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    最新の学習・運動施設が合体した新校舎…日大豊山

    • 1800人収容可能な地下2階のアリーナは吹き抜け。頭上には1周130メートルのコースがある
      1800人収容可能な地下2階のアリーナは吹き抜け。頭上には1周130メートルのコースがある

     旧制私立豊山中学校創立から112年、日本大学付属校の中で唯一の男子校としては61年の歴史を持つ中高一貫の日本大学豊山中学校・高等学校(東京都文京区)。首都圏を代表する文教地区に建った新校舎の魅力についてリポートする。

    さまざまな個性が集まり、他者を尊重する雰囲気

     同校の校舎は、地上11階、地下2階のビルに生まれ変わった。校舎に入って最初に驚くのは、館内中央の吹き抜けに設置された人感知エスカレーターだ。都内でエスカレーターがある学校は非常に珍しい。さらにエレベーターも3基ある。中高合わせて約2100人もの生徒が円滑に移動できるためとはいえ、元気あふれる男子がふざけて事故を起こさないか、やや心配でもある。

     そんな問いに「男子校とはいえ、昔のような猛々(たけだけ)しい雰囲気はないですよ」と、広報主任の田中正勝教諭が笑って答えてくれた。「インターハイで優秀な成績を収める運動部員もいれば、精密な鉄道ジオラマでマスコミの取材を受けるクラブもある。いろいろな個性が集まっているからこそ、自然と他者を尊重する雰囲気になるのがこの学校の特徴なんです」

     「運動部が大会に出るときは、吹奏部は自分たちのコンクールが目前に迫っていても応援演奏に行きます。そして、吹奏部の公演には運動部員が花束を持って鑑賞に行きます」と田中教諭は他者尊重の例を挙げる。これは顧問の指導ではなく、生徒間で自然に生まれ、引き継がれている校風だという。

    • 10階の美術室。教室はどこも天井が高く快適な空間だ
      10階の美術室。教室はどこも天井が高く快適な空間だ
    • 競技用の畳を敷いた柔道場
      競技用の畳を敷いた柔道場

    中高の連携を深められる教員室と魅力的な図書室

    • 教員室では館内をモニターでチェック
      教員室では館内をモニターでチェック
    • 教員室脇にある進路指導室では、進路決定の情報収集ができる
      教員室脇にある進路指導室では、進路決定の情報収集ができる

     3階から始まる教室階は、5階の教員室フロアを挟むように中高の教室が上下階で分かれる。中高教諭が一堂に集まる教員室は広大で、各フロアに設置されたカメラの映像もここでチェックできる。大きな建物でも、教員の目が届かない“死角”はない。「カメラの及ばない死角は事前にチェックして、教員が見回っています」と田中先生はいう。教員室は、中学校教員のスペースのほうが若干広い。これは、中学生のほうが、勉強や学校生活に関する相談で訪ねてくることが多いための配慮であるという。「新校舎で中高の教員室が合体したことで、生徒の情報も全教員で共有しやすくなりました。中学から高校への引き継ぎもより正確になります」と広報部副主任の上沢花子教諭は語る。

     教員室の上階には、貴重な書籍からライトノベルまで4万冊以上の蔵書を誇る図書室がある。蔵書数は文京区内でも有数だ。入り口を入ってすぐに設置されている雑誌や新刊コーナーには、スポーツ、ファッション、アニメなど多種多様な専門誌が並び、書店さながらの品ぞろえに圧倒される。「色々な世界に興味を抱いてほしいので、生徒のリクエストにできるだけ応えています。図書委員が書店に買いに行くこともありますよ」と上沢教諭。いわゆる“勉強に必要なときにだけ行く図書館”ではなく、休み時間を図書館で過ごす生徒や教員も多い。図書館入り口に設けられたコモン(共用)スペースには、ソファやテーブルがあり、ネイティブの英語教師を囲んで、生徒たちが談笑していた。

    共用スペースで英語の会話力を磨く

    • コモンスペースで自然に英会話が始まるフリートーキングプログラム
      コモンスペースで自然に英会話が始まるフリートーキングプログラム

     放課後には、5人のネイティブの英語教師が、校内あちこちにある共用スペースに“出没”するそうだ。そこに生徒が集まり、日常の出来事を英語で話し合う。この「フリートーキングプログラム」は新校舎建設を機会に始まったプログラムのひとつで、中高生を問わず自由に参加できる。「教室とは違い、ここではお菓子やジュースを飲みながら日常の出来事を題材に英会話を楽しみます。男子生徒は語学に対して身構えてしまう傾向があるので、それを払拭するのがこのプログラムの狙いです」と田中教諭。「中高では英語力に差があるのでは」という問いに、「英語の勉強と会話力は別のもの。楽しそうに話している様子を見かけると、私も参加したくなります」と答えてくれた。参加することで成績に特典がつかなくとも、共用スペースでは日々、にぎやかな光景が見られるそうだ。

    充実した専科教室と運動施設

    • 化学実験室をはじめ、理科系実験室は電子黒板やモニターを備えている
      化学実験室をはじめ、理科系実験室は電子黒板やモニターを備えている

     専科の特別教室は、9・10階がメインだ。大学理系学部の合格率が高い学校らしく、理科系教室は4室もあり、どの部屋にも最新式の電子黒板と実験機器がそろっている。一方で、家庭科室や書道室、音楽室や技術室なども、それぞれの教科に合わせた機能はもちろん防音も万全だ。最上階の11階には、25メートル・10コースの温水プールとトレーニングルームがある。プールから専門教室に配管が通っているため、塩素を使わない水を災害時の生活用水として使用することもできる。10階には屋外運動場があるが、地下2階から1階まで吹き抜けのアリーナや3階の多目的ホールなどでも、生徒たちがのびのびと運動していた。競技用の畳を敷いた柔道場や剣道場も明るく広々としており、ビルの中にいるという閉塞感はまるで感じない。十分な運動設備と学びの場がひとつの建物の中に無駄なく配されたレイアウトに、ひたすら感心するばかりだ。

     「各クラブの部室は基本的に活動するスペースの近くにあります。また、野球部やサッカー部などには校外のグラウンドもありますから、クラブ同士で施設を譲り合って使うような不便はありません」と田中教諭。館内は冷暖房設備が完備されているため、勉強も運動も、季節を問わず快適に励める環境だ。

    • 建物最上階にある温水プールは、180人の水泳部員全員が練習できる広さ
      建物最上階にある温水プールは、180人の水泳部員全員が練習できる広さ
    • クラブ活動にも使われる10階の屋外運動場
      クラブ活動にも使われる10階の屋外運動場

    校訓を体現した新校舎

    • 3階の多目的ホールは吹き抜けで開放感も抜群
      3階の多目的ホールは吹き抜けで開放感も抜群

     「生徒たちの学びと豊かな情操を育む場として最適な教育環境」をコンセプトに計画された新校舎は、その通りの完成を遂げたようだ。校舎の高層化により、街の喧騒(けんそう)や周囲の視線から一定の距離を保っており、学校生活であらゆることに集中できる環境として理想的だ。来年2月のグラウンドの完成を心待ちにしているという田中教諭は、「日大付属の学校はスポーツ校のように思われますが、文武両道の精神こそ、この学校の校訓です」と改めていう。「もちろん、運動部の活躍には目覚ましいものがありますが、スポーツに限らず個々の個性を発揮できるよう、学びの選択肢と環境を用意することが学校の役目。それが満たされているからこそ、この学校の生徒たちは、実に多彩な能力を発揮しています。自主創造の気風を育める新校舎は、見学に来た他校の先生方にも称賛をいただいています」と話してくれた。

     (文と写真:小林由佳)

     日本大学豊山中学校・高等学校のホームページはこちら

    2015年12月01日 05時40分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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