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    文化祭ポスター、企画競争で育む“女子美力”

    • キャリア教育について語る小川正明校長
      キャリア教育について語る小川正明校長

     2015年に創立100周年を迎える女子美術大学付属高等学校・中学校(東京都杉並区)。国内唯一の美大付属の中高一貫校として、ユニークな卒業生を輩出してきた。さまざまな業界で活躍する女性を育てる、女子美のキャリア教育について小川正明校長に話を聞いた。

    クラスで話し合い、プレゼン…強さや頑張りが身につく

     取材に訪れたのは9月中旬。校舎のエントランスギャラリーには、女子美祭のポスターがずらりと並ぶ。毎年、高校2年生全員がポスター案を描き、その中から1作品が選ばれて晴れて本番用ポスターとなる。

     「最近の教育は、子どもたちに競争をさせない傾向が強いですが、本校ではあえて競わせるということを意識していますね」と小川校長。

     ポスターだけではない。半年前から中・高6学年の全クラスが「クラスによる教室展示」への準備を始め、さまざまな形で日ごろの成果を発表する企画を立てる。すべてのクラスが展示できるのではなく、企画を練り、プレゼンテーションを行い、勝ち残ったクラスだけが文化祭での発表を実現できる。つまり、中1生が初めてのチャレンジで選ばれる可能性もあるというわけだ。なぜ、こうした競争をあえて生徒たちに経験させるのか。

     「社会に出れば、当然競争がある。その中で生き残っていくためには、感性だけでなく強さや頑張りがなくてはなりません。文化祭のポスターや企画で競わせるのもそのため。クラスで話し合い、役割を分担し、摩擦を乗り越え、自分たちのアイデアをプレゼンする。選ばれないクラスもありますが、その過程で身についた力は競争に負けない力に結びつくと考えています」

    女性起業家を輩出…個性と創造力伸ばした女子美OGたち

    • 特別授業「ようこそ先輩」の様子
      特別授業「ようこそ先輩」の様子
    • 「ようこそ先輩」では具体的な仕事を間近で感じられる
      「ようこそ先輩」では具体的な仕事を間近で感じられる

     美術で将来生活していけるのか。そんな保護者の声も聞こえてきそうだが、アートを学んだ先輩たちが選択した道は実にさまざまだ。

     「1学期に2回、OGを招いて『ようこそ先輩』という特別授業を行っています。具体的に先輩の仕事を間近で感じられ、生徒たちにとって、とてもいい刺激になっているようです」

     女性起業家の出身校ランキングに女子美が常に入っていることをご存じだろうか? ここで個性と創造力を伸ばした生徒の中には、自分のアイデアで新しい業態を開拓する人も少なくない。例えば、初めて親となる夫婦の心のケアを行う「バースコーディネーター」という仕事を創りだした先輩。アートをもっと日常的に楽しんでもらうことを目的とした「刺繍(ししゅう)カフェ」を主宰する先輩。

     他にも、日常生活の場をより豊かに演出する空間デザイナー。子どもの目線にたったやさしい感性でさまざまな商品を生み出す工業デザイナー。グラフィックデザイナーや小学校の教員、映画美術監督、女優……アート的な感性を生かした仕事には、実は女性に向いているものがとても多いのだ。

     こうした先輩の土台となっているのは、同校で養われた“女子美力”だと小川校長は話す。

     「人と競うことで、決断力を身につける。自分の特長を知ることで、独自性や独立心を身につける。それが“女子美力”だと思っています。そのためか、当校の卒業生は思いきりがよく、大胆さ、ユニークさを持つ人が多いですね」

    女子美大教授から直接指導…「本物」の芸術に触れる連携教育

    • 大学の研究室を訪ねる「アトリエ訪問」の様子
      大学の研究室を訪ねる「アトリエ訪問」の様子
    • 夏休みには大学の各学科による「特別プログラム」を高3生対象に実施
      夏休みには大学の各学科による「特別プログラム」を高3生対象に実施
    • 「仕事体験ワークショップ」の様子
      「仕事体験ワークショップ」の様子

     女子美大との連携も、美大の付属校ならではの大きな特徴だ。

     一つは、大学の教員と中高の先生が連携する特別授業。芸術家でもある大学教授から直接指導を受けられるということは、普段から本物の芸術に触れることに他ならない。

     高2になると、大学の研究室を訪ねる「アトリエ訪問」で自分の興味や関心を深めることができる。さらに夏休みには、高3生を対象とした「特別プログラム」を実施。大学の各学科が行うワークショップや公開講座など20以上のプログラムの中から、生徒たちは進みたい学科や興味のある講座に自由に参加できる。彼女たちの夢の実現を、こうした連携教育がしっかり支えている。

    「中高大」一貫に力…美術系以外への進学もサポート

     女子美術大学付属高等学校・中学校はあくまでも普通科の学校だが、できるだけ早い時期から美術やアートを通して感性を育て、将来に目を向けさせたいというのが中高大一貫教育に力を入れてきた同校の考え方だ。

     「中高大一貫とすることで、受験勉強に時間を取られることなく本来学ぶべき学業や、美術学習、卒業制作などに専念できることが、本校の最大のメリットだと考えています」

     もちろん、他大学への進路を選ぶ生徒もいる。女子美にない美術系学科を志望する生徒には、その分野に詳しい教員がサポートにつく。美術系以外の学部を志望する生徒は美術の代わりに英語を選択し、受験に向けて指導する。希望に合わせマンツーマンで進路指導を行うなど、どんな将来を選んでも生徒をしっかりサポートしていることを付け加えておきたい。

     さまざまな個性が集まる当校には、好きなことを自由にできる校風、そして、それを見守りながら伸ばしてくれる先生たちの理解がある。「みんな平等」がよしとされる風潮の中、これからもどんな独自性や感性を持った卒業生が出てくるのか楽しみだ。

     (文・写真:石井りえ、一部写真:女子美術大学付属高等学校・中学校提供)

     女子美術大学付属高等学校・中学校について、詳しく知りたい方はこちら

    2014年11月17日 12時04分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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