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    卒業生が語る「心の成長を応援してくれる温かい学校」…聖園

     聖園女学院中学校・高等学校(神奈川県藤沢市)は、キリストの聖心の愛を伝える教育を掲げ、創立72年になる。5年前に同校を巣立った3人の卒業生が集まり、同校で育まれた心、そして懐かしい思い出を先生とともに語り合った。

    しなやかな心を育む聖園の教え

    • 思い出話に花を咲かす4人(左から鐵尾先生、大西さん、地引さん、三部さん)
      思い出話に花を咲かす4人(左から鐵尾先生、大西さん、地引さん、三部さん)

     62回生の卒業生3人が7月下旬、母校の聖園女学院中学校・高等学校に集まった。米国レスリー大学大学院で学ぶ地引優香さん、ダンサーとして活躍する大西彩瑛さん、助産師として病院に勤務している三部初美さんの3人は、6年間お世話になった鐵尾千恵先生とともに、聖園の思い出や学んだことを語り合った。

     鐵尾先生(以下、鐵尾) 地引さんは大学院でどんな研究をしているのですか。

     地引 大学院プログラムは「国際高等教育・異文化関係」で、異文化コミュニケーションを学んだり、留学生の派遣や受け入れをどう実施すればより充実した留学プログラムになるかということを研究したりしています。

     鐵尾 地引さんは昔から人が好きでしたね。学級委員をやったり、聖歌隊に入って福祉施設で演奏したり……。

    • 「人のために自然に動ける心が育ちました」と話す地引さん
      「人のために自然に動ける心が育ちました」と話す地引さん

     地引 聖園の教えが今も自分の中に生きています。聖書では、「良いことをするときは人に見られないところで行いなさい」という教えを学びました。私、いつも鐵尾先生を思い出します。とても寒い日にサブアリーナに集まったとき、鐵尾先生が早く来て部屋を暖めてくださっていたのです。小さなことですけど、それをひけらかさない。このような雰囲気の中で過ごせたことがいかに特別だったか、卒業してから気付きました。

     鐵尾 小さいエピソードなのによく覚えていますね。でも、当たり前のことであってもその裏側にいる人に思いを()せることができるのですね、聖園生は。進路説明会のときにも「資料をセットしてくださってありがとうございます」と地引さんがわざわざお礼を言いに来てくれたことを今でも思い出します。みんな、目には見えない物事の背景を推し量ることのできるしなやかな心を持った女性に育っていきますね。

    人のために動くのが当たり前になる

     同校では中1のはじめに聖園生としての第一歩を踏み出すための校内研修があり、日々の朝礼でも聖書を読んだり聖歌を歌ったりして、だんだんと「聖園生」になっていくという。

     大西 入学してすぐ「アンジュな私」というプログラムがあったよね。クラスメートの名前がそれぞれ書かれたカードが全員に配られて、お互い黙ったまま、自分がアンジュ(天使)になって見守る子のために1日3回良いことをするの。

     三部 うん、中1の最初の頃のホームルームで配られたね。

     大西 これで私の人生観が変わったの。1か月たってアンジュの人から手紙をもらい、「この人が私のアンジュだったんだ」と分かってジーンときた。今でもその手紙は持っています。最初は自分がアンジュになったクラスメート1人のために何かをするのだけれど、それが習慣になり、特定しない誰かのために心をかけるようになったの。

     鐵尾 人の存在を気にかける、その心が大事ですよね。

     大西 入学する前はキリスト教を知らなくて、どの教室にも十字架にかけられたイエス像があるのを見て、ぎょっとしたものでした。でも、聖書からキリスト教を学んで視野が広がり、考え方が豊かになりました。家族も私が聖園に入ったことを良かったと思ってくれています。母は今も聖園の聖書研究会に通っているくらい。

     鐵尾 中高6年間は思春期の不安定な時期です。だから学校と保護者の両輪で生徒を支えることが大切だと思っています。聖園では自由参加の保護者の聖書研究会を開いています。お父さん対象の「お父様の聖書研究会」「お父様の聖書合宿」もあって、子供が卒業して何年たっても来てくださる方もいます。話は戻るけれど、「誰かのために」を大切にする大西さんのそうした気持ちが今のお仕事にも生きているのですね。

     大西 ええ。人のために動くというのが、聖園に入って当たり前になりました。私はダンサーとして主に舞台に出演していますが、突き詰めると人に喜んでもらうために踊っています。所属しているダンスカンパニーでは、今年起きた大阪北部地震や西日本豪雨災害のチャリティー公演も行っています。

    生徒一人一人に合わせた、きめ細かい進路指導

    • 大西さんは「聖園祭のフィナーレ『ファウスト』は今も踊れます」と話す
      大西さんは「聖園祭のフィナーレ『ファウスト』は今も踊れます」と話す

     大西さんはダンサー、三部さんは助産師、地引さんは米国の大学院生とそれぞれの道を歩んでいる。同校の一人一人に合わせたきめ細かい進路指導が、夢の実現へ大きく導いたという。

     鐵尾 大西さんは本当にダンスが好きで、ダンスがテーマの漫画を「先生、これ感動するから読んで」って全巻セットで見どころに付箋(ふせん)まで付けて私に持ってきてくれたこともありましたね。

     大西 ええ。進路指導では、先生方に何度も相談して、日本大学芸術学部演劇学科のAO入試を受けることにしました。受験科目が独特で、対策も分からなかったけど、先生方に熱心に指導していただいて合格できました。

     鐵尾 大学では成績優秀で、首席卒業、芸術学部長賞を受賞しているのに、大西さんは奥ゆかしくて、自分では一言も触れないのね。お友達から聞いてつい最近知りました。三部さんは公募推薦で首都大学東京に合格しましたね。

     三部 そうです。面接や小論文の対策で先生方に指導していただきました。看護学科に入学して、看護師と保健師と助産師の資格を取って、今は助産師として病院に勤めています。人の命を助ける仕事がやりたいという私を、先生方が応援してくださったおかげです。

     地引 聖園は生徒のやりたいことを応援してくれる学校です。聖園で育ったからこそ「やってみよう」という姿勢が身に付きました。それが、米国の大学院進学にもつながりました。大学受験でも先生方が応援してくれました。私は指定校推薦で昭和女子大学に合格しましたが、どの問題集をやったらいいのかまで先生に相談して、問題を解いたら、それも全部見ていただきました。面接の練習も何度もしてもらい、感謝しています。聖園には長期休暇中の補習や講習もあるし、塾に行かなくても学校の勉強だけで十分に一般受験にも対応できると思います。

    たくさんの行事から学ぶ自分らしい生き方

     同校の教えは、進路だけでなく、生徒たちの生き方そのものに影響を与えている。

     三部 今思うと助産師になったのは、高1の「愛といのち」の研修が大きかったですね。

     鐵尾 今でも毎年行っています。生まれるのは奇跡の連続の結果で、生まれてきただけで100点満点だよと、生徒に伝えたいのです。自分に価値がないと悩む生徒もいるけれど、何かができるからすごいというわけではなくて、存在するだけですごいのです。その尊い命をどう役に立てていくか、ということが将来への道につながると思っています。

    • 「聖園で教わった命の尊さを伝えたい」と話す三部さん
      「聖園で教わった命の尊さを伝えたい」と話す三部さん

     三部 この授業を受けて、命の尊さを伝えられる人になりたいと思ったのです。今、病院の産科に勤務していますが、安全に健康に生まれてくることは、簡単ではないと日々感じます。時には赤ちゃんが亡くなり、ご家族の「グリーフケア」をすることもあります。言葉が出てこなくて本当につらい。でも、命に寄り添うには必要なのだと思います。

     鐵尾 それはつらいですね。いつか三部さんに卒業生として命の大切さを教えに来てもらえたら素晴らしいわ。それと三部さんは高校2年のとき、聖園祭企画実行委員長で大活躍しましたね。

     三部 東日本大震災が起きた年で、できることはやろうと飲食の売り上げも被災地に寄付しました。前年度をただ引き継ぐだけではなくて、もっとみんなが楽しめるようにできることをやりたかったのです。

     鐵尾 募金を呼びかけたい、聖園祭のホームページを立ち上げたいと書かれた立派な企画書を私も読みました。先生方に掛け合いながらも、自分を押し通すというのではなく、相手が納得できるよう穏やかに伝えているところが素晴らしかったです。それにしても行事は本当に盛り上がりますね。

     三部 「クリスマスタブロ」も一大イベントですよね。スタッフとして中2から高2までやりました。体育祭のフィナーレで高3が踊る「ファウスト」も聖園の伝統ですよね。

     大西 ファウストの曲が流れたら、聖園生は今でも踊れるよね。懐かしい。

     三部 聖園ではあまり勉強、勉強って言われなかったよね。そういう押し付けない教育が良かったと思うの。好きなことをやっていいんだと感じていました。

     鐵尾 いえいえ、さすがに試験前には「勉強」って言うわよ。でもそれ以上に、いろいろな芽が出るための種まきをたくさんしているつもりです。なかなか踏み出せない人には背中を押したりしてね。

    • 3人が在籍した62回生を6年間担任した鐵尾先生
      3人が在籍した62回生を6年間担任した鐵尾先生

     三部 聖園は楽しい行事もたくさんあって、やりたいことを見つけられて、それを応援してくれる学校です。何より心の成長を応援してくれます。それから、つくづく思うのは、女子校で良かったということです。

     地引 そう、「女の子だから」という枠にとらわれない状況で育ったから、リーダーをやったりして、「自分が」何をやりたいか、何をやるべきか、考えて選択できたのだと思います。伸び伸びと自分らしく過ごせて、一生の友達にも巡り合えました。

     大西 自分を見つめるきっかけをくれて、一人一人を温かく見守ってくださった6年間でした。

     鐵尾 私も卒業生として、みなさんが聖園の心を持ち続けて大きく羽ばたいてくれて本当に(うれ)しいです。今日はありがとうございました。

     人生が人間らしく豊かに生きるために、こうした心の教育は重要だ。同校で種をまかれ、芽を出した「心」は、これからの社会でより必要になっていくことだろう。

     (文・写真:小山美香)

     聖園女学院中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年11月07日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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