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    先輩のリアルな声に触れる夏期講習会…女子美付

     女子美術大学付属高等学校・中学校(東京都杉並区)では、本校を目指す中学3年生を対象に、3日間の夏期講習会を開催している。絵画やデザイン、基礎実技といった美術のほか、国語や英語、数学などの授業を体験し、進路決定の参考にしてもらうのが目的だ。その中で行われた在校生によるプレゼンテーションを取材した。

    作品に込めた思いを発表

    • 夏期講習会で行われた在校生のプレゼンテーション
      夏期講習会で行われた在校生のプレゼンテーション

     この日は夏期講習会の最終日。105人の参加者たちは、お互いにすっかり打ち解けた雰囲気でエントランスホールに集まってきた。プレゼンテーションするのは13人の高校2年生の先輩たち。自己紹介を兼ねて、思い出の作品やお気に入りの作品、失敗した作品などを数点選び、それぞれに対する思いや経験を1人ずつ発表した。

     デザインコースの田中美羽さんは、まず高校1年生の時に描いた水彩画を紹介。「絵が嫌いになった時期があったのですが、この水彩画は先生に相談して、アドバイスをもらいながら完成させました」とエピソードを語った。さらに、サイコロ形のキャラメルをモチーフに構成したデザイン画を見せながら、「作品をつくる時は、必ず目標を設定するようにしています。この絵では銀紙とパッケージ、キャラメルを全て使って描くことを目標にしました。他の教科からインスピレーションを受けることもあるので、どの教科も美術とつながっていると考えながら学んでほしいです」と話した。

     赤嶺さくらさんは中学では美術は得意だったが、「この学校に来て、みんな絵が上手なことにショックを受けました」と話した。最初はデッサンの描き方もわからなかったが、自分とは正反対の画風の友だちの絵がとても気に入ったことや、下塗りというものを初めて知り、それからは下塗りにこだわったことなどを発表した。持ち時間を超えながら、「私はあまり手を挙げない方だったのに、女子美で積極性が身に付きました。気が付いたら、みんなが楽しく過ごしている学校だと思います」と締めくくった。

    作品の変遷で成長を示す生徒も

    • デザインコースの生徒によるプレゼンテーション
      デザインコースの生徒によるプレゼンテーション
    • 「ありがとうを包む」をテーマにつくられた、花のモチーフがちりばめられた作品
      「ありがとうを包む」をテーマにつくられた、花のモチーフがちりばめられた作品

     4限目で7人の発表が終わり、お昼を挟んだ5限目には残りの6人の発表が続いた。

     苦手だった水彩がだんだん上達する過程を3枚の作品で紹介した生徒は、「モチーフや色をよく見ることを目標に、デッサンに力を入れた」と紹介。「他の学校では『変わった子だなと』思われる子も、女子美では個性として受け入れてくれる」と学校の良さもアピールした。

     デッサン3点を紹介した生徒は、受験の時から今までどのように絵と向き合ってきたかを発表した。「自分の作品の中で『ここは上手』と自信を持てるところを一つでも見つけること。それをコツコツ積み上げることが大事だ」と話した。また、別の生徒は「ありがとうを包む」というテーマで、4日間徹夜して仕上げたという花のモチーフをちりばめた箱を紹介した。「同じ題材でも、みんな違う作品ができあがるのが美術のおもしろいところ」と語った。

     13人の生徒たちは、作品もさることながら、その人柄も個性的だ。話術にたけた生徒もいれば、入学当初は恥ずかしがってあまり話せなかったが、人前で話せるようになったという生徒もいる。普段の授業でも、作品のプレゼンテーションを通して、人前で自分の意見や思いを発表する場が多い。どの生徒も借りてきた言葉ではなく、自分の言葉でしっかり伝えられているためか、その思いが強く伝わってきた。

    先輩と交流して学校の良さや美術の楽しさを共感

    • 生徒が紹介した数々の作品
      生徒が紹介した数々の作品

     奥野惠子副校長は、「生徒たちの発表を見ると、こちらが学ぶことや気付かされることがとても多くあります」と話す。「今日も、『大変なことほど達成感につながる』『絵を描くことがコミュニケーションになっている』など、はっとするような言葉が飛び出して驚かされました」と振り返った。発表をした生徒たちにとっても、自分の作品を見直し、自己分析できるいい機会になったようだ。ある生徒は、「自分の作品についてたくさんの人に伝えるチャンスはなかなかないので、とても勉強になりました」と充実した笑顔を見せてくれた。

     この時期、多くの中学校や高校がオープンスクールを実施しているが、在校生と直接触れあえる体験授業を行っている学校は珍しい。講習会の間は、在校生たちがサポートしながら3日間をともに過ごす。広報部主任の小島礼備主幹教諭は、「美術や絵が好きな先輩と交流することで、当校の良さや美術の楽しさを共感してもらうのが目的」と話す。参加者には、年の近い先輩たちの言葉の一つひとつが、意味を持って伝わっていることだろう。

     11月には、中学3年生を対象にした実技講習会を開く予定だ。個性が生きる女子美の雰囲気を、直接感じてみてはいかがだろうか。

    (文:石井りえ 写真:中学受験サポート担当)

    2016年10月21日 05時50分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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