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    留学生との交流で海外研修をフォローアップ…専大松戸

     専修大学松戸中学校・高等学校(千葉県松戸市)で中学3年間の学びの集大成とされる行事が、2000年の開校以来続いている米国ネブラスカ州への修学旅行だ。修学旅行で学んだことをフォローアップする特別授業「ISA留学生交流プログラム(国内グローバル研修)」が、今年で5年目を迎えた。この交流プログラムを取材し、担当教諭に話を聞いた。

    国内の名門大学に在籍する留学生が来校

    • 生徒たちが講師と留学生を拍手で迎え入れる
      生徒たちが講師と留学生を拍手で迎え入れる

     同校は毎年7月、米ネブラスカ州への修学旅行を実施している。この修学旅行で過ごす13日間の日々は、生徒にとって大きな刺激となり、英語をもっと勉強したいという意欲が高まる。ただ、帰国後そのまま夏休みに入ってしまうとせっかくの意欲も薄れていき、しまいには単なる「いい思い出」で終わってしまうといったケースも少なくなかった。中高一貫校に特有の「中だるみ(高校進学前後の時期に学校生活に身が入らなくなる状態)」の時期でもあり、芽生えた英語学習意欲をどう維持するかが課題だった。そこで4年前に導入されたのが「ISA留学生交流プログラム」だ。

     東京大学や筑波大学など国内の難関大学・大学院に在籍する留学生を招待し、2日間にわたって英語でコミュニケーションを図る。フリートークやグループディスカッションに加え、プレゼンテーションスキルの学習も盛り込み、最後は1人ずつ将来の夢をテーマにした英語のスピーチを行う。語学や異文化理解といった国際教育に、キャリア教育の要素を組み合わせた内容だ。

    • 講師と留学生による自己紹介
      講師と留学生による自己紹介

     特色は留学生の人選にある。英語を母国語とするネイティブではない学生たちに協力してもらっている。生徒たちが社会に出る頃には多くの職場に非英語圏の外国人が増え、ネイティブではない人同士での英会話の必要性が高まるとの考えからだ。

     交流プログラムの目的は二つ。ネイティブではない人の英語に触れること、そしてプレゼンテーションの技能を身に付けることだ。修学旅行から帰国して約1週間後にこのプログラムを受講し、現地で芽生えた学習意欲や英会話の感覚が失われないうちに英語力をフォローアップし、学習のモチベーションを高める狙いもある。

    ネイティブとネイティブではない人の英語の違いを体感

    • 話しやすい雰囲気をつくるため、最初はゲームで緊張をほぐす
      話しやすい雰囲気をつくるため、最初はゲームで緊張をほぐす

     7月6日、「ISA留学生交流プログラム」の1日目。1クラスごとに6人の留学生と進行役を務めるネイティブの講師1人が加わり、特別授業が始まった。自己紹介を終えると、留学生は生徒たちの班に1人ずつ加わる。話しやすい雰囲気をつくるため、最初はゲームで緊張をほぐす。初対面の海外留学生となかなか話せない生徒もいたが、ゲームに興じているうちにすぐに打ち解けていった。

     留学生の多くは20代後半から30代。落ち着いた様子で生徒を巧みにリードする。出身国はベトナム、インド、サウジアラビア、中国、タイ、シンガポール、ガーナ、モロッコなどアジアやアフリカの新興国が多い。教員は事前に「留学生にとっても英語は外国語。間違っても気にすることはない」と伝え、生徒たちが積極的に話せるよう後押しする。

     生徒たちが最も生き生きとしていたのは、フリートークの時間だ。中学3年生の英語力で外国人と会話するのは容易ではない。しかし、1対1で話すのではなく、ネブラスカで行動をともにした班の仲間と助け合いながらコミュニケーションをとる。どの生徒も身を乗り出して留学生の話を懸命に聞き取ろうとし、知識を総動員して必死に言葉を紡ぎ出し、意思を伝えようと奮闘していた。教室の後ろで見守っていたB組担任の鈴木哲也教諭は「生徒たちの変化には驚かされます」と感心の様子だった。

     A組の上水流(かみづる)舞さんは、「高校生になったら海外に留学したい」という夢が、修学旅行でさらに膨らんだ。「ネブラスカの人たちはみんな、初対面の私に明るく笑顔で接してくれました。だから今日は、留学生の人に明るく笑顔で話すことを心がけました」と話す。学んだばかりの大切なコミュニケーション術を、さっそく実行できたようだ。

     B組の北山(はやと)君は、修学旅行と今回の特別授業での経験に手応えを感じていたようだった。「ネブラスカの人の英語は学校の(ネイティブの)先生が話す英語と同じで聞き取りやすかったけれども、留学生の人の英語はなまりがあって聞き取るのが難しい。話すスピードも人によって違う。でも、身ぶり手ぶりを付けてくれると意外と分かりました」

    うまくいかなかった悔しさを原動力に成長する

    • 留学生交流プログラムの意義について語る五味光教頭代理
      留学生交流プログラムの意義について語る五味光教頭代理

     国際教育・進路指導担当の五味光教頭代理は、「ネブラスカでの交流について生徒に聞くと、通じなかった悔しさが9割で、通じた喜びは1割程度なのです」と明かす。その悔しさが消えないうちにフォローアップすることが大事だと強調する。

     ネイティブではない留学生を相手に教室で話すのは、現地でネイティブの人と会話をするより容易だ。だが、外国の人に英語で自分の意思を伝えられたという喜びに違いはない。これまでに行ってきた生徒へのアンケートでも「ネブラスカではうまく話せなかったが、今回(交流プログラムで)はうまく話せた」という声が多い。「ネブラスカでは、最後まで自分の殻を破ることはできなかった。でもこの2日間(交流プログラム)は楽しかった」と、感想を寄せた生徒もいた。交流プログラムは、修学旅行でうまく話すことができなかった生徒が、自信を取り戻したり、コミュニケーションの喜びを再確認したりする機会にもなっているのだ。「それだけでも意味がある」と五味教頭代理は話す。

     修学旅行や交流プログラムをきっかけに、高校生の時に長期の留学を希望する生徒も増えている。卒業後に海外に進学する生徒も出てきた。今春、2人が海外の大学に進学した。1人は政治学を学びたいと英国のキングス・カレッジ・ロンドンに、もう1人は海洋生物学を学ぶためにオーストラリアのジェームズクック大学に入学した。ともに今回の留学生との交流プログラムを経験した最初の学年の生徒たちだ。

     同校は中2で田植え・稲刈り体験、中3で能・狂言鑑賞や古都・鎌倉でのフィールドワークを実施している。稲作や芸術、歴史に触れ、自国の文化を再認識しておくことで、ネブラスカ修学旅行での異文化体験が鮮明になるからだ。修学旅行から持ち帰った興味や関心は、生徒一人一人の心にまかれた成長の種となる。その種から芽生えた学習意欲をフォローアップする留学生交流プログラムは、もはや欠くことのできないものになっている。

     (文・写真:佐々木志野 一部写真:専修大学松戸中学校・高等学校提供)

    専修大学松戸中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年08月31日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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