校のキャリア教育の一環に位置付けられている。

     今回プロジェクト学習に取り組んだ中学3年は、これまで中1のときはさまざまな職業の人に話を聞き、中2では市内外の企業や店で職場体験を行い、仕事の現場を垣間見た。そして今回、地域の取材などを通し、実社会との結びつきを体験した。来年の高校1年のキャリア教育の授業では、地元企業の協力のもと、商品の企画・開発のシミュレーションに取り組む予定だという。

     東川教諭は「中学1、2年の時も外部の人とのやりとりはありましたが、今回は取材のアポも自分でどんどん取って出かけて行くなど、生徒の社会性が育っている様子がはっきり見てとれました」と目を細める。

    • 「狭山市入間川七夕まつり」での清掃ボランティア活動
      「狭山市入間川七夕まつり」での清掃ボランティア活動

     今後の「さやま未来構想」プロジェクトについては、「狭山の魅力発信」という基本的テーマは大切にしながらも、「アプローチはいろいろ考えられます。『将来の魅力づくり』という方向もあるでしょう」とテーマの広がりも構想しているようだ。

     夏休み中の8月に開かれた「狭山市入間川七夕まつり」では、清掃ボランティアやイベントのサポートに参加した生徒もいたという。地元の人たちと触れ合い、まちおこしに参加していく。その学び体験は、自分たちが暮らす地域への愛着心を育て、生徒たちの視野を広げていくに違いない。

     (文・写真:上田大朗 一部写真提供:西武学園文理中学・高等学校)

     西武学園文理中学・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年11月09日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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