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    赤ちゃんとママに学ぶ「命の授業」…相模女子

     相模女子大学中学部・高等部(神奈川県相模原市)は3月4日、中3生全員を対象に「赤ちゃんとお母さんとふれあい体験学習」を実施した。「人として生きるための学び」として昨年スタートした「マーガレットタイム」の一環だ。実際に赤ちゃんを抱っこし、ママの体験に耳を傾ける「命の授業」を取材した。

    赤ちゃんがやってきた!

    • 赤ちゃんとふれあい、ママたちに出産や育児の体験を聞いた
      赤ちゃんとふれあい、ママたちに出産や育児の体験を聞いた

     ベビーカーを押すママたちが次々に集まってきた。「赤ちゃんとお母さんとふれあい体験学習」に「ゲストティーチャー」として招かれた親子だ。今回招かれたのは13組で、そのうち10組は同校の卒業生。育休中の職員も1組いた。先輩から出産や育児の体験を聞くことができる貴重な機会だ。

     この日、参加した85人の生徒は、まず本校舎文化ホールに集まり、写真絵本「あかちゃんてね」(小学館、星川ひろ子著)をもとに作られたビデオを鑑賞した。お姉さんの目線で、妹が生まれた時の様子、お母さんとつながっていたヘソの緒、お昼寝や泣くことの意味、1年で赤ちゃんがどれくらい成長するかなどを見つめていく内容だ。

     ビデオが終わり、別室で待機しているゲストティーチャーの親子を保健委員が迎えに行っている間、生徒たちは細かいゴミを拾ったり、風邪気味の生徒はマスクをしたりするなど準備作業をした。赤ちゃんがゴミを口に入れたり、風邪をひいたりしないようにという気遣いだ。

    • この日に合わせ家庭科の授業で生徒たちが手作りしたパペット
      この日に合わせ家庭科の授業で生徒たちが手作りしたパペット

     お母さんに抱っこされた赤ちゃんの姿がホールの入り口に姿を見せると、「わあ!」「かわいい!」など、生徒たちの声があがる。早くも興奮気味だ。生徒たちは5、6人の班に分かれ、1班に1組の親子がついてグループ学習がスタートした。

     あるグループでは、色とりどりのパペットを手に赤ちゃんをあやしていた。この日に合わせ、家庭科の授業で生徒たちが手作りしたものだという。また、順番に赤ちゃんを抱っこしたり、活発に動き回る赤ちゃんとハイハイ競走したりする姿もあった。新生児人形を使って事前学習した成果もあり、生徒たちは危なげない手つきで赤ちゃんを抱っこしていた。

    ママたちのリアルな出産・育児体験

    • 「ゲストティーチャー」として招かれた13組の親子
      「ゲストティーチャー」として招かれた13組の親子

     また、ママたちは「出産は大変だったけど、今は子どもから力をもらっています」「なぜ泣いているのか分からなくて困った」など、出産や育児の体験を口々に語っていた。中には、一度流産したという体験を話すママもいて、「その後に生まれたので、それだけ“この子を大切にしよう!”と思いました。でも、生まれたら生まれたでもう大変!」。なかなか聞けないリアルな話に接して、生徒たちの表情は真剣そのもの。妊娠中のエコー写真や、育児ダイアリー、赤ちゃんのアルバムを見せてもらいながら、出産、育児の神秘や大変さを実感したようだった。

     最後に生徒全員でお礼として、合唱を披露。名残惜しそうにママと赤ちゃんを見送った。

     体験授業を終えた生徒たちに感想を聞いてみた。

     「とにかくかわいかった! 将来、子どもを産むのが楽しみになりました」「子どものためなら何でもできる、という言葉に感動した」「育児日記やアルバムを見せてもらい、赤ちゃんはお母さんに本当に愛されているんだなと思いました」「自分が親からたくさんの愛情をもらっていることを改めて実感しました」など、それぞれに大きな学びがあったようだ。

    命の大切さを学ぶ「マーガレットタイム」

     この日の体験授業は「マーガレットタイム」と呼ぶ同校独自の学習の一環だ。「マーガレットタイム」は、教科を超え、人として生きるための学びの時間を総称したもので、昨年から始まった。具体的には「総合的な学習の時間」や道徳の時間を使い、外部講師による講義や宿泊行事、調べ学習や発表などを通して社会の一員としてのあり方や、女性としての生き方について学ぶ。この日の授業も含め、さまざまな角度から命と向き合って生き方を考える「命の授業」は、中でも重要な柱となっている。

    • 養護教員の春本ひろみ教諭
      養護教員の春本ひろみ教諭

     養護教員の春本ひろみ教諭によると、「赤ちゃんとお母さんとふれあい体験学習」は、生徒が赤ちゃんと触れ合う機会をつくることを目的に8年前に始まった。「一昨年までは保健委員を中心に希望者のみで行っていましたが、この取り組みが『命と向き合い、命について考える』というマーガレットタイムの趣旨に合うということで、全員参加の授業になりました」

     春本教諭は「女性なら誰もが持っている母性を育むことが、今回の体験授業の目的です。将来、母となって命を育てる可能性を持つ女性として生きる上で、この時期に出産・育児について間近で見聞きすることは大きな意味を持つと思います」と語った。

     今回、生徒たちは外部講師から命の誕生についてレクチャーを受けたり、妊婦体験ジャケットや新生児人形を使ってお母さんの気持ちを体験したり、抱っこの仕方を学んだりと、3回にわたって事前学習した。今後は、中3のこの体験学習に向けて、中1から段階的に準備できるカリキュラムにしていく予定だ。

     少子化や待機児童問題など、子どもを巡る多くの問題がある。そんな時代だからこそ、自分が生まれてきた意味や命の大切さを理解し、慈しみを持った女性を育てることは大切だ。命を尊ぶ教育は、彼女たちの将来を支える確かな糧となるだろう。

    (文:石井りえ 写真:中学受験サポート担当)

    2017年05月24日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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