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    キーワードは「大学受験改革」と「英語」…私立中学校フェア埼玉2018

     埼玉県の私立中学高校一貫校が説明会を行う「私立中学校フェア埼玉2018」が、熊谷・川越・大宮の3会場で開かれた。埼玉県私立中学高等学校協会が初めて主催したイベントで、加盟している30校が参加した。6月10日、教育コンサルタントの森上展安氏が講演を行った大宮会場の模様を紹介する。

    「出口」が変わると中高一貫教育も変わる

    • 各校工夫を凝らしたブースを設置、相談は順番待ち
      各校工夫を凝らしたブースを設置、相談は順番待ち

     この催しは、中学校の教師や入試担当職員が説明会や個別ブースでの相談会を開催し、来場した受験生とその保護者に各学校の特色をより深く知ってもらう目的で行われた。大宮会場となった「ソニックシティ」のこの日の来場者数は、1707人。各校のブースでは、相談の順番を待つ保護者の列が途切れることなく、中高一貫校受験への関心の高さをうかがわせた。

     会場は、「相談会場」と講演会や各校説明会を行う「講演会場」に分かれ、講演会場では、森上展安氏による「高校大学接続改革が、私学一貫教育をスケールアップする」と題する講演が行われた。

    • 高大接続をテーマに講演を行った森上展安氏
      高大接続をテーマに講演を行った森上展安氏

     森上氏は、中学受験や中高一貫教育の調査とコンサルティングを行う「森上教育研究所」の所長を務め、中学受験に関する著書も多い。テレビでも活躍し、教育関係者や受験生を持つ保護者の間で広く知られている。

     「高校大学接続改革」とは、文部科学省が「高大接続改革」という名称で2015年から行っている取り組みを指す。例えば、高校時代に経験する難解な大学入試問題への準備が、大学や社会では役に立たないといった点を反省し、大学入試改革を行うとともに、高校と大学の教育のあり方を変えていこうという試みだ。センター試験に代わり、民間テストが一部導入される「大学入学共通テスト」が行われるのは2020年度からだが、森上氏によると、さまざまな高校・大学で、入学試験にまつわる新しい動きがすでに起きているという。

     森上氏は「早稲田大学は、2021年度の入試から、政治経済学部、国際教養学部、スポーツ科学部の全受験生に対し、共通テストの受験を課すと発表しました。政治経済学部については、共通テストの外国語・国語・数学の受験が必須となり、私立文系の学部であっても、数学で高い得点を取ることが求められるようになる」との見通しを示した。

     その数学の問題についても、単に数式が解ければよいというものではなく、大学入試改革に伴い、問題のあり方そのものが変わってくる可能性があるそうだ。「地図を見ながら統計データを読み取り、今後の傾向を分析するといったことが、数学の問題となり得ます。より現実に近い、身近な課題を解決する力を測る」という。

     中学校のフェアでこのように高大接続について語るのは、中高一貫校の受験者にとって、「出口」である大学進学が大きな意味を持つからだ。森上氏は、「出口が変わることで、中学校や塾のあり方も、大きく変わってきます。従来のように、解き方のコツを覚えてテストで高い点数を取るというやり方は通用しません。読んで考える、自分の考えを言葉で表現する力が、今以上に必要になってくるでしょう」と語った。

     中学受験にあたって、2020年度の大学入試改革を視野に入れている保護者・教師は多く、会場の聴講者は熱心に耳を傾けていた。

    「英語4技能」に高い関心

     各校説明会とブースの相談では、「英語4技能」に対する関心が高かった。大学入試改革に伴い、英語の試験は、英検など民間の試験を活用し、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能を測るものとなる。保護者としては、「聞く」「話す」力を養う授業の内容が気になってくるようだ。

    • イマージョン教育を行う浦和実業の水川先生(左)とジェフ先生
      イマージョン教育を行う浦和実業の水川先生(左)とジェフ先生

     「英語イマージョン教育」を行う浦和実業学園中学校・高等学校のブースには常時長い列ができ、保護者と子供が、学校側担当者を相手にじっくり話をしている姿が見られた。「うちの英語教育に興味を持つ方が増えてきているという、確かな手ごたえを感じています」と、同校のイマージョンコーディネーターである水川瞳先生。イマージョンとは、英語の授業だけでなく、ホームルームや体育・美術なども英語で行うことで、”英語漬け”の生活を送るものである。

     「中学入試問題の内容、大学進学の実績、そして英語教育。これが、今の受験者の最大の関心事です」と、秀明中学校・高等学校の大越一廣・常任参与は指摘した。全寮制である同校は中学から全員参加のイギリス研修を行うことで特色を出している。

     「キャンパスの近くにお住まいの方に限らず、埼玉のさまざまなエリアの方が興味を持ってくださるのは、本当にうれしいですね。相談者の多くは小学校5年生で、今年は4年生の方も多く見かけました」と、大妻嵐山中学校・高等学校の峯岸弘之教頭。受験者は早くから検討を始め、5年生のうちに志望校を絞っていく傾向にあるようだ。

    • 浦和明の星女子の島村新校長による学校説明
      浦和明の星女子の島村新校長による学校説明
    • 浦和実業のブースでは制服の展示も行われた
      浦和実業のブースでは制服の展示も行われた

     来場者は、情報収集に非常に熱心だった。「塾で聞いてやってきました。こういうフェアは初めて。受験校を決めるための情報を手に入れていきたいと思います」(朝霞市の保護者)、「ICT(パソコン、タブレット等)の活用状況など、学校によってとても違いがあることが分かりました。英語教育・国際化教育をどのように進めているかも気になります」(さいたま市の保護者)などの声が多く聞かれた。

     大学入試改革、英語4技能テストへの注目が高まる中、中高一貫校受験でも、より新しく詳細な情報を求めてフェアや説明会を訪れる保護者・受験生が増えてくることだろう。

     (文・写真:足立恵子)

    2018年07月10日 16時31分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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