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    表現したい気持ちを引き出す英語教育…トキワ松

     英語教育で定評のあるトキワ松学園中学校高等学校(東京都目黒区)は、この3年連続で実用英語技能検定(英検)の合格率をアップさせている。カギとなるのは、生徒の学習意欲を高める独自の授業方法に加え、2015年に導入したICT(情報通信技術)の積極活用だ。その英語授業の実際を紹介する。

    聞く力と話す力を伸ばす、英語漬けの授業

    • 2人組をつくって会話の練習
      2人組をつくって会話の練習
    • 「話したい、伝えたいという気持ちが何より力になるんです」と平山朝子教諭
      「話したい、伝えたいという気持ちが何より力になるんです」と平山朝子教諭

     「Good morning, everyone」。授業が始まると、ネイティブの教諭が生徒に向かって挨拶(あいさつ)し、生徒が英語で答える。ここまではどこの教室でも見かける光景だが、続いて、「明日は何をする予定?」「今日は寒くて驚かなかった?」といった英語での質問が、途切れることなく投げかけられる。  

     生徒たちもそれに対して英語でよどみなく答えていく。トキワ松学園の「Listening & Speaking」の授業は、その99%が英語で行われている。

     英語科の平山朝子教諭は、「日本語はどうしても表現できない言葉があるときだけで、極力使わないようにしています。授業はネイティブの先生2人と日本人教師1人で行いますが、メインとなるのはネイティブの先生です。本物の生きた英語に()かることで、聞く力と話す力が養われるんです」と語る。

     実際に授業で扱う例文の説明も英語で行い、「2人組を作って」といった指示も、生徒からの質問もすべて英語という徹底ぶりだ。生徒が英語で答えたり、質問したりしている姿を見ると、常に英語を聞き、話すという環境が生徒の力を確実に育てていることが分かる。

     取材に訪れた日の授業のテーマは「Shopping」だった。オリジナルのプリントには買い物で使われる表現が並んでおり、生徒たちはそれを使って会話の練習をしていく。

    • 宿題にも生徒の興味を育て、表現力を伸ばす工夫がされている
      宿題にも生徒の興味を育て、表現力を伸ばす工夫がされている
    • ネイティブの教師が会話の見本を示す
      ネイティブの教師が会話の見本を示す

     続いて「homework check」と先生から声がかかって、生徒たちは机の上に、紙に書かれた色とりどりのイラストやコラージュを取り出した。それぞれに「〇〇’s shop」といったタイトルが書かれている。アイスクリーム店やスポーツショップ、文房具店など、自分の「店」を視覚的に表現してくる宿題だ。

     「教科書やプリントだけでの授業だと、例文の丸暗記になってしまいかねません。生徒たちの、表現したい、伝えたいという思いを引き出すためにも、こちらが与えるばかりにならないように工夫しています」と平山教諭が説明する。

     自分たちが考えてきた「店」を想定しての英会話が始まる。生徒たちは、プリントの例文を参考にしながらも自ら考えて伝えたいことを表現していく。「How do you say 『割引』 in English?」「How do you say 『こだわりの品』 in English?」といった質問も飛び出し、使いたい英語表現を自分のものにしようという積極姿勢が教室にみなぎっていた。


    目標は英語で自分の意見を表現できること

     トキワ松学園の英語教育について平山教諭は語る。「目標として掲げているのは、英語で自分の意見を表現できることです。これができるようになるには、英語を習得するだけでなく、世の中の出来事に関心を持ち、それに対して自分の意見を持てる力も求められます。本校の英語のカリキュラムは、この両方の力が身に付けられるよう組み立てられています」

     中学では、先ほど紹介した「Listening & Speaking」の授業が週2時間、教科書を使った授業が週4時間行われる。それぞれの授業の内容に関連付けを持たせることで理解度を高め、4技能をバランスよく習得できるようにしているという。

     授業で培った英語力を発揮する場となるのが、「English Day」というプログラム。生徒たちはそれぞれに与えられたテーマを英語でプレゼンテーションする。中1生は日本各地の紹介、中2生は非英語圏の人にインタビューした内容、中3生は女性の社会進出や世界の識字率など、各自で決めるテーマだ。高校ではさらにレベルが上がり、高3生は、「アフリカの児童労働問題」や「水資源の不足問題」など世界の諸問題の中からテーマを選んで研究し、その結果を英語論文に仕上げてプレゼンテーションするという。

    • 高校3年次には自分の力で英語論文を書き上げる
      高校3年次には自分の力で英語論文を書き上げる

     「長い時間をかけて調べ、書きあげるので、受験を控えた生徒にとっては簡単なことではありません。でも、こうした経験をすることで世の中の問題が見えてきますし、英語の力も伸びていくんです」と平山教諭は話す。このプログラムを通して、国際開発の仕事に進みたいといった目標を見つけてきた生徒もいるそうだ。単なる英語力の強化だけでなく、生徒の将来のキャリア教育という側面もあるようだ。


    電子黒板やタブレットの活用で英語力アップ

     同校の英語教育にはもう一つ大きな特徴がある。それは電子黒板やタブレット端末などICTの活用だ。週4時間行われる教科書を用いた授業では、こうしたICTが駆使される。

     2015年からICT活用の取り組みが始まり、大きく学習の効率化が進んだ結果、生徒の英語力は飛躍的に向上したという。実用英語技能検定(英検)の合格率はこの年から3年連続で上昇している。2017年には中学3年生の60%が準2級、10%が2級に合格した。準2級は高校中級程度、2級は高校卒業程度レベルであるから、驚くべき成果といってよいだろう。

     「たとえばこちらが質問を投げかけても、従来の形式では、分かる生徒が答えればなんとなく授業が進んでいってしまいます。分からない生徒に合わせていると、今度は分かっている生徒にとって空白の時間が生まれてしまうんです。一方、タブレット端末があれば、一人一人が分かるまで、できるまで問題に取り組めますし、理解できた生徒はレベルの高い問題にも取り組めます。電子黒板やタブレットのおかげで、限られた授業時間を最大限に使えるようになったと感じています」

     学習意欲を引きだす独自のカリキュラムや世界の諸問題についての調べ学習、これにICTの活用も加わって、トキワ松学園の英語教育は大きく進化している。生徒たちが英語をツールとして使いこなし、自分の意見を世界に発信できるようになる日も近いことだろう。

     (文・写真:藤本佳織)

     トキワ松学園中学校高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年09月05日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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